第伍舞
「
こんな状況だと言うのに慌てる様子も怖がる様子もなくただ冷静に答える。
パンパンと制服についた土を払うシエスタ。
「ご心配なく。誰にも話すつもりなんてないですから。」
「…その言葉を信じろって言うの?」
「信用、
「当たり前でしょ?私が信用してるのはこの世で2人しかいないよ」
「私は5年前、あの百鬼夜行で先輩に助けてもらった子、ということでもですか?」
そう言ってポケットから赤いリボンを取り出すシエスタ。
「それは…」
見覚えのあるそれに思わず反応してしまう。
「はい。5年前、先輩が私にくれた魔除けのリボンです。今はもう
それはそうだろう。あのリボンは急ぎで作ったものだし1ヶ月もしないうちに
「これ、お返しします」
と赤いリボンを差し出してくる。
「…要らない。あなたがもってて。昔あげるって言ったでしょ」
少し考えた後そう口にする。
「そう、ですか…分かりました。このリボンは頂いておきます」
そう言ってリボンを自分の髪に結ぶシエスタ。
「…それで、命の恩人だから不用意な真似はしないっていう
「はい。そのとおりです信用していただけますか?」
「…
「ありがとうございます、先輩。それと…こちらを」
そう言って小さい紙切れを渡してきた。
「連絡先を書いた紙です。何かお手伝い出来ることがあれば
「…分かった取り
「はい。朝からお時間を頂いてすみませんでした先輩。…でも、これだけは覚えておいて下さい。私は
シエスタ・ホームズか。嘘は言ってない。かと言って信用はできない。自分で言った通り、今は様子見、かな。
はぁ、今日は本当朝から面倒くさい日だ。
っと、私も早く学校に行かないと。遅刻しちゃう。
始業式が始まる5分前、ギリギリで学校についた。
良かった。なんとか間に合いそうだ。
急いで体育館に入る私。
「あ~
2人を探しながらキョロキョロとしていると先に見つけてくれたらしい
手招きされた場所は
「…おはよ、阿津斗」
顔が少し赤い…熱っぽいのかな?
と首を
「な~んで気付かないのやら」
と
「気づかないってどういう事?」
2人の間の席に座りながら
「さーてね。私は言わないよー。
とよくわからない事を言ってぐらかされた。
しばらく静かに座っていると始業式が始まった。
「えー、皆さん夏休みはどのように過ごしましたか――」
…いつものようにつまらない校長先生の話が始まる。
これはどの学校も同じだろうか?別にどうでもいいことをぐだぐだと何十分も話すなんてよくもまぁ話が続くよね…。
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