第60話 一年次パートナー戦 8
《side決勝運営》
青空が吹き抜ける闘技場内には教官たちの結界が張られ、もしもの場合に天井が開かれたドームは、決勝戦へと駒を進めた強者たちが居並んでいる。
「数日に渡っての予選を勝ち上がってこられた優秀なる者たちよ。ここはあなたたちが存分にその力を見せるに相応しい場所と言えるでしょう。我王国学園が誇る闘技場は世界に誇ることができるのです。さて、それではここまで勝ち上がった者たちの名前を呼ばせていただきます」
クロード・ダークネス・ヤンデーレ。
パートナー
マシロ
アオノ・ハーラー・マックーロ
ミドリ・ムー・カーン
ブルーム・ハーラー・マックーロ
パートナー
アスタルテ
グリーン・ムー・カーン
イゾルデ・マーティーニ
ツクシ
アンディウス・ゲルト・ミルディン
カグラ・ダークネス・ヤンデーレ
キャサリン
「以上の八名の魔女と、四名の男性が勝ち上がってきたぞ。皆も知っていると思うが人気上位男性ランキングの上位二位から五位の男性が独占だ。一位は不幸な出来事があったようだが、そんなことは我々には関係ないぞ。さすがというべきは、クロード王子だろう。選んだ三人が全員今回の大会に残っているのだ。しかも二人は上位貴族から選ばれた女性ではあるが、一人は平民の女性なのだ」
クロード王子のパートナーであるマシロに注目が集まる。
この大会はよくも悪くも貴族たちが上位を独占すると言ってもいい。
アスタルテやツクシは、それぞれの貴族が雇ったボディーガードであり、幼少の頃から男性を守るために育てられた強さを持っている。
それ以外の女性たちも活躍したとしてもどうしても、幼い頃から英才教育を受けてきた者たちにはどうすることもできないのだ。
「さて、八人はそれぞれがクジを引いて戦う相手を決めてもらうぞ。学園では身分を関係なくクロード君と呼ばせてもらうが、クロード君は三人の女性を勝ち上がらせたことで評価が高い。それをバラけさせるため、一番最初に三人分のクジを引いてもらうぞ。クロード君、グリーン君、アンディウス君、最後に残った場所にブルーム君が入るというわけだ」
クロード王子が抽選を引くために前に出る。集まった観客たちは歓声を上げて、一つ目の席へと赴いた。
「アオノを一番で」
クロード王子が引いた番号を見せながら、座らせる女性を宣言した。
「次は五番だ。ミドリを。最後にマシロが最後の八番だな」
三つの数字は程よくバラバラになってトーナメント席に魔女たちが座っていく。
続いて、グリーンが抽選を二つ同時に引いた。
「イゾルデ三番、ツクシ六番」
ここで初めて、五番と六番の隣り合う席が埋まったことで初の対戦が決まる。
「よろしくね、ツクシ」
「はい。ミドリお嬢様」
雇い主と従者、そこにどんな意味が込められているのか、それは戦闘を行ってみなければわからない。
「続いては、アンディウス君よろしくお願いします」
「ああ」
人気投票の途中経過では、五位でありながらも最終結果では、二位にまで上りつめた脅威の人物として情報部でも注目のしている。
「二番と七番だな」
「おおっと! これにて全ての席が埋まりました。自動的にブルーム選手のパートナーアスタルテ様は四番の席に決まりました。これにて全ての選手の席が決まりいよいよ決勝大会の始まりです」
♢
《sideアンディウス・ゲルト・ミルディン》
自分の出番が来るまでは控え室で待機ということになる。
決勝戦はお祭りのようなもので、観客も戦いを楽しんでいる。
それと同時に将来有望な者たちに狙いを定めてもいるので、注目度は高い。
「ふふ、早速私の出番ですわね」
「ああ、カグラ。まずはクロード王子のパートナーであるマックーロ家の御令嬢だ」
「ええ、わかっていますわ。水魔法や氷魔法を得意とする家柄でしたわね」
「自然魔法や具現化魔法を得意としているそうだ」
「わかっていますわ」
「がっ、頑張ってください。カグラ様」
「ええ、もちろんですわ。トゥーリ」
いつの間にか仲良くなった二人が友情を育んでいる。
平民と王女という位の高さを越えられるのも学園の良いところだな。
「それでは行ってまいりますわ」
「はい!」
トゥーリに見送られて俺たちは会場へと入っていく。
ブルーの髪をした幼い見た目のアオノと、クロード王子が反対側の控室から現れる。
「カグラ様、本日はよろしくお願い致しますわ」
「良いのですよ。簡単に負けていただいて」
「いえいえ、カグラ様こそ、優勝という責任から肩の荷を下ろしていただいて結構ですから」
「面白いことを言うのね。あなたがまるで私に勝てると思っているようじゃない」
「当たり前です。クロード様の前なのです。無様な姿は見せられません」
「お兄様など。ふふ、いいでしょう。言葉ではなく、決着は魔法で」
「ええ」
いよいよ決勝戦第一試合が始まろうとしていた。
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