第25話  刀装具のゴールを考えて

一昨日、刀友の方からお電話を頂きました

現在進行形で闘病中なのですが、そんな様子が微塵も感じられない位に明るく紳士的に接してくれます

こういう人が人間的に大きい人なんだと思いますし、ガッツがある人だと思い知らされます


数寄者な方ですから話は色々な刀や刀装具の話が主題になり、尽きません

楽しく話されている様子はこちらも嬉しく思いますし、ご自身の体調を忘れさせてくれる前向きな話題ですから気持ちも切り替わるのでしょうし、私も努めて体調の件は触れずに馬鹿みたいな話ばかりするようにしています


電話を切って、話をした内容を振り返りながら考えました


良く、年を取ってから家にいてもやることが無くて

【テレビの番人】と呼ばれたり

スーパーの買い物に付いていく【濡れ落ち葉】

などと揶揄されていますが、そうした方は仕事以外に興味は無かったのでしょうか? そんな事は無いと思います

世の中の事や、様々な現象や事象について考えたり関わったりしたハズです

・・・ですが、興味を持ったものを深掘りするまでいかなかったし、そもそも人間関係に疲れていたり、家庭環境や自身の体調から物事を深く考える事を諦めてしまったのかもしれません


(勉強)と考えると長続きはしませんが、何でも浅く広く物事を知っている事は社会と関わる上で必要な事、更に深掘りしていけば分野によっては思いもかけない出会いがあったりして面白いと思いますし、それこそ私の求めているスタンスです

多分、何にでも興味を持って調べる癖は年を取っても変わらないと思い、テレビの番人とは呼ばれないのでは無いかと思います


先ほどの刀友の方は社会的に地域とも繋がりを強く持っていますし、趣味の世界でも自分のスタンスを確立されています


この方には色々教えられましたが、その一つとして

良い品物[この場合は名物品と同等レベル]を持つ為にやるべきことは


先ずは良い刀剣店を見極めてお付き合いしていく事

その刀剣店の中で思い切った品物を上手に買う事(思い切り値切る訳では無い)

品物のレベルが高ければ業者の方が覚えてくれて次からも良い品物を向けてくれる事

良い品物を買った情報は狭い刀剣社会の中で広がるので他店からも一目置かれる事

良い品物を持てば自分の目が肥えてきて、悪い品物は自然と弾くようになる事

良い品物は良い品物を呼び寄せる(趣味の良いコレクションになる)事


という流れは何度も何度も教えられました


刀装具も最初の頃は古い証書付きの品物を安く入手したり、無鑑の品物でも掘り出しだと思い込み買ってしまっていました

古い証書は現在の保存・特別保存に切り替えれば結果的に掘り出せた、と同義だと考えてたくさん集めては協会に無駄な審査に出しました

結果は以前書いたように散々なものです

わざわざ、古い証書を持ち出すという事は現在の基準に合致していない怪しい品物である事の自己紹介をしているに他なりませんし証書が付属していない品物だなんて論外です

また、特別保存証書が付いて出てくる品物も、《次の重要刀装具に受かれば儲けもの》という考えを軽く打ちのめします

そもそも、次が受からない品物で特別保存止まりの品物だから持ち主は手離す訳です

本当に今から良い品物を集めるならば、最初から重要を買うか、先ほどの刀剣店から名品を思い切って買うか、数寄者が次の持ち主を探すタイミングで譲って頂くか、のどれか、しかありません

これは断言出来ます!


中途半端な品物を持つと、半端な品物がたくさん寄ってきます


今は、その刀装具の目標とすべき作柄や作者を自分の中でセレクトしている状態です


後藤、古美濃は卒業して、町彫りに移行、更に町彫りの中でも親分クラスの優品を模索しています


宗珉の三所だったり、夏雄、勝珉、昆寛、清壽、壽良、政隋、石黒、等々名品と言われるものは納まる所に納まってしまってはいますが、 これからどんな出会いがあるか分からないところが夢があって面白いと思います

















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