第46話トーナメント開始

 アナタはアイドルに『制止』されたことがありますか?……俺はある。

 

 『ヴァロンコロシアム』の周りは出店が立ち並び、人でごった返し、大繁盛みたいだ。

 「国民からすれば、でっかい『お祭り』、現実世界のオリンピックみたいなもんなんだろうな。こりゃあ相当な経済効果も期待できるな」

 俺たちは、サモンロード達と街の様子を見に来ていた。

 

 その出店の一角に、たくさんの人だかりができている、あれは……

 「さあさあ、どこのチームに賭ける?一番人気は『カイエル宮廷五獣士』だよ~」

 「賭場ができてる、まあこういう大会があればあるあるかな……ってか、まるで俺たちは競馬の『馬』のようだな」

 俺の頭の中では、馬の格好をした俺たちが、頭から『オリハルコン』というエサをぶら下げて、走らされている妄想が浮かぶ……ヒヒーン!

 

 「どれどれ、俺たちの順位は……三番人気か、まあまあだな」

 「まだ僕たち『屠りしもの』は、キミの活躍があれど、そこまで有名じゃないからね。一番人気は『カイエル宮廷五獣士』。二番人気は『ファルセイン王国騎士団』だね」

 「さすがこの二チームは有名だからな」

 

 「僕たちなんて七番人気だよ、『カイエルサイキョー魔導士』よりも下だ」(泣)

 「ま、まあまあ……これからお互い頑張っていこう、サモンロード」

 

 『ヴァロンコロシアム』の入り口に、世界中から選抜された十六組のチームのトーナメント表が張り出された。

 

  ①異世界あいどる24

  ②ヴァロン猛虎傭兵団

  ③サザバード空艇師団

  ④イチヒコチーム

  ⑤カイエル宮廷五獣士

  ⑥サザバード亜人同盟

  ⑦クイーン&ストリーム

  ⑧ニビルチーム

  ⑨株式会社ヴァロン商会

  ⑩サモンロードチーム

  ⑪テンマルチーム

  ⑫七長老チーム

  ⑬カイエルサイキョー海軍

  ⑭ファルセイン王国騎士団

  ⑮カイエルサイキョー魔導士

  ⑯ドラゴンキングダム

 

 

 

 大会一日目は、十六組のチームが八組に絞られる。

 

 「さあ~みなさん大変長らくお待たせいたしました『四天王戦世界大会』の開始です!」

 「わあああああーーーー」

 「まってましたーーー」

 

 「おおー、さすがは世界大会、『カイエル四天王戦大会』と同様に、MCと『むザイくん』と『ゆうザイくん』がついてる」

 ヴァロンコロシアムの客席は、世界各国から五万人が集まり満席に。

 立見席すら埋まるほどの人気だ。

 鏡魔法での中継もあるらしい。

 

 「さて、俺たちの一回戦の相手は……『ヴァロン猛虎傭兵団』か」

 「ギガンティックマスター殿」

 「おお、メギード王」

 「一回戦の相手は『ヴァロン猛虎傭兵団』か……」

 「知っているのか?」

 「昔ヴァロンと戦争したことがあってな、遠くの方で一目見ただけだったが、中々のツワモノだった」

 「ほう」

 「何十人もの荒くれ集団を、ボスがそのカリスマ性で統率しているという印象だ」

 

 

 「まずは一回戦目、両チームの入場です!」

 「わあーーー」

 今回の四天王は、『マキア』『カスミ』『マコト』『アマネ』の四人。

 レベルや相性なども考慮した、現時点で俺の考えうる、最強の布陣だ。

 「よし、異世界あいどる24、出陣だ!」

 「はい!」

 

 相手の『ヴァロン猛虎傭兵団』と、会場の真ん中で相対する。

 「へっへっへ……」

 「ヒッヒッヒ……」

 ナイフや弓を持った奴や、魔導士っぽい奴も……真ん中にゴツくて体中傷だらけの大男が立っている。

 こいつがカリスマボスっぽいな。

 ん?なんかカエルみたいな顔したやつもいるけど……マスクかな?

 

 『ヴァロンコロシアム』も、『カイエルコロッセオ』の時と同じように、広い会場に、岩場や森林、川や洞窟などがあり、自分たちの得意な地形で戦闘ができるようになっている。

 

 「オレ達は戦闘のプロだ、お前たちの好きな地形で戦っていいぞ」

 「あそう、じゃあここでいいよ、さっさとやろう」

 「小僧……なめていると痛い目にあうぞ」

 なめているのはそっちだと思うけどなぁ……

 

 「バトルスタートします、3、2、1、スタート!」

 

 「全員、かかれ!」

 「リーダーの号令で、一斉に襲い掛かる『猛虎傭兵団』!しかしギガンティックマスター選手、構わずに詠唱を唱えていますー?」

 「衝撃よ 波となり 破壊となれ

 カイ・ル・ランクルス・ヴォーレイズ・ガンナ・イプシオン

 超衝撃波属性クアトログラム、『ヘクト・インパルス』!」

 シュバババババ!

 

 「なんとー?凄まじく速い詠唱だー!巨大な衝撃波が扇状に放たれて、『猛虎傭兵団』はみんな吹き飛んでいったーー!」

 ん……?俺の前に一人残っているやつがいる……カエル顔のやつだ。

 「なんと!?カエル顔の選手が一人、『対魔力結界』を張って耐えていましたーー、勝手に『カエル選手』と呼ばせてもらいます!」

 

 「お前やるな、ボスの号令を無視して俺に飛び掛かってこなかったか」

 「何も考えずすぐに飛び掛かるのは、バカのすることゲロ」

 (カエル顔のくせに……?)

 

 「ひょっとしてお前、カエルの『魔強化人間エンハンサー』か?」

 「よく分かったゲロ、オラは錬金術師アルケミストのDr.ナマズエの開発した『獣魔システム』で強化した、『魔強化人間エンハンサー』ゲロ」

 なるほど、唯一いなかった『両生類』のエンハンサーはここにいたんだな……

 

 「オラは優秀な、陸と水の『ハイブリッドエンハンサー』ゲロ!」

 「へえーそうなんですねー」

 「その物凄い棒読みナニゲロ?」

 

 「その優秀なエンハンサーのお前が、なんで騎士団じゃなくて傭兵なんかやっているんだ?」

 「アイツら、オラのことをエサとしてしか見ていなかったから、わざと抜けて困らせてやったゲロ」

 (ふむ、ビビッて逃げてきたわけか……モノは言いようだな)

 

 「ゲロローーーッ!」

 「カエル選手の舌が伸びて、マキア選手の足首に絡みつきましたーー」

 「ひえぇ、き、気持ち悪い……」

 

 「このオラの舌で、じっくり、ねっとり、味見してから引きずり込んでやるゲロ」

 「この『変態強化人間』め……」

 

 「天の水辺より力を与えよ 水竜よ 天より舞い降り 瀑布となれ

 水属性アナグラム『カスケード』!」

 ドシャーーーッ

 「おーっとカエル選手、水の魔法『カスケード』を放つが、まったく当たっていません、しかし不敵な笑みをこぼしています」

 「フッフッフ……ゲロ」

 

 マキアの前に魔法陣が展開……『水』『風』

 「氷の精霊よ 我に宿りて氷結の力高め その息吹で敵を粉砕させ給え 氷属性アナグラム フロストブレス!」

 ビキビキビキ!

 「あーっとマキア選手の氷の魔法で、水面が凍りつきましたー!」

 「ゲロゲロー!水面を亜空間で繋げて、水中に引きずり込むオラの作戦が……」

 (……だと思った)

 

 「マコト」

 「出番とよ、『ヒュドラちゃん』!」

 「マコト選手の鞄から、小さなロープが一本出てきました、これは……?」

 「シャアアアアッ!」

 「なんとぉー!?小さなロープだと思っていたものは、『魔界の大蛇ヒュドラ』でしたーーー!」

 実は『デスサイズ幹部』との戦闘後、正気に戻ったヒュドラは、そのままマコトが引き取ってペットにしていたのだ。

 

 「ゲロゲローーー!?カエルにヘビは……いかんゲロ……」

 バタッ!

 「そこまで!勝者『異世界あいどる24』です、確認して下サイ」

 「あーっと、ヒュドラを見てカエル選手気絶してしまったーー、これが世に言う『ヘビに睨まれたカエル』かー?試合終了です!」

 「わああーーーいいぞーーー」

 

 俺たちは颯爽と会場を降りる。

 下にはメギード王と、神魔が待っていた。

 「ギャウギャウ」

 「ギガンティックマスター殿……少し強くなりすぎではないか?」

 「まあいろいろ経験したからな……ちなみにまだまだこんなもんじゃないぜ」

 

 

 その後も試合は進んでいく。

 

 二回戦目はサザバード空艇師団VSイチヒコチーム。

 サザバード空艇師団は、中央島へ行くときもお世話になった『グリフォン』や『ハーピー』が主体のチーム。

 師団長がリーダーで、他に『ワイバーン』と『キマイラ』もいる。

 結果はイチヒコチームの圧勝。

 次の俺の対戦相手はイチヒコに決まりだ。

 

 

 三回戦目はカイエル宮廷五獣士VSサザバード亜人同盟。

『サザバード亜人同盟』は、サザバードの七長老じゃない亜人たちで結成されたチームだ。『霧の民』や『鏡の民』もいる。

 さすがは千迅騎士五人組、特に危険な場面もなく、難なく一回戦突破……最有力優勝候補の名は伊達じゃない。

 

 

 四回戦目はクイーン&ストリームVSニビルチーム。

 ニビル達もだいぶ強くなっていたんだけど、さすがは『屠りしもの』、その実力を見せることなく、圧勝。

 「旦那ぁ~、負けちまった~」(泣)

 「ん~相手が悪かったな……あれは強すぎだ」

 リーダーのクイーンは後ろの方で全く動くことなく、超絶イケメンの四天王がニビル達を瞬殺……実力も、連携も、見事なものだった。

 

 

 五回戦目は株式会社ヴァロン商会VSサモンロードチーム。

 さすがはヴァロン帝国、『株式会社』があるのか……

 でもこのヴァロン商会、どうやら『奴隷商』の会社らしい……世界中から優秀な『戦闘奴隷』を集めてきたみたいだ。

 

 「未だに奴隷とか使っているなんて……少し感じ悪いね」

 少し怒っていたサモンロード、ヴァロン商会に圧勝。

 サモンロードのやつも、前より格段に強くなっているのがわかる……

 

 

 六回戦目はテンマルチームVS七長老チーム。

 テンマルチームの善戦むなしく、七長老チームの勝利。

 「ううぅぅ~イチヒコく~ん、悔しいよぅ」

 ……テンマルのチームも大分強くなっていたんだけどな、さすがにサザバードの実力者集団『七長老』には敵わないか。

 あの人たち、意外に大人げないからな。

 

 

 七回戦目はカイエルサイキョー海軍VSファルセイン王国騎士団。

 このカイエルサイキョー海軍は、以前『カイエル四天王戦大会』の準決勝で、俺たちと戦った相手だ。

 まあまあの強さだったと思ったけど……ファルセイン王国騎士団の圧勝。

 メギード王め、四天王に『轟きのゴーガン』と『法螺吹きのエリア』、それに『餅つきのベンケイ』と『呟きのジロウ』を入れている……

 まあ、その辺のやつには負けないよな……

 

 

 八回戦目はカイエルサイキョー魔導士VSドラゴンキングダム。

 カイエルサイキョー魔導士は、『カイエル四天王戦大会』で俺たちと二回戦で戦った相手、まあ、『屠りしもの』ドラゴニックキングが率いる四天王だし、圧勝だとはわかっていたけど……

 

 「そこまで!勝者『ドラゴンキングダム』です、確認して下サイ」

 「ザワザワザワ……」

 「マジか、試合開始わずか一分で……」

 

 「ほとんど一撃で……まさに鬼神のごとき強さだった……」

 「メギード王、アンタの次の対戦相手だぜ?大丈夫か?」

 「あれは相手が弱すぎだったのだろう、オレから見ても動きが悪かった」

 「確かに強くはなかったけど、特別弱くもなかったと思うけどなぁ……」

 ドラゴニックキングの四天王は、一つも動くことなく、キングが相手の魔法を『対魔力結界』で吸収して、クアトログラム一発で全滅……まったく底が見えない。

 

 大会一日目はここで終了

 

 *****

 

 大会二日目、八組による準々決勝戦が始まった。

 

 俺たちの二回戦目の相手は、『イチヒコチーム』。

 

 「昨日の試合、中々だったじゃないか。四天王の編成も、連携もよかった、大分勉強したようだな」

 「ありがとうございます師匠、今日は胸を借りますよ!」

 

 

 「それでは『四天王戦世界大会』二日目第一回戦、バトルスタートします、3、2、1、スタート!」

 

 お互いに対峙する俺たち『異世界あいどる24』とイチヒコチーム。

 「今回は奇襲はしないんですね?師匠」

 「ああ、その男ヒーラーに『サーチ』を会得させているな?俺への対策はバッチリってとこか?」

 「バレていましたか、さすがは師匠」

 

 「さあ~始まりました二日目第一試合、先に動くのは果たしてどちらかー?」

 

 ふむふむ、イチヒコの四天王も、軒並みステータスが上がっているな。

 リザードマンは装備を一新して、防御力が大幅にアップしている。

 メイジオークも、以前ヒナタが装備していた、レベル六十五以上限定の『大魔導の杖』を持っているし、女戦士の剣も、バスタードソードから、さらに巨大で重い『バスターブロードソード』に変更している。

 

 「よし、師匠の攻撃を迎え撃つ、全員『鶴翼の陣』!」

 「おう!」

 「おおー、『陣形』を使ってきたか、勉強しているじゃないか」

 

 『陣形』とは、このギルギルの『四天王戦』において使用できる、戦術的な配置のことである。

 攻撃主体、防御主体など、様々な陣形があり、ステータスにボーナスがついたりする。

 イチヒコの使った『鶴翼の陣』は、戦国時代の日本でも実際に使われた、防御主体の陣形だ。リーダーを中心にV字型に四天王を配置する。

 「おーっとイチヒコチーム、陣形『鶴翼の陣』を使ってきましたー、ボーナスは全員に防御・魔法防御+二の効果です」

 

 「どーれ、お手並み拝見……」

 俺の前に魔法陣が展開……『炎』『風』『光』

 「ミリタリス・ビー・オージャ・ダナドゥ

 我 光弾を操り 敵を屠るものなり 光弾属性ハイアナグラム、『ヴァーミリオンレイ』!」

 ドキュキュキュ!

 「ギガンティックマスター選手の『ヴァーミリオンレイ』です、物凄い数の光弾がイチヒコチームに飛んできます!」

 

 「みんな下がれ、『対魔力結界』展開!」

 シュイィィンッ!

 「イチヒコ選手、『対魔力結界』で光弾を吸収!魔法防御も上がっています」

 あのイチヒコが、自分の四天王をかばって……成長したなぁ。あ、なんか泣けてきた。

 

 「どうですか師匠、以前のように一方的にやられたりはしないっすよ!」

 「うんうん、成長したなぁイチヒコ、じゃあもう一回」

 俺の前に魔法陣が展開……『炎』『風』『光』

 「ミリタリス・ビー・オージャ・ダナドゥ

 我 光弾を操り 敵を屠るものなり 光弾属性ハイアナグラム、『ヴァーミリオンレイ』!」

 ドキュキュキュ!

 

 「また同じ術を?無駄ですよ師匠!『対魔力結界』展開!」

 「あーっと、ギガンティックマスター選手、また同じ魔法を使ったーー、イチヒコ選手も『対魔力結界』を張って迎え撃ちます」

 「光弾よ、止まれ!」

 ピタッピタッ!

 

 「なんとーー!?光弾が空中で制止しましたーー、これはいったい?」

 

 「光弾よ、回り込め!」

 ドキュキュキュ!

 「ギガンティックマスター選手の合図で、光弾は弧を描きながらイチヒコチームの背後に回り込みましたーーー!」

 ドドドドド!

 「うわぁーー!」

 「イチヒコチーム被弾ーー、ダメージが加算されます!」

 

 「くっ、さすがは師匠……光弾を自由自在に操っている」

 「防御ばっかり固めていても勝てないぞ、『鶴翼の陣』の弱点はこれだ!みんな、『魚鱗の陣』!」

 「はい!」

 『魚鱗の陣』は、四天王を魚の鱗の様なΛ字のように配置して、相手の防御を一点突破する陣形だ。

 

 「あーっと、異世界あいどる24も『魚鱗の陣』を使ってきましたー、ボーナスは攻撃力・魔力+二です」

 「よし、全員で一点突破だ」

 「はああーー!」

 ガキィーーン!

 「マキア選手の攻撃を受けたのはイチヒコチームの女戦士選手だーー」

 「くっ、なんて重たい一撃……私のバスターブロードソードが、もう刃こぼれを……」

 「『ハイブリッド高周波ソード』!」

 ズガアアアーーッ

 「キャーー」

 「あーっと、イチヒコチームの女戦士選手、マキア選手の技を食らって吹き飛んでいきました!戦闘不能です!」

 「そんな、一撃で?」

 

 メイジオークの前に魔法陣が展開……『水』『地』『闇』

 「グエン・メル・ドス・ゲイリル

 我 大気より毒素を生成し 敵を侵すものなり 毒弾属性ハイアナグラム、『トキシックレイ』!」

 ドンッドンッドン!

 「イチヒコチームのメイジオーク選手の杖から、毒の球がカスミ選手めがけて飛んでいきますーー!」

 

 「一人レゾナンスアーツ、『アマノイワト・キュウ』!」

 『アマノイワト・キュウ』は、球のように変形して術者を中に入れ、相手の魔法を軽減してくれる形態だ。

 ズドドドーーーッ!

 「ブヒッ!?」

 「あーっとカスミ選手、ほとんどダメージを受けていない!」

 「一人レゾナンスアーツ、『アマノイワト・烈』!」

 ズドンッ!

 「ブヒブヒーーッ!」

 「カスミ選手、棘のついた『アマノイワト』で、メイジオーク選手に突撃!メイジオーク選手戦闘不能です」

 「メイジオークも一撃で!?」

 

 「羊のめん太に乗ったマコト選手に睨まれて、男ヒーラー選手ビビって委縮しています、これもまさに昨日と同じ、『ヘビに睨まれたカエル』状態!」

 ……今日のMCは、以前にも増して饒舌だなぁ。

 

 アマネの前に魔法陣が展開……『光』『光』『光』『光』

 「レンズ・リング・ロンド・アークソルタ・ネイジー

 光よ 光子よ 閃光の力解き放ち 世界を光明で照らし給え 光属性クアトログラム、『フォトンブラスター』!」

 「うわああああーーーー」

 ドドドドド……

 

 「あーっと、イチヒコ選手に眩い光線が幾重にも重なり降り注ぐ!これは試合終了かーー?」

 煙が晴れる、イチヒコは……無事だ。

 「リザードマン選手がイチヒコ選手の前で気絶、これは『サクリファイス』です、イチヒコ選手首の皮一枚繋がりましたーー」

 「すまないリザードマン、ありがとう……」

 「『サクリファイス』か……しっかり信頼度も上げていたんだな、やるじゃないかイチヒコ」

 「さすがは師匠、強いのはわかっていたけど、ここまで差があるとは……」

 

 「どうするイチヒコ?降参するか?」

 「とんでもない、オレには『秘密兵器』があると言ったじゃないですか」

 

 「イチヒコくん!」

 「頼む、テンマル!」

 テンマルは近くにあったトラックに乗り込み、荷台の後ろの扉を開く……中から出てきたのは……えっ?ロボット?

 ウイーーン、ガシャン!

 そのロボットに乗り込むイチヒコ。

 

 「ふっふっふ、これが現実世界から持ってきたオレの秘密兵器……『パワードスーツ』でっす!」

 「おーっとイチヒコ選手、まさかの『ロボット』登場だーーー!」

 

 『パワードスーツ』……

 油圧や電動アクチュエーターなどの動力を用い、人間が『着用』することで、人体のサポートや筋力の増強をする装備。

 建設用、介護用、軍事用など、多岐にわたり開発されていて、いろんな形態が存在する。その呼称も、『パワードスーツ』、『アシストスーツ』、『強化外骨格』など様々。

 

 「イチヒコ……格好いいじゃねーか!」

 「でしょー!」

 

 「全高3.5メートル、全長2メートル、全幅1.5メートル、重量約22トン、油圧式アクチュエーター装備、最大稼働時間二時間。

 モリブデン製で、最大出力八百馬力、人間の二十倍の力が出せる、現代科学の粋を集めた最高傑作だよ」

 テンマルがドヤ顔で説明しているところを見ると、どうやら『天馬建設』も開発に一枚嚙んでいるようだな。

 

 「さあ、現実世界の文明の利器、『パワードスーツ』でお相手します!」

 「いいねー、よーしかかってこいイチヒコ!」

 「僕はこの日のために『重機の特殊免許』も取得しました、行きますよ師匠!」

 ウイーーーン、ウィンウィン。

 おおー、腕の動きも滑らか、人間の動きとほとんど遜色がない。

 

 「マスター、まずは私たちが様子見を……」

 「いや、俺が行く」

 俺は一人、イチヒコのパワードスーツに向かい歩いていく。

 「師匠、申し訳ありませんが吹き飛んでもらいます!はあああ!」

 イチヒコはパワードスーツごと、俺に向かって突進してきた!

 

 俺の前に魔法陣が展開……『地』『闇』『闇』

 「セイ・タルス・クエト・ジータ

 重力属性ハイアナグラム、『グラビトン』!」

 ズドンッ!

 「ぐあっ……お、重い……」

 

 「ギガンティックマスター選手、パワードスーツの突進は止めましたが、イチヒコ選手はまだ動けるようです。右腕を構えていますが、いったい……?」

 「ジェットミサイルパーーンチ!」

 ドシューーン!

 「あーっと、イチヒコ選手のロボットの腕が、ギガンティックマスター選手へ向かって飛んでいくーーー」

 

 俺は右腕のガントレットを構える!

 「おおおお、『エクスプロードブロウ』!」

 ズドガアアァァーーッ!

 「あーっと、ギガンティックマスター選手の拳撃で、イチヒコ選手のジェットミサイルパンチごと、『パワードスーツ』の腕の部分も吹き飛んでいるーーー?」

 「ひ、ひえぇぇ~……」

 

 「わりいなイチヒコ、俺たちはつい最近まで『魔族』や『ドラゴン』と連戦してきて、今更『人間の二十倍のチカラ』って言われても、たいしてビビりはしない……これでお終いにさせてもらうぜ!」

 俺の前に魔法陣が展開……『地』『地』『地』『闇』『闇』

 「セイ・タルス・クエト・ジータ・アースクレート・ヴァイアロン

 重轟場属性 五芒星魔術ペンタグラム、『ヘクト・グラビトン』!」

 雷を伴った重力球で、イチヒコを地面に叩きつける!

 

 「へぶしぃっ!」

 ガガガガガ……!

 イチヒコのパワードスーツは、俺の重力球で、体の半分が地面に埋まった……

 パワードスーツの中から、白旗が出てきた。

 「ま、参りました……」

 「そこまで!勝者『異世界あいどる24』です、確認して下サイ」

 「わあああーーーー」

 

 *****

 

 次の試合は、一番人気のカイエル宮廷五獣士と、屠りしものの『コズミッククイーン』率いるクイーン&ストリーム。

 ガーマイン達の応援をしようと、試合会場へ行ってみたら……

 

 「ま、まいった……ギブアップだ」

 「そこまで、勝者『クイーン&ストリーム』です、確認して下サイ」

 「嘘だろ……あのカイエル宮廷五獣士が……」

 

 俺の目の前には、ガーマインを残し全員気絶している宮廷五獣士と、ほとんど無傷の超絶イケメン四人とクイーンの姿が……

 「スゲェな、優勝候補筆頭だったのに……」

 

 救護班に抱えられて、ガーマイン達が降りてきた。

 「やつら、個々の能力も高いが、何より連携とチームワークが高かった……油断していたわけではない、オレ達の完敗だ」

 「ガーマインにそこまで言わせるとは……相当な実力なんだな」

 

 俺たちの横を、クイーンとその四天王が横切り、そのまま控室へ消えていった……

 「なるほど、強いわけだ……

 あのクイーンの四天王、全員『ゾディアックビースト』持ちだった」

 「ゾディアックビーストを四つも……」

 

 *****

 

 二日目の第三試合、サモンロードチームVS七長老チーム。

 中々の好カード、果たして勝つのはどっちだ?

 

 サモンロードチームは、重騎士のガンドルフ、魔女のエスタ、聖女のキャルロッテ、召喚獣のタイタンとフェンリル。

 キャルロッテの周りに光の玉が浮いている、これって……

 「これは『光の精霊ウィルオーウィスプ』だよ。

 僕たちはあの後またユグドラシルに挑戦してね、『白鱗竜』を五回倒すと、召喚できるようになるんだ」

 俺の視線に気づいたサモンロードが説明してくれた。

 「あの『白鱗竜』を五回も倒したのか!?スゲーな……」

 「『白鱗竜』の時と同じで、自動で回復や防御をしてくれるんだ、丁度いいからキャルロッテにつけてみた」

 

 

 会場内で七長老たちが、なんかザワついている……?

 「相手チームはリーダーの他に五人もいる……これは『四天王戦』ではないのか?」

 あーなるほどそういうことね。

 

 「フェンリルは召喚獣、乗り物扱いなんだけどな。タイタンも召喚獣だし」

 「では召喚さえすれば十人でも百人でも増やせるということになる、これは公平ではないのでは?」

 「う~ん、そこが『サモナー』のお得な所でもあるんだけどなぁ……」

 

 『むザイくん』や『ゆうザイくん』、MCや大会関係者の人たちが集まって協議している……その協議の輪にサモンロードが割って入る。

 「提案です、『パッシブ召喚』はタイタンとフェンリル、あとウィルオーウィスプだけにします、それならどう?」

 

 「え~只今申告がありました、『四天王戦なのに五人いる問題』の件ですが、

 サモンロード選手の提案を受け、今の人数のみ、これ以上は増やさないということで了承することとします」

 ザワザワザワ……

 まあ前代未聞だからね……でもこの提案が、どう転ぶか……

 

 「それでは『四天王戦世界大会』二日目第三回戦、バトルスタートします、3、2、1、スタート!」

 

 「よし、先手必勝だ、いくよ!」

 「はい!」

 

 「必殺攻撃、『回転鉄槍ドリルスピア』……『螺旋槍破スパイラルジャベリン密集連突ファランクス』!」

 「ビルド魔法『マッスルシフト・大胸筋』!」

 ガキィーーン!

 「ガンドルフ選手のスパイラルジャベリンを、巨大な大胸筋で筋肉団長選手が受け止めましたーーー凄い!」

 

 「フェンリル、『フェンリルクロー』だ!」

 「そうはいかん、『ビーストクロー』!」

 ザシュッ!

 「フェンリルのフェンリルクローを、酋長選手がビーストクローで返します!」

 

 「アドバンスドアーツ、『烈震衝』!」

 「『絶対防御鉄壁』×三』!」

 ガガガガガガッ!

 「おーっと、タイタン選手の『烈震衝』を、オアシス長選手が『絶対防御鉄壁』で防ぎましたーーー」

 

 エスタの前に魔法陣が展開……『闇』『闇』『闇』『闇』

 「スーレイ・アブトゥル・ラーズ・クルス

 漆黒よ 暗黒よ 暗闇よ 常闇よ すべての闇よ 波のように荒れ狂え 闇属性クアトログラム、『ダークネスオーシャン』!」

 

 「アドバンスドアーツ、『音の壁』!ワーーーーーー!」

 ドドドドドーー

 「エスタ選手の『ダークネスオーシャン』は、学長が『音の壁』で防ぎましたーー」

 

 「ウィル・オー・ウィスプ、リーダーを攻撃!」

 「サンダーフィールド」

 バリバリバリッ!

 「キャルロッテ選手、光の精霊を突撃させるも、ライゴウ選手の『サンダーフィールド」に阻まれてしまったーー」

 

 

 「さすがに簡単には攻めさせてはくれないね……でも時間は稼ぐことができた」

 サモンロードの前に魔法陣が展開……『風』『風』『地』『地』『光』

 「我に黄金の鱗持つ 雷の竜の力を与えよ 雷の咆哮で 眼前の敵に神の裁きを

 レイ・レイガ・ジン・シーンド・ウェルヴェント・ヌア・シェイン

 雷竜召喚属性 五芒星魔術ペンタグラム、『サンダードレイク』!」

 サモンロードの上に、巨大な雷竜が召喚された!

 「キシャアアアア!」

 

 「サンダードレイク、『召雷しょうらい』!」

 ガガガガガガッ!

 ライゴウ達の頭上に、嵐のような稲妻がいくつも落ちる!

 

 「あ~、ライゴウにそれは……」

 俺は「あちゃ~」という感じで、顔に手を当てる。

 もうもうと立ち込める煙の中から、ライゴウが出てきた。体中に電気を帯びて、放電している……

 

 「なっ……あれだけの稲妻を浴びて、まったくの無傷なんて……」

 「私は亜人『雷の民』……帯電体質の私に、稲妻は魔力供給と同じだ」

 「なんだって!?」

 

 「さあ、もらった電力をお返ししよう……」

 ライゴウの前に魔法陣が展開……『炎』『風』『風』『地』

 「シエン・ウィル・ストライダ・ゴー・マーシリー

 雷精よ 我らにその激しき翼を与えよ その羽に触れしものに衝撃を 雷鳥属性クアトログラム、『サンダーバード』!」

 バリバリバリッ!

 ライゴウの上に雷が落ちて、その腕には雷鳥がとまっている!

 「キエェー!」

 「行け!『サンダーバード』!」

 

 「ライゴウ選手の腕から放たれた雷鳥は、上空高く舞い上がり、そのままサモンロードチームへ急降下してきましたーー危ないっ!」

 「キエェェーーーーーッ!」

 

 「くっ……」

 「サモンロードーー!」

 バリバリバリバリバリーーーーッ!

 

 「あーっと、サモンロードチームに直撃!……さすがにこれは戦闘終了か?」

 立ち上る煙が晴れる……サモンロードは……無事だ!

 

 「ふう、ギリギリで『クイーンオブシャドー』の召喚が間に合ったよ」

 「サモンロード選手が召喚した『クイーンオブシャドー』が、サモンロード選手達を守るように覆いかぶさっています!サモンロード選手たちはみんな無事ですーー」

 

 「『クイーンオブシャドー』の六本の腕を地面に突き刺して、避雷針替わりにしたのか、やるぅ!」

 思わず俺が叫んだ。

 「なんと、そんな方法で私の『サンダーバード』を!?」

 

 「よし、じゃあ今度はこっちの番だ……

 この詠唱を唱えきることができれば、僕たちの勝利だ、みんな行くよ!」

 「はい!」

 「了解!」

 「応!」

 

 サモンロードの前に魔法陣が展開……『水』『水』『水』『水』『光』『闇』

 

 「これは……ヘキサグラムか?詠唱を唱えさせるわけにはいかない!」

 「ライゴウ選手率いる七長老チームが、サモンロード選手の詠唱を止めようと襲い掛かりますーー!」

 

 「ビーストブレス!」

 「雪狼咆哮撃せつろうほうこうげき!」

 バアアアアアーー!

 「酋長選手の攻撃をフェンリルが相殺!」

 

 「世界イチ大腿筋キーーック!」

 「金剛亀盾ダイヤタートルシールド!」

 ドドガァッ!

 「筋肉団長選手の攻撃をガンドルフ選手受けきりましたーー!」

 

 「海精 海竜 海神よ 生命の根源たる海の王 その息吹 その逆鱗 人の身にて抗うこと敵わず 願わくば その力 我が前にて示したもう……」

 サモンロードの詠唱は続く……

 

 「アドバンスドアーツ、『デスヴォイス』!

 ア”ア”ア”ア”ア”ア”ーー!」

 「ウィルオーウィスプ、『ホーリーシールド』!」

 ウィルオーウィスプが五角形の形に……

 バシャーーン!

 「音の民の学長選手のデスヴォイスを、キャルロッテ選手のウィルオーウィスプがはじきましたー!」

 

 「砂の王に進言する 顕現せよ 地上を脅かす者どもを蹴散らす力となれ 砂属性ハイアナグラム『デザートストーム』!」

 「タイタニックウォール!」

 ドバアアアーー!

 「オアシス長選手の砂の魔法を、タイタン選手の巨大な壁が遮る!」

 

 「みんなの魔力を私に!私も私の残りの全魔力を込める!」

 ライゴウの前に魔法陣が展開……『炎』『風』『風』『地』『光』

「雷神よ 我に天翔ける雷の翼授けん 黒き空に閃光を放ち 悪しきものに天の裁きを

 シエン・ウィル・ストライダ・ゴー・マーシリー

 ライト・オー・フル・グレーブル・バーンナウ

 雷鳳属性ペンタグラム、『ブレークサンダーバード』!」

 バリバリバリバリバリィッ!!

 

 エスタの前に魔法陣が展開……『炎』『水』『地』『地』『闇』

 「世界に災いもたらす王よ その目に闇を その手に血を その心臓に災厄を

 ホール・ハルスト・ガッダ・イン・ビドー

 チービル・シャル・レスト・アノン

 災厄属性ペンタグラム、『カラミティゾーン』!」

 ゾゾゾゾゾ……

 ズズズズズ……

 

 「あーっと、ライゴウ選手の『ブレークサンダーバード』を、エスタ選手が『カラミティゾーン』で打ち消しましたーー」

 「しまった、すべて防がれるとは……」

 

 「レヴィナート・アイントル・クオンタム・シーゲイン・ブールー・ネイト・ウォルシュ……みんな、よく耐えた……これで僕たちの勝ちだ!

 海竜召喚属性ヘキサグラム、『リヴァイアサン』!」

 「バオオオオオオーーーーン!」

 サモンロードを中心に、超巨大な海竜が顕現した。

 「『リヴァイアサン』、『わだつみの咆哮』!!」

 

 「みんな、魔法の効果範囲外まで退避だ!」

 ライゴウがみんなに号令をかけるが……

 「こ、これは……逃げ場が、無い……」

 『リヴァイアサン』の魔法効果範囲は……会場全体!?

 

 「うおおおおおーーーっ!」

 ドシャアアアァァァンン!!

 「ガボガボゴボ……」

 リヴァイアサンが去った後には、気絶した五人の七長老たちが……

 

 「そこまで、勝者『サモンロードチーム』です、確認して下サイ」

 「あーっと、七長老チーム全員気絶ーーー、サモンロードチームの勝利です!」

 「わあああーーーー……」

 

 サモンロード達が降りてきた。

 「凄い試合だったな」

 「ああ、危なかったよ、世界にはまだまだ強い人がいるんだね」

 

 続いて七長老チームも、救護班に抱えられながら降りてきた。

 「惜しかったな、でもすごいいい試合だったぞ」

 「そういってもらえると助かる……まだまだ精進が必要だな」

 

 *****

 

 二日目の最後の試合、ファルセイン王国騎士団VSドラゴンキングダム。

 この試合の勝者で、ベスト四が決まる……

 

 「そこまで、勝者『ドラゴンキングダム』です、確認して下サイ」

 「おいおい、嘘だろ……」

 メギード王たち『ファルセイン王国騎士団』の面々は、全員気絶して岩場にめり込んでいる……

 「メギード王、大丈夫か!」

 メギード王と百戦騎士たち、全員返事がない……気絶した後も攻撃を加えた跡がある。

 

 「異世界あいどる24回復班、メギード王と百戦騎士たちの回復を頼む!」

 「わかりました」

 

 岩場に座りながら、不敵な笑みを浮かべ、俺たちを見下しているドラゴニックキング……

 「ここまでする必要はなかったんじゃないのか?」

 「どうやら王族を殺すと重罪らしいからな、殺さず生かしておいてやった……感謝するんだな」

 「なんだと、テメー」

 「ああ?なんか文句があるのか?」

 睨み合う俺とキング……

 

 すかさずマキアが俺を制止する。

 「マスター、『むザイくん』が見ている前で戦闘するのはご法度です、押さえて下さい」

 「わかっている……」

 こいつ、性格は最悪だがその実力は本物だ。

 千迅騎士と四人の百戦騎士を相手に、ほとんど無傷……

 これは、相当な激戦になりそうだな……

 

 

 ☆今回の成果

  カスミ 一人レゾナンスアーツ『アマノイワト・球』取得

  エスタ 災厄属性ペンタグラム『カラミティゾーン』取得

  サモンロード 海竜召喚属性ヘキサグラム『リヴァイアサン』取得

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