第24話 再会
※前回のあらすじ
シャロンの母は復讐の相手、聖女マリアンヌであった。
ムクロとシャロン、それぞれの戦いを終えた二人が、再会を果たす。
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ついにシャロンと感動の再会!!
なんてことにはならなかった。
指定された路地裏に行ってみると、シャロンが気を失っていたのだ。
全身傷だらけで血まで出ている。
へとへとを通り越して気絶したんだろう。
しょうがないのでシャロンを担ぎ、私はビムのところへ戻った。
それから数時間。
「わ、ビムごめん、私まで寝ちゃってた」
都心部のとある高級ホテルの一室に、私たちは集まっていた。
ビムの騎士特権とコンコン司祭の渡航許可証で取った部屋だ。
二つのベッドはシャロンと、負傷しているルミナが占拠していて、私はソファでつい眠ってしまっていた。
「大丈夫だよ。もっと寝てなくていいのか?」
「うん、平気。てかもう朝じゃん。ぐっすり寝すぎた」
「疲れていたんだ、しょうがないよ」
とりあえず二人の様子を確認する。
ルミナは腹を深く切られていたのに、魔族だからか、傷は既に塞がっていた。
まだ眠っているけど。
シャロンの方は……酷くうなされている。
「いったいどうしたんだろうな、シャロンさん」
「たぶん、戦っていたんだと思う。スヴァルトピレンのレクフルへートと」
「そうなのか?」
「少し騒ぎになってたもん。誰か死んでるって。確かめに行ったら、聖堂の近くに、首無し死体が転がっていた。……騎士の人曰く、レクフルへートだって」
「シャロンさんがやったのか……」
「たぶんね。マリアンヌを殺しに行って、戦闘になったんだよ。……あれ、じゃあマリアンヌは」
「生きているよ。今朝、普通に噴水広場で演説していた。メールー教のこれからについて」
てことは、暗殺失敗したんだ。
たぶん、ギリギリの戦いだったんだろう。
私やルミナでも歯が立たなかったスヴァルトピレンを、一人で倒したんだもんね。
「ムクロ、たぶんスヴァルトピレンの残りの連中、躍起になっているはずだぜ。宝玉を奪われて、仲間まで殺されているんだから」
「だよね〜。でも宝玉はこっちにあるんだし、上手く使いこなせれば、スヴァルトピレンもマリアンヌも全員殺せるんじゃない?」
「……本気で言ってるのか?」
「え、うん」
なんだろう。
ビム、柄にもなく真面目な顔だ。
言い方がまずかったかな。
「ムクロは、シャロンさんの復讐が終わるまで協力するつもりか?」
「当たり前じゃん。仲間なんだし」
「そっか……」
「え、しないの?」
「俺は……正直、一人殺したんだし、もう手を引くべきだと考えてる。シャロンさん自体が、復讐から」
「なんで? だってシャロンは家族や友人、みんな殺されたんだよ? 一人殺したくらいじゃ気が収まらないでしょ」
「でもなぁ……。別に俺は、首を突っ込みたくないとか、関わりたくないって言いたいわけじゃない。先の話をしているんだ」
先?
復讐を追えた先ってことか。
目標が達成されて万々歳。改めて魔王討伐にレッツゴー。
じゃないの?
「ありきたりだけどさ、復讐は次の復讐を生む。まして相手はメールー教屈指の権力者、大聖女マリアンヌだぜ。大勢の信者を敵に回すよ」
「んなもん、全員ぶっ飛ばせばいいじゃん」
「もしシャロンさんがやりました。ムクロや俺が協力しましたってバレたら、俺たちの家族まで立場が危うくなりかねないだろ」
「……」
「第一、この復讐が成功する保証もない。一人、たった一人のスヴァルトピレンを倒すだけでも、シャロンさんは全力を出し尽くした。これからたぶん、マリアンヌの警護はさらに厳重になるし、スヴァルトピレンの連中も全力で俺たちを探す。下手をすれば、シャロンさんは死んじゃうよ」
「でもさ」
「わかるよ。俺がシャロンさんの立場なら許せない。けど、けどな、仲間だって言うのなら、友達の無理や無茶を止めるのも役目だろ。やつらを出し抜いて宝玉を手に入れた。一人殺した。一矢報いたんだ、なら……」
ビムを冷たい人間、なんて思わない。
ビムは、一歩引いたところで、現実的な話をしてくれている。
シャロンがこれ以上殺しを続ければ、否が応でも敵は増える。
いずれ、罪もない善良な人間まで殺さざるを得ないかもしれない。
それって、正真正銘の魔族になるようなもんだ。
でも、復讐を諦めろなんて口にできない。
どうすれば……。
「ん……」
「あ、シャロンが起きた」
「ここは……」
近づいて、手を握る。
久しぶりに顔を合わせる。
「ムクロさん」
「シャロン……あ〜、言いたいことありすぎてどれから言えばいいのか」
「……とりあえず、怒ってみては?」
「そ、そうだね。シャロンのバカ!! 勝手にいなくなりやがって!!」
「ごめんなさい」
「もう、まったく……。えっと、じゃあどうしよう」
「……情報交換でもしましょうか」
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※あとがき
はぁ……はぁ……。
くっ、お、応援よろしくお願いします……。
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