第3話 偶像崇拝しない

天皇でもテレビのタレントでも、首相でも「偉人」でも、自分の頭で考えて本当に納得するのではなく、単に「偉いとされている」「有名人」というだけで、人や組織を盲目的に尊敬・尊崇しない(受け入れない)。

それが私流の「偶像崇拝しない」ということです。


これも、思いっきりぶん殴るという現実世界に、4(ダブったので5)年間いたおかげです。

しかも、私の場合、日本拳法において、小手先の技術とか戦っているフリをすることで「自分をごまかす」ということをせず、ただただ前へ出て3分間ぶん殴るという、言わば(私の)ケンカの仕方と同じことをやっていたので、姿形(すがたかたち)や権威に欺されるということがない性格になった(元々そういう性格であったのが、一層強まった)。


ですから、練習中・試合の後で、先輩やOB、監督等が四の五の言います(訓示を垂れる)が、何一つ覚えていません(「日本拳法ってのは、オナニーじゃねえんだ(相手がいる戦いである)」という出町コーチの言葉だけは、後で、みんなで楽しく話題にしていたので、記憶しています。)


そんなわけで、5年間毎日やっていた割に拳法は強くなりませんでした(公式戦で30数回戦って、3つ勝ち越し)が、社会人になってから、どんな大企業でも・偉い人にでも自分から積極的にぶち当たっていくことができ、これが大きな成果につながりました。


「ゲゲゲの鬼太郎」の作者、水木しげるさんが、ご自分の自叙伝(まんが)に描かれていますが、太平洋戦争当時の人たち、特に、無計画に戦地に送られ、その60%が餓死したという(何の援助もなしに、いわば国家に殺された)という体験を知っている人たちは、天皇を恨んでいました。同調圧力や忖度(そんたく)で、大きな声で言わなかっただけです。


  水木さんの漫画には、その苦しさが(面白おかしい物語と共に)語られています。

なにしろ、いま考えてみれば、全くやる必要のない戦争で、230万人もの健康で優秀な若者が「天皇陛下のため」という金科玉条によって戦死したのですから。(その6割・140万人は餓死であった。 → 藤原彰著 『餓死(うえじに)した英霊たち』 青木書店 2001年5月発行)

「戦没者の60%強140万人は餓死であった」で検索すると、ネット上でこの本を読むことができます。

https://www7a.biglobe.ne.jp/~mhvpip/PacificWar.html


日本人の最大の弱みとは、「天皇」という偶像崇拝がその根本精神のなかにあるために、自分の頭で考え・自分の感性で感じ・自分の理性で行動できないという点にある、と私は思います。


  ユダヤ人・キリスト教徒・イスラム教徒とは、「偉い人間」ではなく、神とか天理・真理・大自然という、桁違いに大きな(全く次元の異なる)存在を畏敬・尊崇しているから、偶像に囚われず現実を正しく見ることができる。

ですから、彼らは自分の意志で戦争をしますが、日本人は過去、日清・日露・第一次・二次世界大戦と、いずれも天皇という偶像崇拝の元、国家に煽動され・夢遊病者のようにして戦争に駆り出されてきました。


  2022年、フランスのマクロン大統領の護衛官(日本の皇宮警察官にあたる)100名が一度に退職しましたが、その理由がいかにも、フランス革命を自力で起こしたフランス人らしい。  「彼(マクロン)は、私たちが命をかけて護衛するにあたらない。」と。

  こんなくだらない人間のために命をかけるなんていうことはできない、といって、公務員という、高給で安定した職業を捨ててしまったのです。


  日本の警察では、警察学校を卒業して警察官になり、1年後には約30%の新人警察官が退職する(高知県の場合)そうです。その理由は、表向き「人間関係」という簡単な言葉ですが、元警察官の話やモノの本を読めば「警察という職業・組織に失望・幻滅した」からであろうということは、容易に理解できます。

  「マクロンの護衛官」ほどではないにしても、日本人にも「自分のポリシーにそぐわないから、高給で安定した職を敢えて辞める」ことができる、しっかりとした自我を持ち、偶像にまどわされない人たちが存在するようです。


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