マネージャーの章 其の六 近畿エリア『武元美波』
本日は大阪にてお仕事。
ここのところ、のんちゃんは映画主演が決まったあぐちゃんに付きっきりの為、新人のボクが出張なのだ。ボクが今日お世話するのは、メンバーカラーオレンジ『
さてと、楽屋はここか。
コンコンコンッ
「失礼します!新しく『ななイル』のマネージャーに就任しました
トイレかな、はたまた打ち合わせとか?とりあえず待つか。
……1時間
……2時間
えっと……?収録時間なのですが?
コンコンコンッ
お、来た!
「君、マネージャー?武元さんどうなってるの?もう収録始まるぞ!ちゃんと時間伝えてんだろうね?早く連絡して!」
「あ、はい、スミマセン!」
オイオイ……『どうなってるの?』は、ボクも聞きたいのだが。もう収録時間2分過ぎてる!参ったな、連絡先知らないし、のんちゃんに電話して聞くか!出てくれるかなぁ?忙しいだろうなぁ。
バンッッッ!!
「セーフ!!あ、そこのキミ!うちの荷物を頼むで!ほな!」
「えええっ!」
イヤイヤイヤ、楽屋にいる知らん男にリュック投げつけて『頼むで』って……危機管理なさ過ぎ。後、全然セーフじゃねぇよ、アウトな。
ボクがリュックを抱えて3時間……彼女は、やり切った顔で楽屋に戻って来た。
「フゥー、しんど。あ、お疲れさん!荷物おおきに。で、キミ誰?」
キュートだ……めっちゃ可愛い。だがしかし、ナニこの人……。
「ボクってば、新しく〜自己紹介~」
「おお、そっか!よろしゅうお頼もう。なんか知らんけど、うちの担当するマネージャー直ぐ辞めんねん。キミは頼むで、アデシー」
なるほど、美波ちゃん……キミか、マネージャーが減った原因、イヤ元凶は。んで、アデシーって誰よ?
「早速で悪いんやけどジュース
「は、はい」
イヤ参ったな、会って2、3分だけど既に疲れた……。
「武元さん、買って来ました」
「あいや〜!うち、それ嫌いやねん!言い忘れたから、さっきテレパシー送ったんやけど届かんかったなぁ。あ、ギャグやで?うち、自分で買うてくるけん、ソレはアデシーに1億円で売ったるわ!あ、ギャグやで?飲んでてな!あ、あと硬っ苦しいの嫌やけん、
じょ、情報量半端ねぇ……。もはやマシンガン。でも『買うてくる!』の時のお
こうして、マシンガンのように日も暮れた。明日も朝から収録がある為、東京へは戻らず、ボクってば初めてひとりでホテルに泊まる。大人だぜ!
「なぁ、アデシー今日泊まりやろ?一緒に夕飯食べへん?美味しいたこ焼き屋さん知ってんねん」
ナナナ、ナンデストォォ!!
これはもはやデートのお誘いじゃないですかぁ!!のんちゃん、えらいすんまへん。これは仕事上のお付き合いなんやで(分かる人には分かると思うが、関西弁は伝染しやすい)
「さ、着いた。ここやで、どや?」
ほほぅ、何とも
「オッチャン、いつものヤツ2つ頼むで〜」
へぇー、常連さんなのか。あ!壁にサイン貼ってるぅ。なんかスゲー!ここに『ななイル』が来たと思うと興奮するぜ(隣に座ってるけど)
「お待ち〜」
「さ、食べよう、美味いで〜!」
「うん。では、いただ……えええっ?!ご飯の上に、たこ焼きが乗ってますが?」
「ん?当たり前やろ。『たこ焼き丼』知らんの?」
はわわっ……合うのか?ご飯とたこ焼き、うまく付き合ってんのか?ちょっと不安なのだが……しかし、『郷に入っては郷に従え』だ!
「いただきます!あむっ……モグモグ。え?!う、美味っ!」
警戒しながら口に入れたけど、タコがコリコリしてて、ソースとマヨネーズ、それと生地の出汁が効いて関西風タコ飯的な?!
「美波ちゃ……美波、これ男子が好きなヤツだね!マジ美味っ!」
「やろ?エヘヘっ」
むほっ!まるで、自分が作ったかのように褒められて照れてるのめっちゃキュートやん!!やはり『ななイル』最強説は間違ってないんや!
「ところでアデシー、『あぐのん』の家に同居してるんやろ?」
「うん、お世話になってるんだ」
「で、どっちが好きなん?」
ブフォッ!ナナ、ナンテコトヲ!!ちょっ……キュートなお顔が悪女に変わってるやん、口角上げてるやん。
「ど、どっちって……どっちもだし。もっと言うなら美波の事も好きだし」
「ぷっ!アデシーってオモロいなぁ。その好きちゃうで」
え……?その?
「あのぉ、美波のアネキ……『好き』って、やっぱ種類があるの?」
「ぷぷっ!!アデシー可愛いなぁ。そや、『好き』には大まかに2種類ある。ひとつは『親』『友達』『推し』とかな。もうひとつは、お付き合いしたい、デートしてみたい、結婚したい、それと……Hしたいやで」
ブフォッッ!!
「オイィッ!エ、エッ……チ……アイドルが口にしてはイケナイワードや!!ボクってば、一応マネージャーでしょうがぁ!」
「まぁ、プライベートやし硬いこと言わんで。あと、口から噴射した水……うちに全かぶりやで」
「え?うわぁぁ!ごめんなさいごめんなさい!」
大阪初日
ボクってば、『好き』の事と初めてのホテルで一睡も出来なかった。
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