第21話 エリミネイター

 地下には推理通り焼却場があった。それも大型のやつで、人ひとり余裕で焼けるほどの大きさだった。


 その隣の部屋には衣裳部屋となっているらしく、たくさんの衣類が綺麗に並べられていた。あまりの衣類の多さに俺たちは震えた。一体どれだけ殺したんだよ。


「これ、恭子のものよ」


 中原さんが泣き崩れる。その女性の衣服の隣には小さな服とズボンがかけられていた。そして流星くんの存在を示す木の車の玩具がぽつんと置かれていた。


「ひどすぎるよ」


 美弥も泣いていた。俺は涙をこらえながら、美弥を優しく抱きしめる。江口さんも涙を流し、恩田さんも静かに泣いていた。



 嵐はいつの間にか止んでいた。焼却場の中から上を見ると、光が差し込んでいる。

「まずいな。立川たちが来る」

「七時よね」

 腕時計を見ると、もう六時半だった。

「これはチャンスかもしれない」

 江口さんは作戦を話してくれた。

 

 作戦はここで煙を起こし、外に合図を送るというものだった。さっそく取り掛かる。煙を立たせるために室内にあった遺品以外のものを燃やすことにした。


 作戦通りに荷物を燃やして煙を出していく。これで煙突から煙が出ているはずだ。


「いいか、チャイムが鳴ったら俺が突っ込む。お前たちは逃げて警察を呼べ!」

「俺も戦います。一人でも多くの人がいた方がいいはずです!」

「いい度胸だが、危険すぎる」

「あたしも行きます!」

「わたしたちも行くわ!」

「一人で行くなんて言うな! 水臭いぞ武志!」

「わかった。みんなで一緒に行くぞ!」

 

 俺たちが耳を澄ませているとチャイムが鳴った。慌てた足音が聞こえる。俺たちは台をどかして飛び出した。


 遊戯室のドアを開け廊下に躍り出ると、玄関では警官と立川たちがいた。熊さんが銃を手に取り構えようとしたところで、恩田さんがタックルするのが見えた。熊さんは倒れ、恩田さんと警官が熊さんを取り押さえた。


 あっという間の出来事だった。

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