第3話  依頼『勇者殺し』

日本。世界で見ても安全な方ではある国。

そこで異能を使う殺し屋が依頼を受け暗躍していた。

「それでは転校生を紹介します、どうぞ入って下さ

 い!」

「皆さん、はじめまして。イギリスから来まし

 た。シャルエッテ・フォン・リーシェルエンで

 す。まだこの国に慣れていないので、これから頑

 張って勉強したいと思います!」

(ッ…なんで、なんでこんなことにッ)

とある高校の転校生として。

   

         2日前

『これが君の最後の仕事だ。』

そう言い渡され。出された依頼は、

『勇者殺し』

「…は?」

『名前くらいなら聞いたことあるだろう。』

「いやないけど…」

「裏の人間にとっては、最大行事だね〜」

『名前の通り、「勇者」を殺す。それだけだ』

「それだけだって…」

『場所は追って連絡しよう』

「あっ切りやがった」

「これは、一大事だね〜」


ーーーー勇者。

裏の人間に偶にいる異能使いなんか相手にならない程の異能。この世界で最も強い異能の一つ。

その能力は「存在自体が勇者」というもの。

存在しているだけで人助けを無意識に行い、戦闘行為も勇者としてなら行い、死んでも生き返る。完全自動発動型の異能。

だが、この異能は一つだけ、弱点があった。

それは…


         現在

「なんて呼べば良い?リーシェルエンちゃん?さ

 ん?」

「え、えぇっと…」

「てか、日本語上手いね!」

「え、えぇ…」

「あ、あの…僕と付き合って下さい!」

「!?」

「お前じゃ釣り合わねぇ、なぁ、俺と…」

「男子黙れ」

それはもう破竹の勢いとでも言わんばかりに質問攻めされ、最近になって使い始めた日本語もキャパオーバーが為に上手く出せなかった。

バァン!

勢いよく教室の扉が開き、1人の少女がスライディングで入室する。

「せんせー!おくれましたぁ!」

「またですか、何度目ですこれで!」

「えへへ、すいませぇぇん…『人助け』してて…」

「あなたねぇ…嘘はいい加減に…」

(人助け…あぁ、そうか。アレが…)

短く思考を回した後、リーシェルエンは椅子から腰を上げ、その少女の下へ歩いていく。

「はじめまして。今日からこの学校に転校してき

 た、シャルエッテ・フォン・リーシェルエン

 よ。よろしく。」

そういうと、少女は目を輝かせながらリーシェルエンの髪やら目やらを触ったり凝視していた。

「うぉぉぉぉ…これが転校生…スゲェな世界」

「え、えぇっと…貴方の名前は?」

「あ、ごめんねー!私は『月見里 友梨』!よろし  

 く!」

「えぇ。よろしく。」

(これが、勇者。彼女を、殺せば、私はー)

こうして、勇者と対為す者が相見えた。




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