第玖舞
仕事が終った私はお父様に連絡をして寮へと帰る。
…あれ?寮の鍵閉め忘れたっけ?
どうやら閉め忘れていたらしい玄関を開いて中に入る。
見られて困るものは何も置いていないがこれからはちゃんと気をつけるようにしよう。何かあってからじゃ遅いしね。
パタン、と玄関のドアを閉めると同時にバタバタと足音が近付いてきた。
「
えへへ、と笑って私を出迎えてくれる
「…えっと、
「ん〜と、ほら
そう言って作ってもらったらしきカードキーを見せつけてくる。
物騒な学科が多い中では珍しい方で基本的に戦闘訓練などはなく平和な学科だ。
私の制服を改造してもらったのも
…プライベートも何もあったものじゃ無いね。
「はぁ、後で私の作らないように言っておかないと…」
「ご、ごめんね?これまでも何度か入ってたんだけど…駄目だった?」
頭を抱える私を見て申し訳なくなったのかそんな事を言う
というか、今回だけじゃないのか…。
どおりでたまに物とかが勝手に無くなったりしてると思った…。
「カードキーは持ってていいけど、変なことしないでよ?後、戸締まりはちゃんとして」
カードキーを申し訳無さそうに差し出してくる
「ホント!?やったぁ~!!
…全く、現金な子だなぁ。
やれやれと首を横に振る私。
「それで、何で私の部屋にいるの?」
疑問に思っていたことを聞くと
「そうそう。
そう言ってリビングの方へと入っていく
…さて、どう言い訳をして逃げようか?
目の前に置かれた料理とは思えない緑色のドロドロとした物体を前に思案する。
昔ヤバいと思いながらも頑張って食べたことはあるのだが、この世の物とは思えない味と臭いがした。
意気込んで口に入れたのはいいのだがすぐに吐きそうになった。
というのも吐くのを我慢するために口を必死で閉じていたせいで口から鼻へ直接臭いがやってきたのだ。
その後の記憶は無いがあとから聞いた話によると気絶していたらしい。
もはや一種の兵器だろう。思い出したくもない…。
ブルリ、と当時のことを思い出して身体を震わせる。
「さぁ
タッパーを開けながらそういう
「あー、えっと…ごめんね。帰って来る途中にお店で食べちゃったからお腹いっぱいで…
「むぅ~そういう事なら仕方ないなぁ。持って帰って食べるよ」
そう言って緑色の物体を
どうやら助かったらしい。
本人に言ったら怒られるけど
「そう言えば、用事ってなんだったの?」
「ただの仕事だよ」
「ただの…か。ねぇ
そう言って私の手をガシッと握ってくる。
「
気持ちは嬉しい。けどダメなんだ。
私の荷物を背負わせてしまえばもう二度と今のように心から笑えなくなる。
私はそんな2人を見たくなんてない。
だからこう言おう
「
淡々とそれを言葉にする。
「
そう言って怒る…怒ってくれる
「
「
…何よりも自分に言い聞かせるように。
バチンッ!!と私の
「
そう叫んで寮から出ていってしまった。
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