第2話 リーシェルエン

中国。その夜の街。

ネオンがビカビカと輝く街の路地裏で。

大量の死骸と、そこに立つ少女がいた。

『ザー…仕事は終わったかね。』

「、えぇ。今、終わった」

『そのまま立ち去りアジトまで戻りたまえ。

 掃除と迎えを寄越そう。』

「…了解」

少女は両手にはめていた手袋を外しポケットに突っ込む。

血を拭わず、そのまま路地裏を出る。

だが、通行人は誰も彼女に怯えない。

何故なら彼等には返り血なぞ視認出来ない、深夜に家出をしているただの少女にしか見えないから。


異能魔術『色覚詐欺(インビジブル)』

その応用『部分色覚』。


これにより彼女の肌にこびりついた返り血やその独特な装束も視覚では確認することは出来ない。

23分程歩き、ホテルに到着。

受け付けを通り過ぎ、406号室へ階段を使って登る。目的の部屋に着き、ドアノブを2回捻りドアを開ける。

部屋に入り、装束を脱ぎ、シャワーと石鹸で血を流し、装束には専用の礼装で血を消す。

持ち込んでいた待機用の服に着替え、ベッドに突っ伏す。

「…あー疲れた。何なのアレ急にこっちに変な目線    

 送って一瞬『色覚詐欺』かけ忘れたt、」

「大変だったね〜お疲れ様」

「うわッ」

メガネをかけたヒョロ男がトイレのドアを開け出てくる。

「ヴァリトス…なんでここにいるの?前のモンゴル 

 もその前のイギリスとメキシコにもいたよね!」

「うん〜それは説明するには1年と3ヶ月以上の時

 間がひつy」

「いいから端的かつ簡潔に説明して」

ヴァリトスと呼ばれた男はメガネをクイと上げながら説明する。

ヴァリトス。かつて、彼女が依頼で殲滅した武装テロ組織『alike』の元リーダー。そして現彼女のサポート兼ストーカー兼信者である。

「ってことでね、ここについたワケだね〜」

「いや、FBI抱え込みの衛生乗っ取ってしかもそれ

 が囮で政府に私達の情報流して動かしてアジト突

 き止めた瞬間に撃ち殺すとかほんっっっと頭どう

 にかしてるって!…ちゃんと始末したでしょう

 ねしてないならアンタをここで殺るけど」

「いやいやぁちゃぁーんと殺したよ~」

「…なら、いいけど」

今回の仕事はコイツいらないと思って置いてきたのに…と言う暇もなく通信が入る。

「仕事ご苦労…次の依頼だ。」

「えっ(依頼の後にまたすぐ依頼!?)」

「ふ~ん…」

そうして、通信機の向こうの誰かはこう言った

「これが、君の最後の仕事だ。」




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