第42話 人気投票
《sideマシロ》
最近は、レオやアンディと話す機会が減ってしまったように思う。
元々、専攻が別々なので会える機会が減っているのはもちろんだが、二人とも他の女生徒が近くにいて側に行くのに躊躇ってしまう。
かといって、男子寮に女性が入るのは禁止なので、こちらから尋ねていっても二人が入れてくれなければ入ることもできない。
ふぅ、寂しいな。
「ねぇねぇ、マシロ」
「うん? どうしたの?」
学園に入ってから仲良くなったコノハに話しかけられる。
彼女も平民で、茶色い髪にソバカスが可愛らしい女の子だ。
男の子に凄く興味があって、新聞同好会ってところに所属している。
「実は、今度うちの新聞同好会で、一年次男子の人気投票を行おうと思うの」
「人気投票?」
「ええ。一年生女子にアンケートを取って、21名の男性に順位をつけるのよ。女性が200名いるんだもの好みが分かれて面白いと思うのよね。それにみんなも興味があると思うわ」
興奮気味に話をするコノハは、毎年恒例なんだと楽しそうだ。
ちょっと面白そうと思ってしまったのは、私の悪いところかもしれない。
誰かに順位をつけるってなんだか……。
「それって男性側に怒られないの?」
「ふふふ、意外に好評だって、先輩が言ってたよ」
「そうなの? うーん、ならいいか。それで? 今の感じはどうなの?」
「おっ! マシロも興味持ったね。なら、仕方ないから、現在集計している上位人を見せてあげよう」
私は知り合いの名前があるだろうかと、審配しながらコノハが見せてくれた順位表に目を通す。
1位、クロード・ダークネス・ヤンデーレ
2位、レオガオン・ドル・ハインツ
3位、ブルーム・ハーラー・マックーロ
4位、グリーン・ムー・カーン
5位、アンディウス・ゲルト・ミルディン
レオが2位で、アンディが5位?
意外な結果に驚いてしまう。
一位はさすがは王子様だと思うけど、アンディの順位が低いように思う。
いや、他の方々が人気だから仕方ないかもしれないけど……。
「おや? 納得していない顔だね」
「いや、別に納得していない分けじゃないけど、不思議に思っただけ」
「そう?」
「うん。一位のクロード王子はわかるんだけど、二位がレオっていうのが」
「ああ、マシロは、ハインツ様と昔からの知り合いだって言っていたものね。だけど、そうだね。仕方ない。特別に上位五人の評価コメント教えてあげよう」
コノハさんが見せてくれた資料に目を通していく。
・クロード評価
黒髪黒目の神秘的なイケメン。
王子として気品があり、強引な口調ではなく柔らかい話し方中に混じる命令口調が、電流が走るように心地よい。
少し低めの声も魅力的で、クロード王子に命令された。
美! 美しい! とにかく好き。
・レオガオン評価
金髪碧眼の無邪気なイケメン少年。
平民でも貴族でも誰に対してもフレンドリーで明るく接しやすい。
優しくて笑顔が素敵。
剣術バカなところが親しみやすく優しいので、惚れない女性はいない。
(レオが物凄い評価が高い!!!)
・ブルーム評価
腹黒美少年。
貴族思想は強いが、見た目の愛らしさと毒舌がクセになる。
たまに授業で傷を負った際に涙目になるのが堪らない。
もっといじめたい。
魔術クラスに混じっているのに、魔法が使えない。
そんなところが可愛い。
・グリーン評価
無表情無害な高身長イケメン。
近くにいると穏やかな雰囲気が流れている。
高身長で見上げなければいけないことにドキドキする。
武術クラスで、レオガオン様と双璧を成している。
ただただ居るだけで目の保養。
・アンディウス評価
眠り王子イケメン。
やる気がなさそうで寝ているイメージ。
カグラ様のお気に入り。
たまにサボっている姿が自由人。
座学クラスでクロード様と双璧ではあるが、クロード様の授業へ向かう真摯な態度に比べると不真面目で、他の四人に比べると落ちる。
神なのですあります! 至高のお方であります!
(アンディの評価は賛否両論って感じだな〜。好きな子は凄く好きだけど、全体的にやる気がなさそうで興味が持てないが多そう。一人だけ独特な人がいるけど)
「コノハさんありがとう」
「いえいえ、それで? マシロは誰に入れるの? 入れやすいように見せてあげたんだからね」
「うっ!」
どっちかに入れる? それとも全然知らない人に入れる。
「決めた! 私はアンディに入れるよ」
「ほう、その心は?」
「普通に五位より上に言ってほしいって思うから」
「ふむふむ。他にないと?」
「他に? 何かあるの?」
「マシロは、まぁマシロだね。うん。わかったよ。コメントしておく?」
「うん! アンディは頭が良くて優しいって」
「ふふ、幼馴染思いだね」
コノハは、なんだかニヤニヤしていたけど、みんなにアンディの良いところを教えてあげたい!
アンディは本当は凄いんだから。
そりゃ、クロード王子みたいにキラキラしてないし。
レオみたいに誰にでも明るくないけど、私には凄く優しいんだからね。
アンディに一票を投票しておいた。
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