東京ジークフリート ―エッチなロリお姉さんと素肌を重ねていたら、大英雄になっていました。陰キャなボクが、お姉さんたちと裸のお付き合いでLvUP、英雄として世界の悪と戦います―
英雄譚(32) ヒーローとダークヒーロー。
英雄譚(32) ヒーローとダークヒーロー。
「わぁ、ひろとくんだ! 久しぶり、元気にしてた?」
あんな別れ方をしたのに、さすがは陽キャの葵さんだとひろとは思う。
いま二人は、まるでカップルみたく手を繋いで歩いている。
葵から一緒にお散歩しようと、声を掛けたのだ。
自分を二度も殺しに来た相手なら、普通は断るだろう。
何より葵は、いま聖華学園と敵対中の組織、アイスストームの一員だ。
会話なんてもってのほか、いつ戦闘に発展したっておかしくない。
――にもかかわらず拒めない自分自身に、ひろとは嘆息を吐いている。
「あれれ? どうしたの、ひろとくん?」
「べつに、何でもないよ」
「でも、なんだか落ち込んでるみたいだし……本当に大丈夫? おっぱいとか、揉む?」
「っ!!?」
葵がたぷんと両手で揺らしているそれに、ひろとはゲホゴホと大げさに咳払いしながら、
「なにを、言って……揉みません、大丈夫です!」
「でもでも、大きくて、柔らかいよ?」
「そうじゃなくて――ああもう、こっちにきてくださいぃ!」
白昼堂々、外でこんな会話をしていたら、変な噂が立ちかねない。
とりあえず葵を、近くのカフェへと連れていくことに。
「休憩なら、ホテルでも良かったんだよ?」
「葵さん。またボクを、からかっているんですか」
「んー……半分はそう。でももう半分は、本気かもね?」
「っ……」
彼女が制服の第二ボタンまで開けると、その双丘がぶるんと片鱗を覗かせる。
すごい……とても同じ中学生とは思えないボリュームだ。
面積ではユノよりも圧倒的に優り、結菜にすら及ぶ域か。
それでいて彼女の穂は垂れるどころか、むしろ上に向いている。
至高の一品だ……ハリツヤかたち大きさ密度に隙がない。
葵が織りなす胸肉の芸術さの高さには、職人も歯噛みするだろう。
「ほらほら、ひろとくん? こんなに柔らかくて、大きいんだよ?」
「くっ……」
カフェの中だというのに、葵は人目も気にしていない。
幸いにも角の席だからか、誰にも見られていないようだ。
「ふふっ……興味津々って顔だね? 私には、分かっちゃうよ?」
その状況を利用して、葵は大胆なアプローチに出る。
彼女は隣のひろとの手を取ると、自分の胸へと押し付けた。
二つの孤峰がふにゅんっと揺れ、その弾力がひろとの手のひらに伝う。
「わっ、わわっ……!」
柔らかい……そして、大きい。
肉ではなく、液体に近い手触りだ。
ぷるぷると揺れ動きながら、豊満な大峰が手のひらで踊る。
しかし、この感触、この軟らかさ……まさか葵さんは、
「んっ……んあっ……ひろとくぅん……」
そして甘い息を出して、色のある視線を送る葵。
彼女の高嶺は震えを起こし、その尖峰がぷっくりと隆起する。
「~~っ!!」
淡いピンク色が顔を出し、ひろとはますます視線を奪われる。
綺麗な桜山だ……これだけの大きさを放ちながら、輪っかは小さいのだからこの世ならざる神秘的な孤峰とも言えるだろう。ピンッと張った尖峰は、苦しそうに制服を内側から押し上げている。見えそうで見えない、まさに蠱惑的な切っ先だ。
「ひろとくん……ほら、もっと……もっと……直接でも、いいんだよ?」
それでもと、ひろとに無理やり揉みしだかせる魔性の女。
葵は完全にひろとを籠絡して、支配下に置こうとしている。
「ひろとくん? もっと、好き放題してもいいんだよ?」
「けっ、けっこうです……本題に入りましょう、葵さん」
葵の魔の手を振り切り、その豊かすぎる肉の宮から免れたひろと。
騙されるな……相手は、二度も殺しに来た葵さんだぞ。
ひろとは欲に惑わされることなく、一瞬で理性を取り戻した。
「葵さん、ボクたちはいま、アイスストームと敵対関係にあります」
「ひろとくん……私を、倒そうとしているの?」
前かがみになって胸を強調するあざといポーズも、いまは無視した。
「この騒動を、終わらせたいんです。ボクは、平和を守りたいだけで、ジークフリートの力を、悪い人たちに渡したくはありません。だから――」
「ひろとくんは、私が悪い人だと思っているの?」
「それは……っ」
彼女とは、本当の、本当に、仲良くなれると思っていた。
人生で初めて、こんなボクを遊びに誘ってくれた人。
その強烈なバイアスから逃れるように、ひろとはかぶりを振る。
「ごめんなさい。そうじゃないんです。今だって……葵さんを、信じたいんです。でも、現にボクは、二回も殺されかけました。いや……一回、殺されました。どうしても、その時のことを思い出して、葵さんが――」
「ごめんね、ひろとくん。私は、悪い人から利用されただけなの」
ドキリと、ひろとの心臓が縮み上がった。
『やめなさい、ヒロ。彼女は、真正の悪人よ。そんなウソを信じちゃダメ』
見かねたジークフリートが、心の中で進言するも、ひろとの顔色は優れない。
今までも、その可能性について頭の片隅にはあったのだ。
もしも――彼女が、悪くなかったとしたら。
葵さんが、利用されているだけなのだったとしたら。
ボクは葵さんを、どうすべきなのか。
「信じて、ひろと君。私だって、本当はひろと君とデートをしたかった。もっと一緒に、遊びたかったの。でも組織の人から、ひろとくんの遺物を奪って来いって、命令されて……」
実際、ボクに目撃されなかったら、葵さんはどうしてたのだろうか。
いや……なにか、変だぞ。
そもそも葵さんは、博物館でどうしてボクを誘ったのか。
「ねぇ、ひろとくん」
ドリンクを飲み終えた葵は、立ち上がってこう言った。
「いまから、あの日の続きをしよ? 私はひろとくんと、仲良くなりたかっただけなの」
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