第29話 刀剣・刀装具の未来の価値
今回はネットを使って錆びの転換剤を購入しました
その際に送られてきたのは小さなプラスチック製の容器に入った真っ黒な液体らしきものです
使用用途も使用方法についても全く説明が無かったのでネットの短い説明文をヨクヨク読んでは見たものの細かな点で不明点があったので売り主の方に連絡をさせて頂きました
メールでのやり取りになるものと思っていたのですが、この業界の方は皆さん連絡先を教えて下さります
何故か直接、電話で話をする事になりました
そこで疑問点もあらかた解決しましたし、後は実践するだけです
近日中には教えて頂いた錆び転換(赤錆びを黒錆びに転換)した後日談を書きます
電話の中で錆び付け以外の話が多くなり、刀剣刀装具について色々と教えて頂きました
皆さんホントに『始めまして』なのか、と思えるほどフレンドリーに接して下さり助かります
この刀剣刀装具の世界はつくづく趣味性の高い社会だと痛感したのは、今回の錆び転換剤の方は、かなり遠距離の地方住まいであるにも関わらず、話の端々に出てくる刀剣刀装具各界の方のお名前が見知った方ばかりだったことです
中途半端なガラクタ市では無くて、ある程度の品物を共通の趣味にすると途端に狭くて密度の高い集団になるみたいです
骨董・窃盗・強盗と言われる世界ですがオカシナ事をすれば途端にその狭い社会からつまはじきにされてしまう事も分かります
ただ、その狭い社会でもレベル差は当然あります
本当の名物品を趣味とする方、そこそこの品物で満足する方、とにかく中身より物量で品物に囲まれて暮らしたい方、
レベルの高いのは、やはり普通ならば手が出せない品物を収集したり調べたりしている方だと思います
数寄者は明治大正昭和平成に亘っていらっしゃいました
それらの数寄者の方々の手を経て大切に伝えられてきた品物は本当に名品揃いで、通常の方は目にする事も無く、せいぜい知人の間だけで観賞して秘蔵されます
ここで何を言いたいか、と言うと今回のお電話をした方が短い電話時間の中で話された事の一部がかなり気になったからです
お話によれば刀装具の相場はここ十年でも余り変化は無いけれど、刀剣の世界の相場は刀剣女子とかに一時は持て囃されて値段も持ち上げられたけれど、結局現在は購入時の2割程度にしか価格が残らない、というものであったと思います
ここから先は少し嫌味に感じると思われると思いますが敢えて書きます
今回の方には申し訳無いのですが、やはり品物には優劣があります
数寄者が認める名品という存在があります
長年の数寄者の元を渡ってきた名品の価値はほぼ一定で大きな変動はありません
それこそ、明治以降の有名なコレクターの目利きは素晴らしいものがあります
今後もおそらくは大きな値動きは無いと思います
万一手離す事態があれば数寄者の中で直ぐに次の持ち主が決まってしまいます
先ほどの刀剣の相場がかなり下がった、というのも元々が大した品物では無かった可能性が高いです
持ち主の趣味だったり、好きで所有をしているのだから値段なんて気にしていないよなどと強がりを言うかも知れませんが人間ですから他人からの承認欲求はあると思います
自分の持ち物が世間から現時点でどの程度の評価をされているのか知りたい、としうのは人間なら当たり前のことです
大切なのは、相場の値段は気にせずに好きな品物ならばずっと持ち続けることです
株や債券のように上がった下がったで一喜一憂せずにじっくりと持ち続けて欲しいと思います
慌てて処分したり売ったりしなければ相場が冷やされる事も無くて今後も刀剣界の一部は何とか維持していけるのだと思います
安くなったからと言って売り急ぐのならばその人の刀剣に対する愛情はその程度のものでありますし、値段が大事なのか刀剣自体が大事なのか良く分かりません
せっかく先人が千年も大切に残してくれた品物達です
未来に亘って大切に価値観や歴史をバトンパス出来るようにしていきたいものです
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