第46話 人気投票結果発表

《sideマシロ》


 私はコノハから渡された人気投票の結果発表を見て唖然としてしまう。


「えっ?」

「これが最終決定だよ」

「本当に?」

「うん。まぁ、これってさ、これからあるパートナー戦も意識しているからみんな色々考えているんだろうね」

「パートナー戦?」

「あれ? マシロは知らない?」

「うん」


 私はあまり学園のことをわかっていない。

 

 魔導クラスを決めたのは、自分に足りない物を補うためだった。

 レオとアンディに負けないために、そしていつか厄災の魔女ベリベットを倒すために自分自身を鍛えようと思ったからだ。


 だから、あまり学園の行事やイベントに興味を持っていなかった。


「私たちも学園に入学して半年が経つでしょ?」

「ええ」

「そこで、どれだけ成長したのか競い合うイベントがあるの。前回の野外学習みたいものだね」


 コノハは情報通だから助かる。

 そういうところを補ってもらっている。


「野外学習は九人で、男性一人を守るだったよね?」

「そうそう、それの一対一バージョンで、一人の女性が一人の男性を守るエンゲージを結んでいない。仮のパートナーとして、大会を行うの」

「えっ? でも、私パートナーなんていないよ」

「それはわかっているわよ。そこで、この人気投票が役に立つってわけ」


 人気投票が役に立つと言われても意味がわからない。

 二十一名の男子生徒に順位がつけられて、どうしてパートー決めに役に立つのだろう?


「わかっていないから言うけど、ここに名前が上がっている上位の方々はそれだけ人気があって倍率が高い。名前が下位に位置付けされている男性は、なんらかの理由があって人気がないから、誰でもいいからパートナーを組みたい子たちからすれば狙い目なのよ」


 コノハの説明を聞いて、あまりピンと来ない。

 それは男性にも、女性にも失礼なのではないかと思ってぐらいだ。


 そして、この人気投票の結果で、一番組みにくい相手に位置付けされたのは。


 5位、グリーン・ムー・カーン


 呆然としている姿が守ってあげたい。

 戦闘を行えば、馬上で斧を振るう姿が物語に出てくる将軍を彷彿とさせることで、カッコ良い。同じく馬を並べて戦いたい。


 4位、ブルーム・ハーラー・マックーロ


 庇護欲がそそられる見た目に反して、パワースーツを着ると、魔法に見た水を操ることができるので、補助をしてくれそう。ツンデレなところが可愛い。


 3位、クロード・ダークネス・ヤンデーレ


 王子を守るのは、騎士の誉れ。最も守りたいと思わせてくれる人。

 パワースーツを所持しているので、戦闘でも力を合わせて戦える

 命令をされてみたい。


 2位、アンディウス・ゲルト・ミルディン


 ミステリアスでやる気が無さそうに見えるが、パワースーツ所持者と判明。

 さらに、親友であるレオガオン様との友情が垣間見えるシーンに女性とたちが、推し争うを繰り広げるほどに、人気が高くなっている。


 やる気のない顔が突然笑顔に変わって心配されたい。


 1位、レオガオン・ドル・ハインツ

 

 わんぱくな少年と共に背中を預けて戦いたい。パワースーツ所持者で武術クラスでもトップクラスの能力を持つ。

 アンディウス様に優しくされたり、揶揄われたりする姿に女生徒は胸がキュンキュンしてしまう。


「なっ、なんだか、前とは上位二人のコメントが大分違うように見えるね」

「そうね。それには秘密があるんだけど」

「秘密?」

「私はも本物は手に入れることができなかったんだけど、一部を模写した人がいて、なんとか手に入れることができた伝説の一冊なの」


 そう言って渡されたのは10ページほどの冊子だった。

 メクっていくと、レオやアンディよりも凄く綺麗な顔をした男性たちが、嫌っていたはずなのに戦いの末にお互いを助け合うようになり、最後には切なくもわかれる話が描かれていた。


 ただ、ところどころでレオとアンディを彷彿とさせる描写や顔の雰囲気がある。


「これは」

「そう! お二人をモデルにしているんじゃないかって、噂なのよね」

「だから人気が上がって?

「そう言うことよ。みんな男性同士の友情ってあまり見たことがないけど、あのお二人は貴族としての垣根を超えて親友として仲良しでしょ? それを尊いって思う子たちが増えているのよね」


 意外な二人の人気に唖然としてしまう。

 二人はどんどん人気になっていく。


 私だけ、私だけ置いて行かれている?


「すまない。こちらにマシロがいると聞いてきた」


 名前を呼ばれて振り返った先にはクロード王子がいた。


「えっ!」

「そこにいたか、お前も知っていると思うがパートナー戦が行われる。パートナーの一人として私に力を貸してくれないだろうか?」


 そう言って手を差し出されて、一瞬二人の顔が浮かんできた。


 だが、空けられてしまった溝を埋めるために私は。


「はい!喜んで!」

「そうか、ならば今後もよろしく頼む」


 私はクロード王子の手を取った。

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