第2話 状況打開

ラノベの異世界転移物なら、チートを神様から貰ってるからオーガなど簡単に駆逐出来るのかも知れないが、残念な事に神様からそんなチュートリアルは受けていない。

武器も無く、チートも無い状態で、身長3mのオーガに勝てる訳が無い。

身長175cm、中肉中背、40歳のおっさんが、プロレスラーよりガタイの良いオーガに刃向かえる訳が無い。

これどう考えても無理ゲーだわ。

転移早々あの世行きかぁ・・・と思ってたら、オーガに話し掛けられたり。

「人族が、こんなところで何してるんだ?」

オーガ話せるのかよ!

「道に迷ったもので・・・」

焦って語録がヤバイ。

まさかオーガに話し掛けらるとは思ってなかったから、つい適当な事を言ってしまった。

「それは難儀だな。我が人里迄連れて行ってやろうか?」

めっちゃ親切なオーガじゃん!!

「出来ればお願いします」

俺は間髪入れずに返答した。

殺す積もりなら、こんな回りくどい事せず直ぐに殺せるのに、態々人里迄案内する必要性もないのだから、単に親切なオーガなのだろう。

オーガの言葉が通じているのも疑問だが、ここは素直にオーガに案内して貰ったら方が良い気がする。

仮にも異世界に転移して、話しが通じる者に会ったのだから、取り敢えず情報収集するべきだろう。


「えっと・・・私は司馬京也と申しますが、貴方は何と呼べば宜しいですか?」

オーガは俺の世界の呼び方だから、この世界でオーガと言うのかはわからない。失礼に当たる場合もあるから、名前を聞く方が無難だろう。

「ああ、我はカイザードだ。シバ・・・キョーヤか・・・貴族か?」

カイザードってかっこいい名前だなオイ。

それにしても、貴族??

あぁ、名字があるから貴族と思われたのかな?異世界物あるあるだな。

「いえ。貴族ではないので、気楽に接して貰えると幸いです。」

「そうか。ではキョーヤも敬語はいらんぞ。我も貴族ではないからな。」

オーガにも貴族がいるのか?まぁ、気楽に接して良いと言う事だろう。

「そうか。案内すまない。」

異世界物のオーガって、結構な割合で凶悪な魔物なんだけど、このカイザードと名乗ったオーガは、話しも通じるしめっちゃ紳士的対応だ。

この世界では、魔物と人は共存してるのかな?異世界テンプレの冒険者とかいないのか?

「我も、狩りを終えてダイアナン村に戻るところだから丁度良い。」

近場の人里は、ダイアナン村と言うのか。

狩りと言っていたが、確かに猪っポイ獣を背負っている。

取り敢えず、村に案内して貰えるのは有り難い。何の情報もない状態で彷徨っていても良い結果にはならないだろう。

カイザードと一緒なら、道中危険もなさそうだし、後に付いて行く事にする。


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