第30話 高級と言われる時計
今日も刀剣界から離れた事で思った事を・・
仕事の合間に本屋さんを除いて雑誌コーナーを見ると時計雑誌がたくさん出版されています
腕時計の文字盤をバーンとアップにした表紙が並んでいたので手に取りました
パラパラと捲ると最近の高級時計の販売状況と過去の時計の価格動向ばかりが目につきます
紙面の殆どはスイスのロレックスについて割かれています
他の雑誌を見ても殆ど似たような構成です
相場が高い、安いという話ばかりが目につき、純粋に時計自体について語られているとは感じません
私が時計に興味を持っていた数十年前にも雑誌はありましたが、もっと機械の中身だったり部品の調達や性能、について掲載されていた気がしますし、何よりも今は値段がとんでもない事になってます
近所の時計屋さんでもその頃はロレックスを扱っていたので同僚をそそのかしてサブマリーナデイトをローンで買うように勧めたことがありました
でもその頃は一括で 買うと値引きされて35万ぐらいだったような記憶があります
勧めた彼は素直で性格の良い人間でしたから、当日に買う話になり、確か36回払いで月々一万を切る支払い額で無理なく買ったはずです
今も持っているみたいですからかなり価値が上がったのでしょうか?
同様に、その頃はパテックフィリップのノーチラスやアクアノートも興味があってヤフオクやビッダーズを探していましたが安くて20万後半、普通で35万くらい、少し綺麗な品物でも50万位の値段になると誰も買わずに放置されていました
もっと安くなったら買おうかな、くらいに思ってそのうち、他に興味が移ってしまいパテックの事はすっかり忘れていました
ロレックスの値段が高くなったのならば、ノーチラスも高くなったのかな? と思い検索したらロレックスどころでありませんでした
何度も桁数を数えましたが間違えていないです
大体の目安で安いところは1500万位から始まり、高いと8000万なんて品物も掲載されていました
何があったか調べたところ外国のバイヤーが値段を釣り上げたみたいですね
数年前から100倍の値上がりはあり得ない状態です
中古品の価格としては異常な値段です
こうなると書籍の設置コーナーの場所も投資コーナーに変えた方が良いかも知れません
時計から外車に興味が移って、その頃は色んな場所に知り合いと出掛けては試乗したり、交渉に同行したりして楽しんでいました
自宅近くの知り合いの家のガレージで赤い車がズラリと並ぶ姿は壮観で、いつも知り合いの車庫へ遊びに行き持参した缶コーヒーを飲みながら雑談していました
ふと、その頃あったお店を今回懐かしく思って検索してみたところ、コーンズは勿論健在ですが、かなりのお店が無くなっています
その代わり、見慣れない店名が増えていて、扱う車の値段も破格の値段となっています
時計と状況は似ていますね
ただ、不思議なのは時計であればその頃には高くてとても手が出ないコンプリケーションウォッチが同水準同率で値段が上がったのならば数十億円になっていそうなものですが、調べたら余り変わってないようです
車でも特殊なアニバーサリー的な車両は価格も異常な値上がりをしていますが、古いV8シリーズなどはそれ程の値上がりではありません
F40とエンツォを所有している知り合いは、どこで聞きつけたのか中国人バイヤーが買った金額の3倍近い金額を提示してきたそうですが断ってました
やはり、どんな品物でも相場は操縦されるものなのだと感じます
私の付き合っている時計屋さん達は、気軽に目の前で機械式時計の裏ブタを外して修理やオーバーホールをしてしまう方達なので大変に助かっています
時間調整も直ぐにしてしまいますし、何しろ売りっぱなしでは無いのでいつも手土産持参で遊びに行けます
この古参の方達も今の状況には辟易としていて、ロレックスマラソンとやらで毎週の様にお店に来られる人がかなりいて大迷惑らしいです
たまに本当に時計が好きで大事にしてくれるという話だったから定価で売ってあげると次の日にはネットで数倍で売られている事が何度もあって店主が心底ガッカリしているのを見ると切なく感じますね
ただ、ここまで品物の価格を高値で維持してくれるのならば、良く考えれば将来にわたりこの業界も廃れずにいられる可能性がチョッピリ上がる訳です
願わくば原点回帰して本来の値段以外の部分をもっと見直していけるようになると良いところです
一般的に時計を買う方が先程のようなアフターサービスの過ぎるお店が近くに無ければ、流行りで買ったとしても時計に不調や不満を感じた瞬間には売却してしまい修理して持ち続ける事はしないでしょう
様々な業界で少しずつ、或いは急激にプロフェッショナルの人間が減少しています
GDPが4位になったのは為替の影響があったとしても今後の工業立国としての地位は数年先には新興国に取って代わられるのでしょうからベスト10にいられるかどうか
私達が出来るのは今後はモノを大切に扱い、自分の代で終わりにしないで受け継いで行ける素地を身の回りで少しずつ作って、現場の作業を理解し、対価としてキッチリと身銭を出して、テレビやメディアに踊らされずに応援することだと思います
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