第陸舞

無駄に長い始業式が終わり、次はクラス発表だ。


「ムムム、今年こそ舞桜まおと同じクラスにっ!!」


謎に気合を入れながらクラス発表の紙が貼ってある掲示板を見るまい


まい?そんなに気負わなくても何も変わらないよ?もう決まってることなんだし…」


「あっ!やったぁ~!!やったよ!!舞桜まお見てみて!!」


と大はしゃぎするまいに言われてクラス表を見る。


そこには私の名前とまいの名前、そして阿津斗あつとの名前もあった。


「やった、やったよ…小学校からただの一度も同じクラスにならなかったのについにっ…」


と感激して目尻に涙さえ浮かべているまい


「そんなに一緒のクラスが良かったの?どうせ一緒に帰るのに」


「そりゃそうでしょ!何時いつでも舞桜まおといられるんだよ?他のクラスだと正直に入りづらかったし…」


あー、なんとなくだけど分かるかも。他のクラスに行くのって結構勇気いるよね…。


阿津斗あつとはどう?3人一緒で嬉しい?」


「…まぁな」


気無けなくだが返事をしてくれた。


相変わらずだなぁ。と苦笑にがわらいしてしまう。


まぁ、これでこそ阿津斗あつとなんだけどね。


でも、昔とは違う。昔はもっと元気で活発な子だった。…原因は分かってる。私だ、私のせいで阿津斗あつとは…。


「ま〜お、暗い顔してるけどどうしたの?」


こういう事に敏感なまいが私の背中に抱きつきながら聞いてくる。


「何でもないよ。それよりも天狐てんこは?姿見えないけど…」


天狐てんこちゃんなら学校着いた瞬間どっかに行っちゃったよ?」


「そう…まぁ天狐てんこのことだしふらっ、と戻って来るか。ありがとねまい


「このくらいならいくらでも頼んでよ!!私は何時いつでも舞桜まおの味方だからね!」


えっへん!と無い胸を張るまい


「私も、何時いつまでも2人の味方だよ」


私がそう返すとエヘヘ、と嬉しそうに笑ってくれた。


あっ、阿津斗あつともちょっとだけ嬉しそう。口角ほんと少しだけ上がってるし。


「…さて、今日は授業もないし2人に何も予定無いなら帰ろっか」


私がそう言うと


「はーい!」


「…あぁ」


まいが元気よく手を上げ、阿津斗あつとは軽くうなづいた。


それからは久しぶりに3人で下校をする。


「今日って学校行った意味あるのかな?なっが〜い話聞いて、クラス確認して終わりって…」


「まぁ、普通の学校なら新しいクラスとかに荷物持っていったり、先生とか生徒とか集まってワイワイするんだろうけど…除霊高《ここ》だしね」


「確かに…仕事でクラスの一人二人は常にいないし集まったところでなのかな?阿津斗あつとはどう思う?」


まいが聞くが


「…さあな」


とバッサリ会話を切り捨てた。


何時いつものことなのだがぷく〜と頬をほおふくらませる。


「全く、そんなのだから『ロボット』、なんて言われるんだよ?自覚あるの?」


やれやれ、といった様子で言うまい


まいって表情がコロコロと変わるから見ててちょっとだけ面白いんだよね。


「言うやつには言わせておけばいい。俺は俺を理解してくれるやつがいればいいからな」


抑揚よくようのない声でそう言う阿津斗あつと


「そっか。なら安心だね阿津斗あつとのこと理解してる人が2人もいるからね!」


まいって何でも自信満々に言い切るよね…正直うらやましいよ。私はいっつもマイナスで考えちゃうから」


「そうかな?私は舞桜のほうがうらやましいなぁ。ほら、私バカだからさ何も考えてないんだよだから色々なこと考えられる舞桜まおのほうがうらやましい…」


あはは、と自虐的に笑うまい


「確かに…未だに因数分解すら出来ないもんね」


「それとこれとは関係ないじゃん!」


も〜!!と怒りながらぽかぽかと私を叩いてくる。


「ごめ、ごめんって」


くすくすと笑いながらそう言う私。


あぁ、こういう何気ない幸せがずっと続けばいいな。


と心の中で幸せをめているときに電話が鳴る。


ポケットからスマホを取り出して電話の相手を確認する。…お父様からだ。


「…ごめん、2人とも、先に帰ってて。ちょっと用事できた」


「あっ、うん…」


心配そうな顔をしたまいといつも通りの阿津斗あつとを横目に人気ひとけのない路地裏へと入る。

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