出逢いの章 其の四 普通のチャーハン作ったら就職内定した

 どれどれ、何を作ろうかな?

 しかし、キッチンもバカでかいな……もはやホテルの厨房。

斗威とうい君、ご飯はお釜に入ってるから使ってね。何かお手伝いする事ある……?」

「大丈夫!ありがとう、のんちゃん。あ、冷蔵庫覗いてもいいかな?」

「はい、もちろんです!」

 小首を傾げで微笑したのんちゃんは、まるで天使のようだ。嗚呼ああ、たぶん現在いまが人生最良……もう二度とこんな幸せは訪れないだろう。

 では、冷蔵庫の中身を確認……えーっと、たまご、長ネギ……以上。

「オイィィ!!ふざけてんのかっ!!」

「艶島君、どうしたの?大きな声出して?」

 むふぉ!『なな色イルミネーション』の杜宮もりみやあぐちゃんが、ひょっこり顔を覗かせる家とか!!やはり人生の運を使い果たした気がする……ボクってば、明日……死

「いや、何でもないよ!冷蔵庫が大きくて驚いただけさ!」

「そっか。何でもないなら良かった」

 グハァァァ!!あぐちゃんが……あぐちゃんまでもが、ボクに微笑みかけたでしょうが!ダメだ、やはり死……いや、今はとりあえず夕飯の支度や!しかし、この材料ではアレしか出来んわな。よし!仕方ないな、作って差し上げよう!


 まずは、この冷えたご飯を○○○しておく。これ、お米をパラパラにする重要な作業!

 そしたら〜、熱したフライパンにをブチ込む!サラダ油を使うよりも、旨味が出てお米と絡むとこがポイントね!

 ネギをみじん切り!タムタムタムタム……

 そして、よく溶いた玉子を投入!そしてネギも!

「ドォォォン!」

 ジュジュジュ……

 ココで、最初に『してヌメりを取った冷えご飯』をブチ込み、強火で炒めつける!これがパラパラの秘技なのだぁ!!

 次に、ガラスープの素と醤油を、混ぜ混ぜして馴染ませてから、鍋肌から流し込むぅ!そして、ご飯に絡め豪快に鍋をフリフリや!

 ガッシャガッシャガッシャガッシャ!

 ザッパァン!!

「ヒャッハー!見ろ!米が波のようだ!」

 最後に、塩コショウで味を微調整。

「美味しくなぁれ!ヨッシャァア!完成じゃあ!!」


 The・普通のチャーハン


「お待たせしました〜」

「わぁ!美味しそう!」

 ん〜双子ふたりのハモりが耳に心地良い!

ohオゥ!凄い、凄いぞ!君!こんなに普通のチャーハンは見た事がない!ハハッ」

 ん〜オジサンの褒めてんのかけなしてんのかよく分からんセリフが耳障り……


「いただきまぁす!!!」

 3人は、声を揃えて手を合わせた。味は完璧なはず……しかし、ひと口目の感想を聞くまでは流石に緊張するぜ……ドキドキ


「わぁ、美味しい!!」

 キター!!双子ふたりが奏でる天使の福音ふくいん!!

 やった!ボクってば、やってやったぞ!!

「うう、美味いぞぉお!!黄金色こがねいろの米粒ひとつひとつに味が染み渡り、程よい塩気とコクのあるダシが口に広がりffフォルテッシモppピアニシモォ!凄いじゃないか、足でまとい君!ハハッ」

「あ、あざーす……あと、艶島 斗威あでしま とういな」

 まぁ意味不明だが、こんなシンプルチャーハンで喜んで貰えて良かった。

「ご馳走様でした!!!」

「アハハッ、すんません。シンプルなチャーハンで」(冷蔵庫が空っぽだったんでね)

「本当に美味しかった!プロの料理人みたい!小説家じゃなくて、コックさんになったら?」

「イヤまさか。料理に全く興味無いんで。ボクってば、小説の才能しかないのだ」

「えー!勿体ないよ。こんなに美味しいの作れるのにぃ」

「そこまで言われると、逆にバカにされていると、鈍感なボクでも分かりますよ」

「うぅん!本当に美味しかったよ!食べたいなぁ。あ、後片付けはわたしとお姉ちゃんでやるからね」


 ?またダトォォ!のんちゃん、来ちゃうぞ?毎日通っちゃうぞ?家バレしてんぞ?ヒャハハハッ!


ohオゥ、そうだっ!」

 な、何だオジサン……何をひらめいた?こっち見んな。

「足でま君!キミ、ウチで住み込みのお手伝いさんに……なっチャイナYoヨー!」

「は?……え?お前何言っ……え?住み込みの……?お手伝い、さん?……デュワワッ!!」

 この家の、住み込みのお手伝いさんデストォ?!推しのアイドルと、美人な双子の妹と同居生活……


 ダディ……お前、結構良い奴じゃん!


 艶島斗威あでしま とうい、株式会社DAIKIダイキに就職内定。



















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