第31話 デザインについて・・

刀装具について興味が出たのは極細密な作業を金属の小さな部材の上に表現している事が中世時代から明治時代に亘って続いた日本のアート観・美意識を証明しているようで誇らしく感じた事からなのですが、まさか自分でもこんな分野に興味を持つようになるとは思ってもいませんでした

考えてみると、このモチベーションは絵画や外車から始まっているのかも、と改めて認識しました


少し話は飛びますが

現代のクルマのデザインはどれも似通っていますし、メーカーはコスト意識が高すぎて遊びゴコロは置いてけぼりになっています

特にVW社は従来のプラットホームを自社で生産する事にはコストが高くなり過ぎる事を嫌気して、シャーシや電子制御などの部品を共通化して他社にも販売することで自社コストを抑える事に成功しています

ガッカリするのはSUVのスタイルが似通っている理由もボディ開発の共通化によるものだったりします

フォルクスワーゲン社は打ち出の小槌を持っているようなモノです

会社や生産国が全く違うのにエンブレムが違うだけのクルマだなんてとても味気の無い話です


1970年代から1980年代くらいまでのクルマのデザインはミケロッティ、ジウジアーロやピニンファリーナ、ガンディーニ、ベルトーネ、イタルデザイン等々の工房から生み出されていた実に華やかなものでした

日本車も彼らにデザインを任せたりして、今見ても雰囲気の良い仕事をしています

 例えば、

いすゞ117クーペ 初代ホンダシティ スズキセルボ 初代日産マーチ スバルアルシオーネ プリンススカイライン スバルR2 ・・・・もっともっとありますが


一台一台に個性が溢れていて止まっていてもジックリと鑑賞に耐えられます

馬力や性能はさておき絵になるクルマをみんなが欲しがった時代だったのだと思います

現在のスタイルが如何に味気の無いものか、例えばリアフェンダーだけ見て即座に瞬時にBMWかベンツかレクサスか答えられるのは余程のクルマ好きだけです


外人頼みだったデザインも奥山清行さんがピニンファリーナで活躍されてマセラッティやエンツォをデザイン出来たあたりは素晴らしいとは思いますが、遊びゴコロには欠けたスペック重視のデザインなことは否めません

脱炭素と言われ出した良いタイミングですから、これ以上はスペックを求めるよりもユックリと走っても人を振り向かせる洒脱なデザインのクルマを期待します


さて、アートについても少しだけ触れますがとにかく技が凝縮された絵画や工芸が好みです

近世の時代の作品に限れば、こちらは海外の作者よりも日本の緻密な作業に心惹かれます

題材自体にも学識や品格が感じられて何気の無いデザインや構図にも実は深い意味を持たせていたりします

このことは、意味が分かる人にはとことん深くハマりますし、分からない人でも美しさだけで惹かれるというところに実力を感じます


現代アートになると最早、作品自体が意味不明な事が多くて好きではありません

理屈が先行してしまい絵をみているのか説明キャプションを見て判断しているのか分からないからです


だから現代作家でも興味があるのは見て美しく、分かり易い作家ばかりになります 


完売作家さんに依頼して一枚書いて頂いた事もありますが、何故か複数枚以上は欲しくならないのは現代の他の作者と比較して素晴らしいのは分かりますが、学識や品格において、刀装具や金工の世界の徒弟制度や代々受け継がれる技や様式などの美感には勝てないなぁ、という気持ちがあるからです







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