第11話 フローティア強襲①
西暦2031(令和13)年3月1日 九州より西に300キロメートル パルシア帝国フローティア島
日本の本州とほぼ同じ広さを誇るフローティア島の西部。パルシア帝国軍基地では東部方面軍司令官のスレーマー将軍が部下達を叱責していた。
「現地の叛徒共を鎮圧出来ぬのみならず、新たな進出先をも落とす事が出来ぬとは、何たる失態か!」
「申し訳、ありません…」
将校の一人は項垂れ、他の面々も顔を真っ赤にして声を荒げる上官を伺う。
単に自分達の進退に影響を及ぼすだけなら、幾分か誤魔化しつつ反撃の好機を狙いにいけるだろう。だが今回の戦争はいずれ来たるテージア共和国との全面戦争に備えた、植民地と地下資源を得る戦いである。東方文明圏を全て手中に収める事はパルシア歴代皇帝の悲願であり、黒星など『あってはならない』ことなのだ。
「特に2個空中艦隊の喪失は我ら東部方面軍の力量に疑いを生じさせている!我らは是が非でも復讐を果たさねばならん!」
「は…ははっ…!!!」
帝都の中央広場にて物理的に首を切り落とされるのは、パルシアにおいて、命を以ての償いとしては最も敬意を払ったものである。下手すれば皇帝が愛玩動物として飼っている地竜の餌にされかねない。軍人として誇りある最期を遂げたくば、死ぬ気で勝ちに行かなければならなかった。
そうして、スレーマーを中心に反撃の準備が開始されようとしたその時。兵士の一人が血相を変えて執務室に飛び込んできた。
「す、スレーマー閣下、大変です!例の敵軍が、フローティア島東部の海岸地帯に展開し、叛徒鎮圧部隊のいくつかを撃破し始めたとのことです!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます