75話 一生分の恋
――これを受け入れてしまったら、もう取り返しがつかないことになる。
きっと、想いが溢れてぐちゃぐちゃになって、未来がすべて莉愛だらけになってしまう。蓮にはその予感があった。
でも、それをもう受け入れるって決めたじゃないか。莉愛を幸せにすると、受け入れると……もう、決めたから。
「……莉愛」
「……エッチ、エッチぃ」
「完全に出来上がってるじゃん……莉愛、その前に!」
「……ま、前置きが長すぎ!!早くエッチさせてよぉ……!!」
「っ……!」
莉愛はもどかしさを越えて恨めしさまでこもっている目で、蓮を見つめる。
本当に、快楽に弱すぎだろ、この子……そう思っている蓮も、我慢の限界を迎えたのは同じで。
だから、蓮はありったけの力で莉愛を抱きしめてから、言う。
「……もう、絶対に離さないから?」
「~~~~~~~~っ!?」
「前に言ったよな?一生責任取る覚悟ないと、告白しないって……だから、慎重に選んだ方がいいぞ?」
それから蓮は一度体を離して、ぎらついた目で莉愛を見つめる。莉愛は本能的に察してしまった。
絶対に、抱かれる。蓮の眼差しには欲望と衝動が煮えたぎっていて、少し刺激したら簡単に爆発して、めちゃくちゃになってしまう。
それでも、それでもこうやって冷静に会話を試みているのは、きっと蓮が生真面目な男だから。
でも、そんな生真面目な蓮でも隠せないくらい、彼の目つきには性欲が波打っていた。
「……今、断らなかったら、この先ずっと一緒だからな?」
「………ぁ、ぅっ」
「莉愛」
そこで、蓮は痛いほど莉愛の肩を強く掴んでから言う。
「……好きだ」
「…………」
「子供の頃からも、別れた後もずっと好きだったんだよ。だからずっと一緒にいたいし、君のことを誰にも渡したくない」
「ちょ、ちょっ……」
「これ、一生分の告白だからな?俺、死ぬまで責任取るつもりで告白してるんだから……返事も、一生分にしてくれ」
「…………一生分って」
「文字通り、死ぬまで一緒にいる覚悟で返事してくれってことだよ」
「……………」
掴まれている肩が痛い。蓮に、好きな人にこんな乱暴に掴まれたことはなかった。
莉愛は連を見つめながら思う。なにが告白よ、って。これ、ほとんど脅迫じゃん。
こんな風に至近距離で見つめてきて、絶対に離さないとか言って……こんなの、一生分の告白って言うには乱暴すぎるじゃん。
バカなの?レイプ、レイプだからね……?これ、他の女の子にしたら完全にアウトなヤツだからね?分かってるの?
だけど……だけど。
「バァ……カ」
「っ……!?」
「私はいつだって、一生分だったんだから………バカ」
ようやく、聞きたかった言葉をもらえて。
頭が真っ白になるくらいに迫られて、崩れない永遠の関係を強要されて、莉愛は死ぬほど嬉しがっていた。
彼女にしては、とにかく遅すぎたのだ。
初めからずっと、莉愛には蓮しかいなかったし。
蓮以外の他の男と時間を過ごすなんて、死んでも嫌だったから。
「……ぁ、ちょ―――んん!?んちゅっ、ちゅるっ、ちゅぅっ……!!ちょ、ま……んんんん!!!!」
そして、一番望んでいた返事をもらった蓮はただちに、莉愛を襲った。
息が苦しくなるほど強く抱きしめて、唇を塞ぐ。驚いた莉愛が反射的に体を跳ねさせたけど、間もなくして体を密着させて目をつぶった。
10代の高校生がするにはあまりにも強烈なキスが、二人の脳内を犯す。
莉愛の体は完全に力が抜けて、蓮に縋りつくような形になってしまった。蓮はそのまま莉愛を抱き上げて、やや乱暴にベッドに押し倒す。
「んん、ちゅっ……んぁ、あ、はぁ、へぇ、はぁあ……」
「……莉愛、蕩けすぎ」
「う、うるしゃぃ……あんたが、あんたがキスするから……ぁうっ」
「…………」
もう我慢できない。蓮は耐えられないとばかりに服を脱ぎ捨てていき、莉愛は辛うじてシャツの裾を掴んで、服を脱ごうとした。
「……手伝うよ」
「あ、ちょ……ひゃっ!?」
なのに、蓮はその仕草さえもどかしさを感じたのか、無理やり剥がすように莉愛の服を脱がせて、彼女の頭の横に手をつく。
「ちょっ、バカ……!強引……!!」
「……先に誘ったのは、そっちだろ?」
「私じゃない!私は、私は……なにもしてないもん。あなたが勝手に発情して………」
「莉愛?」
「……う、うぅ……」
ダメだ。ここまで迫られたらもう我慢できない。莉愛はかろうじて繋いでいた理性の意図を、途切れさせてしまう。
「……蓮」
「……うん、なに?」
「私、絶対に昔みたいにはならないから……ずっと一緒にいて?」
「………」
「私、頑張るからぁ……ずっとずっと、あなたに見合う女の子になれるように頑張るから……私のこと、絶対に離さないで?」
心臓が掴まれたような感覚に襲われて、蓮は思わず拳を強く握ってしまった。
いじらしい。愛おしい。可愛い。綺麗。言葉では絶対に表現できないくらいの想いがどんどん膨れ上がって、そのまま行動になる。
蓮は苦しいほど莉愛を抱きしめながら、耳元でささやいた。
「……ありがとう、莉愛。大好きだよ」
「~~~~~~~~っ!?ちょ、ちょっ……!!」
「愛してる……本当に、本当に大好きだから。ありがとう、大好きだよ……」
「や、やだ……!バカ、ちょっ、やめっ……っ、ぁ……!!」
「これからもずっと大好きだから、心配しないくていいからね……?大好きだよ、莉愛」
「っ~~~~!?!?!?」
その瞬間、莉愛の体が大きく跳ねあがった途端に、脱力する。
目は涙に濡れて、口元には唾液の線がこぼれていた。ほとんど魂が飛ぶほどの快楽が、一気に押し寄せてきたのだ。
「バカ、バカぁ…………しゅき、しゅきぃ……」
「……ふふっ、変態」
「うっさい……!バカ、バカぁ……」
この夜、莉愛はしばらく蓮を直視できないほど蕩けてしまった。
だけど、ずっと傍にいることは暗に強要していて。家のどこにいても、必ず小指を絡ませてきて。
17年も募らせてきた想いが再び結ばれたのを、如実に表していたのであった。
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