第22話 エピローグ

 熊さんこと熊田勉は警察に捕まった。


 後日警察から調査状況を聞いた江口さんによると、白鷺荘は遺体を消して遺体から足が付かないようにする目的だったらしく、やくざなどの組織が遺体を処理する際に利用していたそうだ。


 処理された遺体の骨は細かく砕かれて全て白鳥湖にまかれたそうだ。残された衣類から遺体として処理された人たちは公になった。


 遺体の処理を依頼した人物の中には有名な政治家もいたらしくテレビでは連日、大スキャンダルとなっていた。


「松崎さん、天国では恭子さんと流星くんに会えたのかな」

「会えたはずだ。松崎さんの遺灰もこの湖に流したそうだから」


 向こうでは三人で幸せに暮らしている。俺はそう信じていた。

 

 依頼主の白川夫婦に調査結果を報告すると、二人に泣きながら感謝された。二人は恭子さんと流星くんを弔うため白鳥湖に足を運んでいるという。


 江口さんはこの経験を雑誌に掲載し、その雑誌はかなり売れたらしい。中原さんは事務員に戻りながら、たまに美弥と食事をしているそうだ。恩田さんは忙しいらしく連絡はないが元気にしているんだろう。


「しかし、よく煙でわかったな」

「すぐ変だってわかったわ。夏場に暖炉なんて使わないから」

 

 白鳥湖で手を合わせた帰り道、俺たちは駅に向かって歩いていた。


「なんか、ヤバい目に遭っているんだってすぐわかったよな」

「現に危なかったよね」

「あぁ、あのまま過ごしてたら終わってたな」

 

 飲み物に入れられていたという睡眠薬でやられていただろう。


「旅行はしばらくはいいな」

「あたしも同感」 


 残りの夏休みは家でじっとしているつもりだ。


「それならさ、夏休みの宿題をみんなでやろうぜ」

「その話って、龍之介が宿題を終わってないだけでしょう?」

「まあ、そうだけどな。でどうだ?」

「あたしは賛成」

「俺も」

 

 俺たちは帰り道を歩きながら宿題を進める計画について話し合った。


 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る