第6話 アメリカ:軍人 マックス大佐

 全長50フィート(約15m)はあろうメガロドン。ヤツだけは別格だ。数々の強ザメを駆逐してきたこの俺様だからこそ、その異常さが分かる。


 対して、ここに集められたのは訓練を受けたエリート軍人との触れ込みだったが、なさけねぇ。巨大な口を開けて迫りくるメガロドンを見たら、配属したての新米軍人と変わりはしねぇ。まるで小便をチビッたように恐怖で震えてやがる。


「ひいぃぃぃ! な、なんてデカさだ! こんな豆鉄砲じゃ、ヤツの分厚い装甲にはびくともしない」


 確かにヤツの耐久力は異常だ。アサルトライフルなんざいくら撃ってもまるでダメージが入らねぇ。だからと言って戦車の砲弾を浴びせようとすると、その巨体では考えられない身のこなしで空中を泳ぎやがる。


「うわあっ! ヤツが横切るだけでこの風圧! 立っていられない!」


 無様に転がる軍人達。まったく見ていられねぇぜ。


「しっかりしろ! それでも地球連合軍の誇り高き軍人か! 立たねえのはてめぇの男のシンボルだけで十分だ。そんなへなちょこじゃ命がいくつあっても足りねぇぞ!」


 グゴオオォォォォォ


 メガロドンが迫るだけでまるでストームだ。銃をぶっ放し続けても、進行を邪魔するぐらいしかできやしねぇ。巨大ザメは俺様の横をすり抜け、発射された砲弾のようなスピードで、狙いがつけられずに立ち往生する戦車隊に向かって特攻をかける。


「い、いかん!」


 ドゴオッ!


 クソザメ野郎はそのまま戦車に体当たりをかますと、まるでブリキの玩具のように戦車隊は次々と吹き飛ばされていく。

 この壊滅的な状態が、さらに最悪な事態を招く。恐怖に取り憑かれた腰抜けの……ピー(自主規制)……兵士共が敵に背を向け、我先にと逃げ出したのだ。


「馬鹿野郎! ファッ……ピー(自主規制)……! 逃げるにしても背を向けるやつがあるか! テメエ等ののろまな足で……ピー(自主規制)……ザメ野郎のあのスピードから逃げ切れるわけねぇだろ!」


 自然界の掟だ。背を向けて逃げ出すだ者は強者に狩られるのみ。

 ちくしょう、……ピー(聞くに耐えない下品な言葉)……だぜ。クソッタレの……ピー(サメ蔑視表現)……に丸呑みにされちまった……。


 こいつをこのまま野放しにさせておくわけにはいかない。上等じゃねぇか! このマックス様が決着をつけてやるぜ!


「おい、ありったけのダイナマイトを俺様によこせ!」

「ど、どうするつもりですかマックス大佐? ま、まさか! いけません! 我々はここで英雄を失うわけにはいかないのです! どうかここは引いて下さい!」

「うるせぇ、この……ピー(子供には聞かせられない卑猥な表現)……野郎! 部屋に立てこもるのは臆病者と、便器から離れられない下痢便野郎だけで十分だ!」


 人類の未来のためなら、この命なんざ惜しくねえや。


「俺様がヤツを道連れに地獄へ送ってやる。お前らへなちょこ野郎どもは後ろに下がってやがれ!」


 クソの役にも立たないアサルトライフルを捨て、ダイナマイトの束を右手に掲げて……ピー(とても表記できないおぞましい言葉)……に対峙する。


「さあ、来い……ピー(口に出すのもはばかられる品性の欠片もない言葉)……。どうした? 俺様が怖いのか? ……ピー(人格を疑われるようなサメ蔑視発言)……」


 俺様の気迫を感じ取ったのか、巨大ザメ、メガロドンはこちらを睨みつけるようにして動かない。ヤツにとっても俺様は、仲間のクソホオジロザメどもを死に追いやった憎き敵だ。

 もうすぐ、俺達の戦いに決着の時が来る。俺は目線をヤツから外さないままで、残った兵士共に最後の言葉をかける。


「よおく聞けお前ら。……ピー(耳を塞ぎたくなるような恥ずべき表現)……で……ピー(特に女性の前では言うべきでないジョーク)……で……ピー(決して文字にしてはいけない言葉)……だぜ。しっかりやれよ!」


 巨大ザメに向かって特攻をかけながら束になったダイナマイトの導火線に火を付ける。


「さあ、地獄でランデブーと行こうぜ! I,m MAX(私は最大です)うおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

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