第14話 ミーティングの後
ミーティングは終了。
「あいつ茶化したわね。腹立つな、もう」
美香が苦笑する。
「樹は野球の試合の時もあんな風に呟いて、バッターをかっかさせていたじゃない。よく審判に注意されていたけどね」
そこへ樹、本人がやってきた。
「いやいや久しぶり、凛と美香も。ミーティング楽しかったね。また呼んでよ」
美香が答える。
「でしょ。樹は仕事ばっかりで外に出なさすぎ。住民とコミュニケーションを取るのも会社人の務めよ。CSRってやつね」
「私は面白くないわ。話が中途半端よ。あなたはいつもああやって人をまるめ込むんだよね」
「そんな事ないよ。あんな風に言える相手は宮島凛、君だけさ」
「私が
凛は怒っているように言っているが、樹とは話しやすいのか、そもそも話がしたいのか食いつきが良い。夫婦喧嘩のようなやりとりが続く。
そこへ、
「やあ、みんな揃っているね。片付けも大体終わったから予定通り打ち上げをしようぜ。では皆さん、あちらの巨大キャンピングカーへどうぞ」
「キャンピングカー? あれは碧の会社のただのトラックじゃない。どこかのお店を予約してくれてるんじゃないの?」
美香の目が点になっている。
「せっかくの時間が移動とかにとられるのがもったいないから準備したのさ。ただのトラックじゃないぞ。フルオープンにできるんだ」
碧は自慢げに言うが、たいした物ではない。
「テーブルセットも用意した。自然の声を聞きながら四人で思う存分話ができる。凛と樹は好きなだけ喧嘩できるぞ。」
「余計なお世話よ」凛が言う。
「余計なお世話だ」樹も言う。
ここは意見が一致した。
美香が愚痴る。
「こんな場所じゃ虫に刺されるじゃない。おいしいお酒や料理も無いし!」
碧は樹を見てウインクした。
「うまい酒は樹が持ってきている。な?」
「ああ、いいやつ選んできたよ」
そして美香に告げた。
「気の利いた料理は、残念ながら無い。ケータリングの残り物で我慢してくれ」
「はあ、わかった。貸しにしておく」
美香は溜息をついた。
四人はトラックで打ち上げを始めた。
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