第2話

佐藤の会社では施設防護システムから福島システム一か所を受注している。このシステム一か所で毎年のメンテナンスと五年ごとのリースアップを自動的に契約できるので安定的な受注が出来る。

これがもう一つ増えるかも知れない。

新設なら数億円の仕事になる筈だ。

さっそく課長の森に報告した。

「凄い話じゃないか」

と言って、森はシステム企画部の矢田に電話した。

矢田も驚いたようで、興奮した声が受話器から漏れてくる。

矢田に、今夜開けておくよう依頼して電話を切ると

「江角さんは内密に動いてるんだね?」

と佐藤に確認して、今度は江角に電話した。

「あ、江角部長、ご無沙汰してます。うちの佐藤君がお世話になってます。あ、いえいえ、ええ。で、江角部長、どうですか今日あたり、久しぶりに一杯やりませんか。部長の近況もお聞きしたいし、そろそろ部長の顔も見たくなりましてね、ははは」

和やかに聞こえる電話を切ると

「佐藤君、六時に『華しゃぶ』予約して。四名、個室だよ」

そう言ってもう一度矢田に電話し、時刻と場所を伝えた。

「佐藤君、五時半に江角さん迎えに行って『華しゃぶ』迄連れてきて」

佐藤に命じた。

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