第3話 勇者召喚
【勇者SIDE】
目が開けると、硬い石畳の上に寝転んでいた。
僕の名前は篠宮隼人(しのみやはやと)25歳、独身、無職。高校でイジメにあってから引き籠もりになった所謂ヒキニートだ。
自室に籠もり、ゲームとアニメとラノベを愛するオタニートだ。
日頃から異世界転生を夢見ていたオタクにとって、今の状況は直ぐに理解出来た。
目の前には、金髪、碧眼、欧米風の美少女お姫様と玉座に座った恰幅の良いちょび髭王様がいる。
異世界転移来たーーっ!!
ぐふふ♡
どう見てもこれは勇者召喚だな。
僕は全てを理解した。
この後、お姫様に魔王を倒して下さいと懇願されるのだろう。
僕にはわかる。異世界物ラノベは、僕の大好物だからねw。
「勇者様。私はカトゥーラ王国第一王女トゥエルト・カトゥーラと申します。この度、勇者様を召喚魔法にてお呼びした者でございます。」
ほらね。やっぱり勇者召喚だよ。
オーケーオーケー。全て分かってるよ。魔王を倒す為に呼ばれたんだよね。まぁ、取り敢えずお姫様の話しを聞くことにしよう。
「勇者様をお呼びしたのは他でもありません。今、この国は魔王率いる魔族の脅威に晒されています。どうか、魔王を倒し、この国を救って頂けないでしょうか。」
瞳に涙を溜めて懇願してくる美少女お姫様。
うんうん。テンプレ乙。
ただし、テンプレでは二種類に分かれる。奴隷にして無理やり戦わせるか、優遇して協力して貰うかだ。
お姫様の感じでは後者の様に感じるが、演技の可能性もある為、慎重に見極めた方が良いだろう。
伊達に異世界ラノベを熟読していないのだよ。
まずは、日本に帰れるか確認取らないとな。
この返答で、ある程度の判断基準にはなるだろう。
ここで「魔王を倒せば戻れる」的な事を言い出したら、ほぼ嘘だろう。
魔王を倒した事もないのに、帰れるかどうかなんて分かりっこないのに、そんな事を言って来たら騙してる確率は高いと思われる。
そんな事になったら、早々にこの国から出た方が良いだろう。
さて、色々と聞いてみますか。
「ところでお姫様。先ずは魔王と戦うのは強制なのでしょうか?僕の世界では一般人で戦う人間ではなかった。そんな人間に魔王を討ち取る事なんて出来るとは思えないのですが?断った場合に元の世界に帰して貰えるのですか?」
さてさて、どう返答してくれるかな?
お姫様は泣きそうな顔で答えてくれた。
「申し訳ありません勇者様。勇者様を元の世界に戻す事は出来ません。正確には、戻せる魔法がないのです。異世界召喚魔法は女神樣よりもたらされた魔法であり、人間が作り出した魔法ではないのです。
戦う力については、召喚された事による特典と申しましょうか、特別な力を女神様から授かっているはずです。勿論、魔王との戦いは強制ではありません。勇者様が戦いたくないのであれば拒否して頂いて構いません。これからの生活の保証は致しますし、十分なお金もお渡し致しますし。ですが、出来れば、そのお力を私共の為に使っていただけないでしょうか。」
ふむ。どうやら、断ったとしても追い出されたり、処分されることはなさそうだな。
帰れないのは残念だが、裏技的な何かで日本と行き来出来るかもしれないから、その辺は追々考えればいいか。
まぁ、ある程度は想定内だな。取り敢えず、チートは貰えてそうだし、お姫様と仲良くなればワンチャンありそうだから協力しても良さそうかな。
召喚特典かは分からないが、8年間の引き籠もり生活で太った体が、妙に引き締まってるし、痩せたのなら顔自体はそう悪く無いと思ってる。
それじゃあ、異世界チーレム無双目指して張り切りますかね。ぐふふ♡
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