第31話 キャサリンの日記

 前書き


 どうも作者のイコです。


 自分で書いてて、怖って思ったので、ホラー?が苦手な方は飛ばしてください。

 読まれる方は自己責任で(^◇^;)


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《sideキャサリン》


 私の名前はキャサリン。


 私たちは運命的な出会いを果たした。

 廊下でぶつかって彼が私の手をとって助け起こしてくれたの。


 日記帳を開いて、彼との出来事を綴っていくわ。


 彼の周囲には、有象無象ウゾウムゾウの女たちが群がっているけれど、私は彼の手に触れた特別な存在。

 他の女たちが、彼を視界に入れることも本当は阻止したいぐらい。


 だけど、彼は人気者だから視線は仕方ないわよね。


 ふふ、鏡に映る私は彼の彼女。

 

 ショートモブに薄紫色の髪を彼のためにとかして綺麗にしておくの。

 彼は毎日窓際に座って、黒髪の雌豚メスブタに言い寄られても軽くあしらっている。

 

 やっぱり私が一番だからよね。


 知っているわ。


 彼がよく座る席に手紙を入れておいたわ。

 そこには私の存在を示す名前と、特徴を書いてあるから、彼から声をかけてくれるはずよね。


 そっと見守っていると、彼は手紙に気づかなかった。

 仕方ないわね。 

 私が奥ゆかしい性格だから、控えめなアプローチをしてしまったわ。


 仕方ないから、今度は彼を見つめてあげる。

 まぁ、すぐに目が合ってしまった。

 そんなに見つめられたら、周囲の人たちに気づかれちゃうわよ。


 ふふ、今日もあなたが捨てた物をちゃんと仕分けしてあげるわね。

 あなたはゴミの分別ができないから、仕方ない人ね。


 足音が聞こえてきて、私はそっと日記を閉じた。

 

「キャサリン。ちょっと良いかしら?」

「メリッサさん。どうされました?」

「今度のチーム分けが決まったそうよ。その知らせにきたの」

「ありがとうございます」

「良いのよ。私たちは同じ魔導士組なんだから」

「いつも助かります。それで? 私たちは誰を守るのでしょうか?」


 出来ることなら彼を守りたい。

 彼を守れるなら、どんなことでもするのに。


「えっと、あっ、この方だわ。アンディウス・ゲルト・ミルディン様だわ。ふふ、私はあまり知らない方だけど、男性をお守りできるなんて最高よね」

「……」

「どうかしたの?」

「いえ、いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえ。なんでもないのです。そうですわね。我々は秘密結社コックリーダーですからね」

「コラ。そのことは学園では言わない約束でしょ」


 私を嗜めて頭をコツンと叩かれてしまう。

 メリッサさんは、何かと世話をしてくれる少しだけ私よりもお姉さんで、色々と教えてもらっている。


「ごめんなさい。つい嬉しくなってしまって」

「もうあなたは慌てん坊で思い込みが激しい子だから心配だわ。いい? 暴走をしてはダメだからね。あなたは私たちの中でも期待しているんだから」

「はい! 頑張ります」

「うん。それじゃ私はいくね」

「ありがとうございました」


 メリッサさんが部屋から出ていった瞬間に、私は座り込んでしまう。


「ふふっふふっふふふウフフふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」


 笑いが、笑いが止められない。

 よかった。メリッサさんがいる時に出なくて、やっぱりそうだ。

 私と彼は運命の糸で結ばれた彼氏彼女なんだ。


「彼のことをもっと知っておかなければいけませんね。座学の授業で一緒だからと、黒髪の雌豚がしつこく付き纏っているのは可哀想です。いっそ、あの雌豚を殺してしまいましょうか? いえいえ、そんなことはしてはいけないのかしら? ふふ、だけど、私の能力であるインビジブルは、自分の姿を消すことができますからね」


 ああ、今から彼と一晩を過ごせると思うだけで、疼いて疼いて仕方ありません。


 下着を変えなければいけなくなりました。


「ハァ、私が絶対にあなたを守ってあげますかんらねぇ〜」


 私は机に戻って、新しいページを開きます。

 それはこれからの彼と私を書き記した大切な1ページになるのです。


「ふふ、ふふふうふふふふふっふふふっふふふふふふふっふふふふふふ。アンディウス様。あなたが私に触れた日から、私はあなただけのものです。ですから、あなたもどうか私だけのものでいてくださいね」


 あなたの顔も、体も、指も、髪も、着ている服も全て私の物にしてしまいたい。


 まだ彼は私のことをよく知らないと思うから、たくさん教えてあげなくちゃ。

 私がどんな人間で、どんなことを喜ぶのか、そして、私も彼を知らなくちゃ。

 

 誰を大切にしているのか……。


 まずは、彼が大切にしている人から順番に殺してあげなくちゃいけないから。

 殺して、誰もいなくなれば彼は私だけを愛してくれるよね?


 ふふ、楽しみだなぁ〜。


 彼と二人きりで過ごせるなら、どんなことでも出来てしまう。


「師匠にも報告しなくちゃ。最高に幸せを見つけたって、そう厄災の魔女と呼ばれた師匠がここまで私を強くしてくれたんだから。師匠は中から秘密結社を乗っ取りなさいって言っていたけど、そんなことよりもアンディウス様のことを考えている方が楽しい。ハァー早く来ないかな野外学習。彼の寝顔が見れるのが楽しみで楽しみでしかたな」


 今から妄想が止まらない。


 教室で寝たふりをしているような嘘ではない、本当の寝顔を見るために、今から私は一人で妄想しながら彼を想う。


 

 

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