第7話 協会の鑑定について・・ヤフオクババ抜き

日刀保(日本美術刀剣保存協会)では刀、刀装具に対して美術的・歴史的に後世に残す必要があり資料的価値の高いものに対して


刀であれば

  【保存刀剣】⇒【特別保存刀剣】⇒【重要刀剣】⇒【特別重要刀剣】

刀装具であれば

  【保存刀装具】⇒【特別保存刀装具】⇒【重要刀装具】⇒【特別重要刀装具】

刀装であれば

  【保存刀装】⇒【特別保存刀装】⇒【重要刀装】⇒【特別重要刀装】


という審査結果を取得することが可能です


取得できない場合もあります

 ●美観を損なう大きなキズ欠点が確認された場合

 ●生存する作家の作品の場合

 ●所定の証書を有し(過去の特別貴重刀剣・刀装具等々)申請した物件が上記に合格 しなかった場合には【現状】とする


さて、元々刀剣店でそれぞれの合格品を購入するならば刀剣店の責任の元、何か問題があっても刀剣店に責任を負ってもらう事になると思います

(余りにも時間的に長い期間、問題が無かったのならば難しいでしょうけど)


しかし、世の中の結構な数の方々は刀剣店が近隣に無かったり、刀剣店に行くのが怖い・騙されそう・バカにされそう・敷居が高い等々の理由から、実に安直な購入をします


つまり、ネットを介したオークション形式の刀剣刀装具売買です


私も最近までかなりの数のヤフオク取引をこなしていました

その上で、気付いた幾つもある問題点を書いてみます


❝購入する・落札する場合の問題点❞


  ○写真と出品者の善意の説明文だけで判断して入札しないといけない

  ○落札金額の吊り上げの協力者がいたりしても分からない

  ○匿名配送が主流になって相手との連絡が取れない

  ○そもそも、熱くなりすぎて刀剣店よりも高く購入する事になる例が多い

  ○写真や説明文とは違ったり、写真が加工されていて実物以上に見える

  ○一番の問題は古い日刀保の証書をさも事務局に問い合わせて間違いの無い品物だと誤認させて入札を誘うケースが後を絶たない事

  ○更に問題なのは証書が無かったり、紛失中として何の根拠も無いのに大銘品を落札してしまうケースがあること

  ○最近の例では、外国の方がバイヤーや業者を通じて代行入札をしてくるので内容と釣り合わない金額で高く競り合う事になってしまい、例え落札しても二度と同じ金額以上では処分も出来ないケースがあること

  〇暇な時節では不要な入札をしてしまう


❝出品する場合の問題点❞


 ●Yahoo!側の手数料が高く売却できても手数料が差し引かれて思った金額に届かないケースが多い

 ●意味の無い質問者だったり、悪意のある落札者の場合には取引が放置される

 ●安く買うために質問者が欠点を大きく取り上げたりして入札者の意欲を削ぐ

 ●上記の例で質問者党をブロックすると出品の度にクレーマーの様に毎回違反申告をしてくる

 ●上手に写真を撮影したり説明文を準備しないと思った金額に届かず安く処分する事になる

 ●上記の逆ですが、時節を誤ると閑散とした場で安く処分する事になります



出品する側の問題点は余り問題らしい問題は少なく感じますが、最大の問題は入札者、落札者だった場合です


入札者は当然ながら品物は本物だと信じて虎の子をはたいて応札して競争を頑張ることになります


ところが、上記の協会の証書を取得出来ないケースにも書いてあるように、昔の古い証書が付属されている事を根拠にした出品が未だにたくさんあります


特に時期的には、審査結果と品物が返却されるあたりに集中しています


この時期には写真では判別が付かないくらいに程度の良さそうで伝来も良さそうな品物が目白押しです


ですが、古い証書は何故令和の時代なのに古い証書のままなのか?


考えてみて下さい


本物で説明文の通りの内容ならば直接刀剣店に一見サマで持ち込んだとしても相当高く処分換金が可能なハズです

であるのにも関わらず何故にヤフオクに出品するのでしょう?


答えは簡単

 ●所定の証書を有し(過去の特別貴重刀剣・刀装具等々)申請した物件が上記に合格 しなかった場合には【現状】とする 


なのです


【現状】として返却されてきた、かなりのレベルの贋作もしくは弟子筋の作品だからです

一度でも現状の結果が付くと協会でも内容はチェックしていますから、余程の反証できる資料を持ち込んで協会の審査員を納得出来るのならば良いですが、十中八九は合格は不可能な話です


古い紙を保存・特別保存に切り替え出来たケースは無くは無いです

私も切り替え出来たケースもありました

でも全体的に考えたらせいぜい二割くらいのモノでした


持ち主は【現状】であった事は全く文面に記さず、協会に確認済みです、という謳い文句で出品します

協会側は古い証書だろうが、端末で確認すると確かに古い紙で登録はされていますから嘘は伝えていません

だから出品者は確認済みです、というロジックを使用できます


協会は古い証書に正当性が無いと思っていて信用していません


哀れ、落札者は落札出来た喜びを胸にして次回の審査の為に事務局に持ち込んだり費用を掛けて協会の審査に送り届けたりするわけです


得したのは無事にババを処分出来た出品者、それと何度も【現状】品の鑑定が繰り返されて儲かる協会側です


特に刀装具で古い昭和三十年代の紙にはナンバリングさえされていない証書がゴロゴロしています


今日も今日とて沢山の怪しい品物が出品されていますね


掘り出し物が見つかるのは稀なのです















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