第2話 小さな決意
インスタでのDMから1週間後、彼女からまた連絡が掛かってきた。
今度の遠足どこ行くのーという内容だ。
僕らの学校は四月の終わりに、新しいクラスの親睦を深めることを目的に"遠足"があるのだ。
僕は淡々とメッセージを返す。行く場所、食べるもの、感想など、ひねりを加えた文は一つもなかった。
それでも彼女はまるで目をキラキラさせるように話しに食いつく。
そんな彼女をみて僕は興味が湧いてしまった。こんな小さな事でも喜んでくれるんだって。
たとえそれが仲良くなるための化けの皮だとしても、僕にとっては嬉しい限りである。
それから僕たちは遠足に行った。
実際に2人で会うまでには至らずとも、どんな写真を撮ったのか、何が1番楽しかったかなどDMの中で数えきれないほど話した。それはおそらく、よくある友達のような会話だけど、僕は楽しかった。
そして遠足が過ぎてまもなく、彼女から会いたいという申し入れがあった。
僕はそこで初めて彼女の恋心に気づいたのだ。
4月の中旬から始まったこのDMは1ヶ月の時間をかけて、出会いに参加した。
僕の手も心も震えていた。
女の子と2人で話すなんてできるのだろうか。中学生の頃からの思いは今に活きるのだろうか。
不安が全面的に出てしまう。
だけど、僕自身の彼女に会いたいと言う思いも紛れもない事実である。
だから僕は坂本水という人間と会う決意を固めたのである。
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