第拾舞
それから私は汗を流すためにお風呂に入る。
…あの
まぁこのぐらいなら明日か明後日には治っているだろう。
私は昔から傷の治りが普通の人の何倍も早い。
理由は分からないが体質のようなものだろう…多分。
「
はぁ、と
う〜ん上手く思い出せないや。
思い出せないってことはそこまで重要なことではないってことだろうしいいか。
そう思い立ち、お風呂から出る。
何着も持ち合わせている制服に着替えて髪を乾かしながら
「…どうした?」
「えっと、今平気?調べ物してほしいんだけど…」
「…あぁ、平気だ」
淡々と答える
「あ、お金は五千円くらいでいい?」
一応依頼という形になる以上は報酬が必要だ。たとえ仲の良い相手であっても。
それが除霊師としてのマナーのようなものだ。
「二千円でいい。たいした手間でもないしな。それより、何を調べればいい?」
「2つあるんだけど、1つは
「分かった。3分ほどくれ」
そういうと電話の奥でカタカタとパソコンか何かのキーボードを打つ音が聞こえる。
丁度3分たったぐらいで
「簡単にだが調べられたことを言うぞ」
「うん、お願い」
…相変わらず仕事が早いなぁ
と感心してしまう。
「
性格としては正義感が強くてお人好しみたいだな。霊だろうが妖怪だろうが助けてるらしい。
得意な戦闘方法としては
ランクはS、信用も信頼も高い聖人という印象だな」
なるほどね…私が感じた印象通りの奴か。
それにランクS。納得の強さだ。
ちなみにランクというのは除霊師につけられた格付けのようなもので上からS、A、B、C、D、Eと全部で6段階ある。
ランクによって受けられる依頼なども限られ、これは弱い人が危険な依頼を受けて死亡してしまうことを防ぐ目的や、人間の承認欲求に基づいて個人の技術向上を目的としているらしい。
何がどうであれ依頼のためなら何だってする私とは相性が悪い人間だ。
実力もあるし一応邪魔されないように警戒だけはしておこう。
「もう少し時間を貰えれば詳しく調べておくが…」
「うんん、大丈夫それだけ分かれば十分だから。ありがと」
と
「それで、もう一つの調べものはなんだ?」
「えっと、もう一つは最近この辺りであった霊絡みの事件について色々調べてほしいの」
「別に詳しくは言わなくていいが理由は?」
「今日、
しかし霊力は文字の通り霊の力。霊にとっては命そのものなのだ。
そんな命を削るような行為を気軽に行うなどありえないのだ。
生前に
「…誰かが霊に霊力を与えている可能性がある。ということか」
「そう。だから周辺の事件について、特に
「…いやいい。自分が言ったことだ。
「うん。お願いね」
そう言って電話を切る。
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