第51話憑依魔法

 アナタはアイドルに『変』と言われたことがありますか?……俺はある。

 

 「一矢も報えなくて悔しいけど、仕方ない、ギブアップしよう……」

 「マスター……」

 

 その時、客席の方から聞き覚えのある声が……

 「ギガンティックマスター、私との戦いのときは、そんな簡単にあきらめなかったと思うがな」

 

 この声は……ヴァイガン!?

 

 「あの時の『借り』を返しに来た」

 「お前、どうやって異世界に……?」

 「その話は後だ、まずは私をお前のメンバーと交代させてくれ……二名までなら交代が可能なはずだ」

 

 「異世界あいどる24、メンバー交代のようです……どうやら客席にいたローブを着た魔導士を入れるようですが……?」

 「マスター、異世界あいどる24以外の人を、四天王にしていいのですか?」

 「実は……ヴァイガンは異世界あいどる24のメンバーに登録してあったんだ」

 「えっ」

 

 「ヴァイガンを現実世界に置いてきたとき、『いつか借りを返す』って言ってたから、まあ、半分社交辞令だとは思っていたけど、一応こういう時のために、登録だけはしておいたんだ」

 「マスター、準備がいいですねぇ」

 「た、たまたまだよ」

 

 「カスミとマコトを下げて、私ともう一人を入れてくれ」

 「もう一人?」

 「もう一人は……ノノアだ」

 

 「ヴァイガン選手確認とれました、カスミ・マコト選手と、ヴァイガン・ノノア選手を交代させて下サイ」

 「異世界あいどる24、カスミ選手とマコト選手を下げ、ローブの魔導士とノノア選手を交代させました……どういった作戦なのでしょうか」

 

 俺は、ヴァイガンに『インカム』を渡した。

 「フム、これがあれば『念話』の必要がないわけか……

 私との戦闘の時も、こんなものをつけていたのか、ズルいなギガンティックマスター」

 「いや、今その話はよくない?」

 

 「さあ両チーム、中央付近で構えます、メンバー交代をした異世界あいどる24、ここからの逆転はあるのでしょうか!?」

 「状況は絶望的に不利だ、どうやって戦うつもりなんだ、ヴァイガン?」

 

 

 「まずは『三手』使って様子が見たい、魔力がないギガンティックマスターは下がれ、ノノア、アマネ、攻撃だ」

 「はい」

 すっかりリーダーの座をとられちゃってるんですけど……

 

 ノノアの前に魔法陣が展開……『風』『風』『地』

 「雷雲を携えしもの 大気を震わせ 大地を穿て 秩序を乱すものに罰を 雷よ落ち給え 落雷属性ハイアナグラム、『メガボルト』!」

 ガカァッ!

 

 ザザザッ

 「フッどうした、そんな速度ではこの『鬼の民ドドム』に魔法は当たらないぞ」

 

 アマネの前に魔法陣が展開……『光』『光』『光』『光』

 「レンズ・リング・ロンド・アークソルタ・ネイジー

 光よ 光子よ 閃光の力解き放ち 世界を光明で照らし給え

 光属性クアトログラム、『フォトンブラスター』!」

 パパパパーーー!

 

 シュンシュンシュン!

 闇の民レイザが、まるで残像が残るほどの速さで、幾重の光線を避ける。

 「オレに同じ魔法は二度も効かん」

 

 ヴァイガンの前に魔法陣が展開……『地』『地』『地』『地』

 「星神よ 自転公転の理を持って 悪しき者を滅せよ 星の力束ね 我が前で奇跡を起こせ 地属性クアトログラム、『ジオメトリクス』!」

 ガガガガガッ

 

 地面に描かれた、幾何学模様の魔法陣の上を、衝撃波が駆け巡る!……って、あれ?ドラゴニックキング、いつの間にあんな崖の上に?

 「ふあ~あ……『アクビが出そうだ』と言って、本当にアクビが出たのは初めてだ、ハハハ」

 

 くっ……三人の魔法が当たらない、このままじゃ……

 「すみません、私、久しぶりの戦闘で少し緊張しているのかも」

 「ノノア……」

 「私もさっきのダメージがまだ残っているようです」

 「アマネ……」

 

 ヴァイガンは自分の手を見ながら、開いたり、閉じたりしている……?

 「二人とも、それはただの思い込みだ、私たちはすでに攻撃を受けている」

 「えっ」

 

 「もう一度確認したい、もう『二手』使って攻撃だ」

 「わかりました」

 

 ノノアの前に魔法陣が展開……『風』『風』『地』

 「雷雲を携えしもの 大気を震わせ 大地を穿て 秩序を乱すものに罰を 雷よ落ち給え 落雷属性ハイアナグラム、『メガボルト』!」

 ガカァッ!

 

 「うおっ!?」

 鬼の民ドドムが、転がりながら必死にノノアの魔法を避けた?

 「え、なんで?」

 

 アマネの前に魔法陣が展開……『光』『光』『光』『光』

 「レンズ・リング・ロンド・アークソルタ・ネイジー

 光よ 光子よ 閃光の力解き放ち 世界を光明で照らし給え

 光属性クアトログラム、『フォトンブラスター』!」

 パパパパーーー!

 

 「だからその魔法はもうオレには……」

 バチィッ!

 「ぐあっ」

 アマネの『フォトンブラスター』が、闇の民レイザの足をかすめた!

 

 「てめぇ、まさか……」

 ドラゴニックキングが、怒りの形相でヴァイガンを睨みつけている。

 

 「おいヴァイガン、お前いったいどんな魔法を使ったんだ?」

 「やはり私の読み通り、お前が攻撃していたんだな、『竜の民リュオン』」

 「えっ、そうなの?」

 

 「しかもその竜の民に『無心』の術を会得させているとは大したものだ、おかげで『アナライズ』ができず時間がかかってしまった」

 「『無心』の術?そんな術があるのか」

 「……」

 あのドラゴニックキングが無言に……

 

 「『大地の精霊ノーム』に聞いて、地属性の攻撃があったことはわかっていた」

 「ヴァイガンお前、『大地のエレメンタルトーカー』だったの!?」

 「攻撃の直後、我らの動きが遅くなり、相手の動きが速くなった……おそらくこれは『重力を使った攻撃』だな」

 「『重力を使った攻撃』……?」

 

 「私たちも気付かないほど少量の重力をかけ、動きを鈍らせた。

 そして自分たちには少量の浮力をかけて、動きを素早くしていたのだ」

 「おーっと驚愕の事実が判明しました、ドラゴンキングダムのこれまでの優勢は、『重力を使った攻撃』によるものだったようですーー」

 

 「さっきは私がリュオンの重力攻撃と同じ量の浮力をかけたから、リュオンの重力攻撃が無効になったのだ」

 ヴァイガン……お前、めちゃくちゃ頼りになるじゃねーか!

 

 「チッ……」

 さっきまで無言だったドラゴニックキングが、口を開く。

 「小賢しくも見破りやがったか……リュオンの『グラビティフィールド』を」

 「『グラビティフィールド』?」

 

 「そいつが言った通り、リュオンの『グラビティフィールド』は、相手に重力の負荷をかけ、動きを鈍くする技……あのまま知らずにギブアップしていればよかったものを」

 なるほど、今までの対戦もあの『グラビティフィールド』を使って、自分たちを有利にしていたのか。

 ヴァイガンがいなかったら、俺も間違いなくギブアップしていた……

 

 「ギガンティックマスター、『ドラゴニックキング』『竜の民リュオン』『天空の民アミサー』、この三人の相手は、私とノノアでしよう」

 「え?あの三人の相手を二人で?それはさすがに……」

 「いや可能だ……『竜の民リュオン』と『天空の民アミサー』、あの二人はおそらく『人間恐怖症』だ」

 「『人間恐怖症』?」

 「私があの二人に近づいたとき、あの二人は震えながら下がった……

 人間に恐怖している証拠だ、『大地の精霊ノーム』が確認している」

 「そんなことまで……」

 

 「なんとヴァイガン選手、ノノア選手と二人で、『ドラゴニックキング選手』『竜の民リュオン選手』『天空の民アミサー選手』の三人を相手するようです!」

 「ドラゴニックキング、お前さえ抑えておけば残り二人の相手をするのは容易だ」

 「オレ様を相手に、そんなことができると本気で思っているのか?」

 「ああできるよ、『抑えるだけ』ならな」

 

 ヴァイガンの前に魔法陣が展開……『炎』『水』『地』『地』『闇』

 「世界に災いもたらす王よ その目に闇を その手に血を その心臓に災厄を

 ホール・ハルスト・ガッダ・イン・ビドー

 チービル・シャル・レスト・アノン

 災厄属性ペンタグラム、『カラミティゾーン』!」

 「なにぃー、は、速い!?」

 「あーっとこの魔法は『闇の民レイザ選手』が、エスタ選手に使った『災厄属性』の魔法!危険です!」

 「ヴァイガンの奴、いつの間にかペンタグラムに『神の言霊』まで使えるようになってる!?」

 ゾゾゾゾゾ……

 「うおおおおぉーー!?」

 

 「ドラゴニックキングよ、お前につける状態異常は『暗闇』と『緊縛』だ。

 さらに『大地の精霊ノーム』による『重力攻撃』も追加してある、少し大人しくしていてもらおう」

 「おのれっ…………ッ」

 「ドラゴニックキング選手、ヴァイガン選手の攻撃で完全に動けなくなりましたー、恐るべしヴァイガン選手!まだ世界にはこんな猛者がいましたー」

 「わあああああーー」

 本当に動けなくしちまった、ヴァイガンすげぇー

 

 

 「アマネ、『闇の民レイザ』はお前に任せる、残り『十三手』で倒してくれ」

 「そんな無茶な!」

 

 「あとは『鬼の民ドドム』だが……」

 「それは俺が行こう」

 「マスター?」

 「ギガンティックマスター、お前が……何か作戦があるようだな。わかった、『九手』で倒してくれ」

 「えっ俺も!?」

 

 「『竜の民リュオン』は私とノノアで、残り『七手』で倒す」

 「スミマセンわかりました」

 

 「最後ドラゴニックキングはギガンティックマスター、お前が倒すんだ」

 「そんな、マスターはあと二回しか魔法が使えないんですよ?」

 「いや、俺がやる、やらせてくれ!」

 「よし、決まりだ。後はお前たち次第だ、異世界あいどる24!」

 

 

 俺VS鬼の民ドドム

 「拙者の相手はうぬか……『剣士』以外には興味はないのだがな」

 「……俺に勝てばこの『マキアカリバー』はお前にやろう、ちなみに、この剣を作ったのは俺の親父だ」

 

 「ほう、ほんの少し、お前に興味が湧いた、相手してやろう……」

 「お前が『剣士』である以上、俺に勝つことはできない……胸を貸してやる、かかってこい」

 「魔導士のくせにその自信、気が狂ったのではあるまいな?

 鬼哭流刀殺法きこくりゅうとうさっぽう 鬼零式おにれいしき、『鬼眼キガン』!」

 バチィッ!

 「ぐっ!」

 「あーっとギガンティックマスター選手、ドドム選手の『鬼眼』に捕まってしまったーー」

 

 「最低でもこの『鬼眼』から脱出できるくらいの技量が無くては話にならん、魔導士のうぬに、この金縛りが解けるか?」

 「確かに俺じゃ無理かもしれない……でも俺の『奥の手』ならいける、行くぞ!」

 

 俺の前に魔法陣が展開……『水』『地』『光』『闇』

 「スーガル・レイト・インドトム・ジラリル・カブー・オーセム

 常世より蘇りし英霊よ 今一度その黄金の魂に 力漲らせ 我に彼の者の力を

 憑依属性クアトログラム 『サジェスション』!」

 パアアアアーーー……

 

 「おーっと、ギガンティックマスター選手が光に包まれたかと思うと、いきなり煙が充満しました……これはどういった魔法なのでしょうか?『憑依』とか言っていたような……煙が晴れてきます」

 「なんだ……?先程と雰囲気が、まるで違う……?」

 「ギガンティックマスター選手、両手にマキアカリバーを携えて、ゆっくりとドドム選手に近づいていきます。なんでしょう……異様な雰囲気、纏っているオーラが全然違います……」

 

 「お前は……いったい……?」

 「それがしの名は……『宮本武蔵』……」

 「!?」

 「あーっと、なんとなんと!?『宮本武蔵』?今『宮本武蔵』と言いましたーー!転移者の世界の、戦国時代に実際に存在した、伝説の剣豪の名前です!」

 「そんなバカな?そんなことが、ありえん……」

 

 「術者の『憑依属性魔法』により、あの世より舞い戻った……それがしの相手は貴様か?」

 「いやウソだ、伝説の剣豪が?そんなわけはない、今化けの皮を剥がしてやる!

 鬼哭流刀殺法きこくりゅうとうさっぽう 鬼零式おにれいしき、『鬼眼キガン』!」

 バチィッ!

 

 「ドドム選手の『鬼眼』だーーー、まともに食らってしまった『宮本……」あ、いや、ギガンティックマスター選手!」

 「喝ーーーーーッ!」

 ビリビリビリビリッ!

 「うおー?凄まじい『気合い』ですっ!会場全体が震えるようです!『ギガンティック武蔵選手』金縛りを解きましたーー」

 「名前まで『憑依』していますよーMCの人ーーー!」

 「おーっと、客席にいたミユキ選手に突っ込まれてしまいましたーー」

 

 「ぐうう……そんな、そんな……いくら気合いが凄かろうが、技量までは……『鬼哭流刀……』」

 ピタッ!

 「なっ!?」

 「おーっと、宮本武蔵選手、ドドム選手が刀を鞘から抜く前に、刀の柄を抑えている!?これでは抜けません!」

 「もう『宮本武蔵』って言っちゃってるし」

 「いつの間に……?」

 「これが『先の先』じゃ……勉強になったか?」

 「これが宮本武蔵選手が得意とした『先の先』!相手が攻撃する前に攻撃する剣術です!凄い!」

 

 「バカな、バカな……そんなはずはない、お前が宮本武蔵のわけがない!ならばこれを食らって立っていられるか!?」

 「ドドム選手、宮本武蔵選手から離れます!そして宮本武蔵選手も二本の剣を構えます……これが、伝説の『二天一刀流』かーー!?」

 

 「鬼哭流刀殺法きこくりゅうとうさっぽう 鬼一式おにいちしき、『鬼火オニビ』」

 ボオオッ!

 「鬼哭流刀殺法きこくりゅうとうさっぽう 鬼百式おにひゃくしき、『鬼門キモン』!」

 ズズズン……

 「そして、鬼哭流刀殺法きこくりゅうとうさっぽう 鬼裏式おにうらしき、『裏鬼門ウラキモン』!」

 ズドドドド……

 「おーっと、『鬼門』とは反対、南西の方角にも巨大な鬼の門が出現しましたーー」

 

 「『裏鬼門ウラキモン』は『鬼門キモン』と反対、つまり相手の能力を下げるデバフの技だ。

 これが拙者のとっておき、『鬼コンボ』だ」

 「うおーっとドドム選手、鬼哭流刀殺法の三つの技を同時に発動しました、これは危険だーー」

 

 「この『鬼コンボ』をまともに食らって、立っていた者はいない……

 お前が本当に『宮本武蔵』だというのなら、この技を食らって立っていられるか!?」

 「あーっと宮本武蔵選手、剣を構えます、受ける気満々だーーー」

 

 「くっ……行くぞ!鬼哭流刀殺法 最終奥義 『真打・鬼哭妖炎双牙』ーーッ!!」

 「ああーっと、ドドム選手の二本の刀身から、炎を纏った気力の渦が武蔵選手に向かって飛んでいくーーー」

 「……ッ!」

 ドバアアアアーーーッ!

 「あーっと、武蔵選手、直撃!直撃してしまいましたーーー!生身であの技を受けてはひとたまりもありません!」

 

 「ハ、ハハハ、ハーハッハッハ!どうだ、これが鬼のチカラだ!思い知ったか宮本武蔵!ハーハッハッハ……」

 ポン……

 「えっ」

 「えええ?宮本武蔵選手、ドドム選手の後ろにいて、ドドム選手の肩に手を置いています……いったいいつの間に?」

 「これが二天一刀流『後の先』じゃ、覚えておくといい」

 「そ、そんな……」

 

 「あーっとこれが二天一刀流の『後の先』です!相手の攻撃を完全に見切った後に攻撃する必殺技、これが宮本武蔵の真骨頂かーー!?」

 「おぬしは『気力』に頼りすぎじゃ……だからそれがしが置いていった『気力の塊』を、それがしと勘違いして攻撃してしまった。武道の基本はまず『見ること』じゃ、基本を疎かにしては本末転倒じゃぞ」

 「あ、ううぅぅ……」

 「ドドム選手、まるで宮本武蔵選手に指導を受けているかのようですっ!うらやましぃ~」

 「……宮本武蔵、拙者の、負けだ……」

 ガクッ……

 

 「ドドム選手、ギブアップです、確認して下サイ」

 「あーっとドドム選手、宮本武蔵選手の前で、ガックリ膝を落としてギブアップですーー宮本武蔵選手の勝利ですーー」

 「わああああーーー」

 

 

 シュウウゥゥ……

 「ふぅ……」

 「マスター、元に戻ったんですね?」

 客席から、ミユキとアンジュが俺を見ていた。

 「ああ、何とか勝てたぜ」

 

 「マスター凄いですぅ、あの世から『宮本武蔵』の魂を呼んで、自分に憑依させる魔法なんて、初めて聞きましたぁ」

 「そんな魔法あるわけないだろう」

 「えっ」

 「あれはドドムってやつに、速めにギブアップしてもらうための方便だよ」

 「で、でも本当に宮本武蔵の必殺技とか使ってましたよぉ?」

 

 「『アナライズ』を使えば、技の先読みは容易にできる。

 あの魔法の本当の名前は、『暗示属性魔法サジェスション』……自分自身に『暗示』をかけて、その人物になりきる魔法なんだ」

 「それってつまり、『宮本武蔵になる』っていう妄想を、マスターが自分で自分に暗示をかけたってことですかぁ?」

 「まあそういうことだな、上手くいって良かったよ」

 

 「あきれた……まさか『妄想を暗示』しただけで、あんなに強くなるなんて、さすがマスターとしか言いようが……」

 「やっぱりマスターって、特殊というか、規格外というか……変ですねぇ」

 「俺の『妄想力』、舐めるなよ!」

 

 「良い子のみんなは、絶対にマネしちゃだめよ」

 「……ミユキ、いったい誰に向かって言っているの?」

 

 

 アマネVS闇の民レイザ

 「まさか逃げ出すんじゃないかとヒヤヒヤしたよ」

 「本当は私も逃げ出したいくらいです……」

 「お前にはまだまだ、オレの八つ当たりを受けてもらわないとな!」

 

 レイザの前に魔法陣が展開……『炎』『水』『地』『地』『闇』

 「世界に災いもたらす王よ その目に闇を その手に血を その心臓に災厄を

 ホール・ハルスト・ガッダ・イン・ビドー

 チービル・シャル・レスト・アノン

 災厄属性ペンタグラム、『カラミティゾーン』!」

 ゾゾゾゾゾ……

 

 「あーっとレイザ選手、またもや『災厄属性』の魔法だーーアマネ選手ピンチ!」

 「アハハハ、お前にも『沈黙』と『猛毒』の状態異常をプレゼントしてやる、せいぜい苦しむがいい」

 「……ッ」

 「アマネーー!」

 

 ◇アマネside・精神世界

 (く、苦しい……真っ暗で、闇に飲まれていく……このままじゃ……)

 

 「……か」

 (えっ)

 

 「『光』が欲しいですか……?」

 (この声はいったい……?)

 「アナタの愛するマスターを守ることができる、『光』のチカラが欲しいですか……」

 (……欲しいです、マスターを守る、『光』のチカラが!)

 

 「わかりました、では、一緒に『キラメき』合いましょう……」

 

 

 〇俺side

 「アマネ選手、『沈黙』と『猛毒』の状態異常のせいで苦しんでいます……このままギブアップか?」

 「アマネーー!、くそっ、仕方ない……」

 「もう少しだけ待て、ギガンティックマスター」

 「えっ、ヴァイガン、でもアマネが……」

 

 パアアアーーーー

 

 「あっとぉ?アマネ選手が光に包まれています、これはいったい……」

 「アマネの、髪が金髪に、瞳も金色に……どうなっているんだ?」

 シュウゥゥ……

 

 「アマネ、お前……なんか今までと雰囲気が、体がなんか光ってるし……」

 「フフフ、マスター、少し待っていてください、すぐに終わらせますから」

 「えっ」

 「アマネ選手、先程のレイザ選手の『カラミティゾーン』を破り、そのままレイザ選手の方へ歩いていきます」

 

 「この『光の匂い』……お前、『光の民』だなッ!」

 

 「『光の民』だって?アマネって『二重人格』だったってこと?」

 なぜかヴァイガンが説明する。

 「人間に迫害されていた『光の民』は、エルフと交わることで、代々自分たちの種を残してきた。

 エルフのアマネの中に、もう一人の『光の民の人格』が隠されていたのだろう」

 

 「ヴァイガン、なんでそんなこと知っているんだ?」

 「『オンライン公式設定仕様集』に書いてあったぞ、現実世界に戻ったときに読んだ」

 「えー……そんなことまで書いてあるの?『オンライン公式設定仕様集』って……」

 

 「光と闇は、表裏一体、お互い相容れない存在だ。

 光が強くなれば闇も濃くなり、闇が濃くなれば、光もまた強くなる……闇の民レイザの攻撃を受け、アマネの中の『光の力』が高まったのだろう」

 「それでアマネの中の、もう一人の『光の民の人格』が目覚めたってことか」

 

 

 「ウフフ、おいで、『ウィルオーウィスプ』」

 「おーっとアマネ選手、光の精霊『ウィルオーウィスプ』を召喚しました、凄い数です!」

 「前のアマネやキャルロッテは、五体が精いっぱいだったのに、今のアマネの『ウィルオーウィスプ』は全部で十二体……」

 

 「フッ、性懲りもなくまた召喚したのかい……アミサー、頼んだよ」

 「はい」

 「空間の主たる我が名において命ずる、……」

 

 「『光牙ライトニングファング』!」

 バチィッ!

 「キャアーー」

 「アマネ選手、手から光る鞭のようなものを出し、アミサー選手を捕まえました!強制送還の技は不発に終わっています」

 「アミサー!」

 「いけない子ですね、他人の物を勝手に『強制送還』させるなんて……」

 

 「テメー、アミサーを離せ!」

 「いいですよ、でもその前に……」

 バチィッ!

 「あうっ!」

 「アマネ選手、光の鞭でアミサー選手を攻撃、アミサー選手痺れて立てないようです」

 「アミサー!」

 

 「ウフフ、『光』はね、意外に『おてんば』なのよ」

 「テメーよくもアミサーを……やっぱり『光の民』は気に入らねぇ、お前はオレがぶっ倒す!」

 ゴゴゴゴ……

 「また地鳴り?これは……?」

 

 「『ダークマタードラゴン』、来い!」

 「バオオオオオオンッ!」

 「レイザ選手、またもや闇の精霊『ダークマタードラゴン』を呼び寄せましたーー」

 「あいつを引き裂いてしまえッ!」

 

 「あらあら、お行儀が悪いですね……ウィルオーウィスプ!」

 「アマネ選手も光の精霊を呼び寄せましたー!……おっと?ウィルオーウィスプ達を自分の前に整列させました、これはいったい……?」

 「アドバンスドアーツ、『シャイニングウォール』!」

 パアアーーー!

 「ギャインッ」

 「『ダークマタードラゴン』!?」

 「アマネ選手、光の精霊ウィルオーウィスプを整列させて巨大な『光の壁』を作り、ダークマタードラゴンを跳ね返しました!」

 「すげぇ……『ホーリーシールド』の倍以上の防御力と範囲……」

 

 「こいつ……これでもくらえ!アドバンスドアーツ、『闇の千手』ッ!」

 バアアアアッ!

 「レイザ選手の『闇の千手』ですっ!千本の黒い手が、アマネ選手に襲い掛かる!」

 

 アマネの前に魔法陣が展開……『風』『光』『光』

 「スー・ビー・ロイテウル・カナン・フーリー・フーミュー・ルーテス

 光の精霊よ その清廉なる光により 彼の者の邪悪を 暴き給え

 閃光属性ハイアナグラム 『ブライトーション』!」

 カァッ!

 「しまった、目が……」

 「あーっと、アマネ選手の『閃光属性魔法』です!思わず私も直視してしまい目が眩んでいますーースミマセン!」

 「ウフフ、みんなの目が治るまで待っていてあげます……」

 

 「……やっと目が戻ってきました、アマネ選手余裕です、本当に待っていました!」

 「くそっ、舐めやがって……これならどうだ!

 『闇の千手』よ、集まり混ざれ!アドバンスドアーツ、『闇の王の抱擁やみのおうのほうよう!』

 ズゾゾゾゾゾ……

 「レイザ選手の『闇の腕』が、アマネ選手に掴みかかるーーアマネ選手危なーい!」

 

 アマネの前に魔法陣が展開……『光』『光』『光』『光』

 「レンズ・リング・ロンド・アークソルタ・ネイジー

 光よ 光子よ 閃光の力解き放ち 世界を光明で照らし給え

 光属性クアトログラム、『フォトンブラスター』!」

 パパパパパパパパパパパパパパーーー!

 

 「マジかアマネ!?覚醒する前の四倍以上の光線の束!魔力量も半端じゃねぇーー!」

 「アマネ選手の『フォトンブラスター』ーー!物凄い数の光線が、レイザ選手の『闇の腕』を散り散りに消し飛ばしていきます!」

 「うおおおーー、なんだとぉー!?」

 

 「さあ、どうしました、もう終わりですか?」

 「このやろう……『ダークマタードラゴン』、来い!」

 「レイザ選手、また『ダークマタードラゴン』を呼び寄せましたーー、先程防がれましたが?」

 「『ダークマタードラゴン』、『融合』だっ!」

 「バオオオーーーン!」

 「あーっと、三体の『ダークマタードラゴン』が、回転しながら一つとなり、巨大な黒竜になりましたーーー」

 「こいつがオレの最大の技、『ディザスタードラゴン』だ!くらえーー!」

 「グバアアアアアッ!」

 ドバアアアアアッ

 「アマネーーーーッ!」

 「あーっとアマネ選手、レイザ選手の『ディザスタードラゴン』をまともに食らってしまったーーーッ!」

 

 「この『ディザスタードラゴン』は、闇属性のダメージに加え、相手に任意の状態異常を三つつけることができる。お前につけるのは、『世界条約』で禁止されている『拷問』『傀儡』『自殺』の状態異常だ!死ねーーー!」

 

 「……アドバンスドアーツ、『アマネフィールド』!」

 

 パアアアーーーーー……

 「な、なにぃーー、こ、これは……?」

 「『アマネフィールド』……?覚醒した後でも使えるのか……もう無敵じゃん?」

 「残念ですが、アナタの『ディザスタードラゴン』の状態異常攻撃は、私には通じません」

 「くっ、ちく、しょう……」

 

 「ですが、今の攻撃は中々でした……さあ、アナタも私と一緒に、『キラメき』合いましょう!」

 アマネの前に魔法陣が展開……『光』『光』『光』『光』『光』『光』

「ジャイン・ニード・アンブル・クエイド・リズィーク・カカ・アンバー・リイン・キーン・メイク

 光の神と その眷属に申し上げる この世の闇を照らすは 神の御光による 聖なる輝き 闇を打ち祓い 邪悪を滅せよ 全ては光のために……

 光属性ヘキサグラム 『グレイテストグリッター』!」

 

 ズズズズ……バアアアアーーーーーーッ!

 「う、うわああああああッ!」

 「うおおお!アマネ選手の光属性ヘキサグラム、『グレイテストグリッター』ですっ!

 地面に無数の光が収束したかと思うと、巨大な光の柱が屹立し、レイザ選手を飲み込んでしまいました!凄いぃぃッ!」

 「わああぁぁ…………」

 

 ◆レイザの精神世界

 真っ暗な世界……ぽつんと一人、闇の民レイザが立っている。

 「ここは……?オレは、死んだのか……?」

 

 遠くで青白い火の玉が三つ、浮かんでいるのが見える……

 レイザはその火の玉の元へ歩いていく。

 「お父さん、お母さん、お兄ちゃん……」

 火の玉はレイザの両親と兄だった。

 

 「オレ、みんながいなくなって寂しかった……」

 「ああ、私の愛しいレイザ……」

 「そうか、お前も寂しかったのか、私たちも寂しかったぞ……」

 「えっ」

 

 レイザの両親と兄は、体が崩れていく……

 「レイザ……苦しい、ここは苦しいよ、お前も、早くオレたちの仲間にぃ……」

 「お、お兄ちゃ……」

 「ああレイザ、私たちを置いて、なぜお前は生きているぅぅ……?」

 「い、いや……」

 

 「レイザ、さあお前もこちらに来なさいぃ……」

 「オレ達は家族だ……お前も、オレ達と、いっしょ、ぬぃぃ……」

 「いや、来ないで、死にたくない……誰か、誰か助けて!」

 

 その時、周りにヒビが走る!

 バリィィーーーン!

 

 

 〇俺side

 「こ、ここは?オレは……?」

 「レイザ選手、一瞬止まったと思うと、気が付いて周りをキョロキョロしています……いったいどうしたのでしょうか?」

 

 「今のは……幻覚……?」

 「光術属性ハイアナグラム、『カレイドスコープ』です、フフフ……いい幻術ユメをご覧になって?」

 「アマネ選手、いつの間にかレイザ選手に『光術属性魔法』をかけていた模様です。レイザ選手どうしたのでしょう、まるで誰かに襲われたかのように、恐怖で震えています……?」

 

 震えてうな垂れているレイザに、アマネが近づく……

 「私たち光の民は、エルフと共生し、交わることで種を残そうとしました。

 アナタたち闇の民は、夜の民と共存し、闇の民のフリをすることで種を残そうとしたのですね」

 アマネは膝をつき、レイザの頬に手を添えながら話す……

 「『光』と『闇』は決して相容れない存在です、光の民の私と、闇の民のアナタ、私たちは一生わかり合うことはできないかもしれません……」

 「お、お前……」

 

 「でも、私はアナタを『否定』はしません」

 「うう、うぅぅ……」

 ガクッ

 レイザが膝から崩れた……

 「オレの……負けだ……」

 

 「レイザ選手、ギブアップです、確認して下サイ」

 「あーっと、レイザ選手、ギブアップですーーー」

 「わああああーー」

 

 アマネすげぇ……あのレイザに勝っちまった

 「マスター」

 「お、おお、アマネ……なんか雰囲気が変わってしまって、アマネじゃないみたいだ」

 「フフフ、私とエルフのアマネは、一つの魂に二つの人格が備わっている、非常に稀有な状態なのです。ですから、エルフのアマネが大好きな人は、私も大好きな人、ということになります、マスター」

 「そ、そうなんだ……

 お前が出てきてくれなかったら、きっと負けていたよ、ありがとう」

 

 「フフフ……この力のベースは、元々のエルフのアマネの力ですよ」

 「えっ、ということは、リミッターが外れたアマネの真の実力は、今ぐらいあるってこと?」

 「そういうことになりますね」

 マジか……アマネもまだまだ成長途中ってことなんだな。

 

 「またいずれ私の出番が来るかもしれません、それまで暫しのお別れですねマスター」

 「あ、ああ」

 「エルフの私にも、よろしくお伝え下さい……では」

 シュウゥゥン……

 「ア、アマネ……」

 アマネが俺の方に倒れこんできたので、俺が抱きとめた。

 アマネの髪の毛が元の色に戻っている、まだ気絶しているけど……

 後で話したら、ビックリするだろうな……

 

 

 ヴァイガン&ノノアVSドラゴニックキング&リュオン&アミサー

 「残り『七手』……ドラゴニックキングと天空の民アミサーは、すでに動きを封じられている、『竜の民リュオン』さえ倒せば、こちらの勝利は確実だ」

 「ヴァイガン選手、ノノア選手と一緒に、リュオン選手の方へ近づいていきます……」

 

 「…………」

 「どうやらこの竜の民、喋れないようだな?」

 視界を奪われているドラゴニックキングが、代わりに話す。

 「オレは『アナライズ』ができるから、こいつの心が読める……リュオンは人間たちの迫害により、片目と喉を潰されている」

 「そうか、それで『人間恐怖症』に……

 だが今はギガンティックマスターの活躍もあり、奴隷や奴隷商人の数も減りつつあると聞いたが……」

 

 「そんなものは氷山の一角にすぎない……

 実際は、今、この時も、亜人たちは迫害され続けている。

 オレは上流階級の奴らや貴族たちに、それをやめさせるために、負けるわけにはいかねぇんだ!」

 

 「そうか、お前の行いは正しい、それは続けるがいい。だがそれとこの戦いは別だ」

 ヴァイガン、クールだな……

 

 「リュオン、『ドラゴニックスキン』だ!」

 リュオンがコクりと頷くと、胸の前で腕を組んだまま、体が光り出した!

 カアァーーッ!

 「あーっとドラゴニックキング選手が叫ぶと、リュオン選手の体が光り出しました、『ドラゴニックスキン』と言っていましたが……?」

 

 「この技は、自分の体に目に見えない『気力』の膜を張り、あらゆる攻撃から自分を守る防御の技だ。

 お前たちが外側からどんなに攻撃をしても、リュオンにダメージは与えられねぇ!」

 「『気力』の膜……?」

 

 「リュオン、オレがこの術を破るまで持ちこたえろ!

 うおおおおおおおお……」

 「ドラゴニックキング選手、物凄い気合いです、本当に術を破りそうな勢いです!」

 

 「あと『五手』、一分弱といったところか……ノノア、攻撃だ」

 「はい、すいません」

 ノノアの前に魔法陣が展開……『風』『風』『地』

 「雷雲を携えしもの 大気を震わせ 大地を穿て 秩序を乱すものに罰を 雷よ落ち給え 落雷属性ハイアナグラム、『メガボルト』!」

 ガカァッ!

 

 ヴァイガンの前に魔法陣が展開……『水』『水』『風』『地』

 「氷の王 白き精霊に懇願する 物質の動きを止め 万物の命を等しく奪え 全てが停まった世界で 我、終焉を拒むものなり

 冷却属性クアトログラム『チルドレーション』!」

 ビキビキビキッ

 

 「落雷と、真っ白な冷気が、リュオン選手に直撃!……しかし、リュオン選手無傷です!」

 「そんな……」

 「フム……どうやら『気力』の膜との間に『真空の層』を作り、空気の伝播を遮断したようだな」

 「えっ、それって……」

 「四大属性の魔法は、ほぼ通用しないと思っていい」

 「ええ~」

 

 「ギガンティックマスターの『爆縮属性魔法インプロージョン』ならあるいは効いたかもしれないが……」

 「マスターはあと一回しか魔法が使えません」

 「あの『気力』の膜だと、打撃もほぼ無効にされそうだ……」

 「あの防御、無敵じゃん!?」

 「異世界あいどる24、打つ手がないようです、恐るべし『ドラゴニックスキン』!」

 

 「リュオン、もう少し、もう少しだ……じいぃおおおぉぉ!!」

 「あいつ、もう術を解きそうだ、どうするんだヴァイガン!?」

 「残り『三手』、ぶっつけ本番だが……試してみよう、行くぞノノア」

 「スミマセンわかりました」

 

 「おっとノノア選手、リュオン選手から少し離れた所で魔力を集中しています……これは?」

 ノノアの前に魔法陣が展開……『地』『炎』『風』

 「大地におわす 地の神よ 我に大いなる星の力与え給え 力の紋章もちて 星の中心となり 我と其に偉大なる影響力を示さん……」

 「これは『磁界属性魔法ホライゾン』?リュオンを吹っ飛ばしても、多分ダメージはないぞ?」

 「わかっている……だが、反対の威力を持つ魔法を、同時に受けたらどうかな?」

 

 ヴァイガンの前に魔法陣が展開……『地』『炎』『風』

 「大地におわす 地の神よ 我に大いなる星の力与えよ 力の紋章もちて 星の中心となり 我と其に偉大なる影響力を示さん……」

 「えっ、これって……」

 

 「磁界属性ハイアナグラム、『ホライゾン・反発』!」

 「磁界属性ハイアナグラム、『ホライゾン・吸引』!」

 ズドンッ

 「……ッ!」

 「あーっと、ヴァイガン選手とノノア選手が同時に『磁界属性魔法ホライゾン』を……」

 

 「一か所に『反発』と『吸引』の力を同時にかければ、そこには数倍の磁力のチカラがかかる!

 四大属性ではないし、打撃属性でもない、『ドラゴニックスキン』は関係ない!」

 相手の内側にダメージを与える同時攻撃……これなら!

 

 「レゾナンスマジック、『ホライゾン・オーバーフロー』!」

 

 「…………ッ!」

 「『竜の民のリュオン』ってやつ、『ホライゾン・オーバーフロー』を耐えようとしているのか?」

 「おおおおおおおお!」

 「はあああああああ!」

 「…………ッ!!」

 「ヴァイガン選手とノノア選手が、魔法の出力を上げます!リュオン選手、果たして……」

 

 バアアアンッ!

 「あーっとドラゴニックキング選手、術を解きました!」

 「ハァハァハァ、どうだ、解いてやったぞ!」

 

 「ほう、あの『カラミティゾーン』と、ノームの重力攻撃を解いたか、素晴らしい速度だった……しかし一手遅かったな、チェックメイトだ」

 『竜の民リュオン』は、白目をむき、その場で膝をついて微動だにしない……

 「あーっと、竜の民リュオン選手、既に気絶していましたーー、戦闘不能です!」

 「リュオン選手、気絶により戦闘不能、確認して下サイ」

 「なっ……リュオン……」

 

 「安心しろ、殺してはいない、だが、そいつが目覚めるのは、お前が気絶した後だ」

 「くっ、くそっ……」

 

 あの絶望的だった、危機的状況を見事にひっくり返しやがった……『軍師ヴァイガン』ここにありって感じだな。

 なんで俺あいつに勝てたんだろう……?

 

 「さあ、あの危機的状況から逆転した異世界あいどる24、優勝まであと一歩です!」

 

 ドラゴニックキングが立ち上がり、俺たちの方へ歩いてきた。

 「お前たちは確かに強い、それは認めよう。

 ギガンティックマスター、お前今あと一回しか魔法が使えないんだったよな……そこでオレから提案だ。オレとギガンティックマスター、二人での魔法一発勝負というのはどうだ?」

 「魔法一発勝負?」

 「お互いに最大魔法を打ち合って、ダメージの多い方が負け……どうだ、単純だろ?」

 

 「おーっとドラゴニックキング選手、リーダー同士の『魔法一発勝負』を持ちかけてきました、果たしてギガンティックマスター選手の返答は……?」

 

  「どうする、わざわざ乗る必要はない……

 これは『バトルロイヤル』なのだろう?こっちが四人がかりでドラゴニックキングとやり合っても、ルール違反にはならない」

 「そうだな、わかっている、わかっているけど……やってやろうじゃねーか!」

 

 ヴァイガンは顔に手を当てて、呆れた顔をしている……

 「やれやれ、お前ならそういうだろうと思っていた……

 まあどのみち、ドラゴニックキングのとどめはお前に任せようと思っていたから、好きにするがいいさ」

 

 「でも、明らかに現時点のマスターの方が、ダメージが大きい気がします、すいません」

 「そうだな、仮にお互いまったく同じ魔法を放ったとしたら、負けるのは俺だろうな」

 「しかも相手はあのドラゴニックキングだ……まともにタイマンをしてくるとは限らない」

 「わかっているよ……でもな、

 男には、負けるとわかっている勝負でも、絶対に引けない時がある、今がその時なんだ!」

 

 

 ☆今回の成果

  俺 暗示属性クアトログラム『サジェスション』習得

  アマネ アドバンスドアーツ『光牙ライトニングファング』習得

  アマネ アドバンスドアーツ『シャイニングウォール』習得

  アマネ 光属性ヘキサグラム『グレイテストグリッター』習得

  ヴァイガン&ノノア レゾナンスマジック『ホライゾン・オーバーフロー』習得

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