君が笑顔になれたら
葉山 雫
第1話 出会い
4月16日、僕の前に突然"出会い"が現れた。
それはどん底から這い上がろうとしていた僕にとって、一筋の光を与えてくれた。
自分のインスタを見ると、いわゆるDMが来ていた。そこには水という名前と一つのメッセージが添えられていた。
「
もちろん、僕にはこんなメッセージなんて来た事は一度もない。
僕は少し新鮮味があって面白かった。
誰でも初めての体験をする事は、自分に何らかの影響が存在するのではないだろうか。
「はい!合ってます!」
僕はそう返信する。ぎこちなさを隠そうと、文字の使い方を考えたり、変な所はないかなど、何度も確認をする。そんな自分がなぜだか、少し嬉しかった。
「よかったー!前さ、引退ライブ来てなかった?」
2時間して返信が返ってきた。
「いきました!とても綺麗な演奏でしたね!」
「ありがとうございます!!!!実はそれについて少し聞きたい事があって……」
「ほぼ知らない人の演奏が観客からしたらどうなのかなーって。友達はやっぱり気にしてくれる?から正直な感想が欲しいんです」
「そうですね、知ってる曲なら興味を持って聞けると思うんですけど、知らない曲でさらに知らない人の演奏だったら物足りないと感じたかもしれないですかね。」
こんなに生真面目に書いて良いものなのかと逡巡したが、僕は取り消しせず進めた。
「確かに!貴重な意見ありがとう!改めまして私2組の
僕はお辞儀をしているウサギのスタンプを送り、この会話を終わらせた。
画面越しからでも伝わる彼女のキラキラ感が、僕を弱気にさせたのだ。
しかし、この"出会い"が僕の人生に莫大な価値を与えてくれたのは、まだ先の話である。
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