第75話 キャサリンの日記 3

《sideキャサリン》


 アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様アンディ様。


 私の日記はいつの間にか、彼の名前を書くだけの物になっていた。

 数ページに渡ってアンディ様の名前が書かれている。


 ふふ、それだけ私を虜にしてしまったアンディ様。本当に罪なお方。

 こんなにも私を虜にして、私が望みを叶えてあげるのに、一人の女を選ぶかもしれないだなんて。



 いつぶりだろう。



 こうしてペンを取り文字を走らせたいと思ったのは、そうだ! メリッサとか言うバカな女が死んだ時以来だ。


 あの瞬間に私は確信してしまった。躊躇チュウチョも、容赦ヨウシャも、慈悲ジヒも感じられない態度で人を殺す姿を見た瞬間から、アンディ様を支えられるのは私しかいないと。


 男神などどうでもいい。全てはアンディ様のために世界があるのだ。


「ですが、このままでは私は幸せになれません。せっかく黒髪の雌豚も受け入れる気分になっていたのに、あの女のせいでアンディ様お心が私に向いてくれないのですから」


 親指の爪を噛み切りながら、私はどうすればいいのか考える。

 正面から戦ってはあの女には勝てない。

 あのパートナー戦は、確かにアンディ様の頭脳があったから勝てた。


 ですが、実際にあの女が強いのも事実。


 どうすればいい? どうすればあの女を排除できる?


「困っているわね」

「誰?」

「ふふふ、邪魔するわね。可愛いお人形さん。久しぶりね」

「あなた?!」

「厄災の魔女ベリベット。学園に忍び込むのは少し面倒ね。様々な場所に結界が張ってあるんだもん。私のような者は力を制限されてしまうわ」

「どうしてここに」

「可愛い、お人形さんに力を貸してあげようと思ってね」

「力を貸す?」


 私は警戒を強めながら、厄災の魔女を見ていた。

 女王を倒せるほどの強さを持つ魔女、この世界最強。


 私が抵抗をしても意味はないかもしれない。


「そう体を固くしないで。あなたを殺そうと思っているわけではないのよ」

「何が目的ですか?」

「ふふ、どうやら余裕がないようね。やっぱり予想通り」

「予想通り?」

「ええ、あなたは坊やにフられたのでしょ?」

「!!!」


 私はアンディ様に振られた事実を受け入れないようにしていた。

 それなのに、この女は無遠慮にそれを口にした。

 

 あ〜、許せない。


 自分でも認めていないことなのに、どうしてこんな女に言われなければいけないの? 私は傷ついた。私を傷つけた。私はアンディ様の物、アンディ様の物を傷つけた。許すわけにはいかない。


「ふふ、本当に面白いお人形さん。自分で自分に精神魔法をかけて、自分を強くしてしまうなんて。私が力を貸してあげる必要はなさそうね。だけど、せっかくここにきたからには何かしてあげたいわね」


 私は今からこの厄災を殺す。

 アンディ様の物である私を傷つけたから、殺されても仕方ない。

 殺すための力を私は手に入れる。


「スイッチを入れてしまう前にこれをあげるわ」


 何かを投げられる。それは強い魔力を感じて、私の体に纏わり付いた。


「なっ!」

「ふふ、安心して頂戴。私はあなたを大切にしているの。傷つけるような物ではないわ。あなたを強化してくれる特別なアイテム。それだけよ。それじゃ、私は行くわね」


 そう言って私の部屋から出ていく厄災の魔女。

 私は追いかけたいのに、体がいうことを聞いてくれない。


 次第に体の中へ侵食してくる影は、私を包み込んで形を成していく。


 鏡には綺麗な漆黒のドレスに身を包んだ私の姿が映っていた。


「ハァー! 不思議なものね。気持ちは不快なのに、力が溢れてくるのがわかる。形を変えられるのかしら?」


 先ほどまでは言うことを効かない様子だったのに、形を変えて欲しいと願えば、ブレスレットになって邪魔にならないように変化した。


「ふふ、いいわね。まるでアンディ様のバトルスーツの用。厄災の魔女にもらった物だけど、私にフィットしているのね」


 体の中に生まれた遺物と、自らの狂気が呼応し合うように反響して、力が漲ってくる。


「ふふ、これなら」


 黒髪の雌豚を殺せる……。


 待っていてください。アンディ様。あなたのキャサリンは私だけで十分です。

 

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あとがき


どうも作者のイコです。


4月10日に《道にスライムが捨てられていたので連れて帰りました》書籍発売します! ドキドキする〜!!! 続刊できるのかな〜!!! とりあえずドキドキを継続中です。良ければ書籍を購入して応援してやってください。


それと今回は、皆様にちょっとしたお願いです。


カクヨム内の作家で《大井愁先生》の小説。

《僕が死神と過ごした一週間》という作品を作る際に、プロットと推敲を手伝いさせていただきました。


お時間があったら、読んでやっても良いぞ!言う方がいれば、一読してやってみてください。まだ話数が少ないので読みやすいです。完結保証です。

最後は感動的な話にできたと思っております(๑>◡<๑)


どうぞよろしくお願いします。

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