第13話 凛 vs 樹 その2
「ご質問ありがとうございます。ご心配はごもっともです。弊社はそのような事故を決して起こさないように、大規模な実証実験を繰り返し行います。また昔の福島原発では、結果的に津波の想定が不十分だったのですが、そのような事が無いように、あらゆるケースを想定し時間をかけて検証していきます。検証が完全でない内に拙速に開発を終わらせる事はありません。色々な場で進行や技術を公開して、外部のレビューを受けながら進めますのでご安心ください」
司会の鹿島がここで遮った。
「はい、白岩さんありがとうございました。それでは短くて恐縮ですがそろそろ時間ですので最後に凛議員から何かコメントありますか? あ、みなさん。お覚えていらっしゃいますか? この二人、高校の同級生で全国優勝した野球部のメンバーですよ。凛さん、野球の話でもいいですよ。」
凛はその名の通り、背筋を伸ばし、樹を睨んで口を開いた。
「いえ野球の話は結構です。白岩さん、申し訳ありませんが、まだ私は粒子分裂技術を信用しておりません。今度は御社に伺わせていただいてよろしいでしょうか? 自分の目で見て、社員に聞いて確認したいです。ご検討いただけますか?」
「さすが、凛議員。相変わらずのすごい直球ですね。もちろん、構いません。いつでもご招待させていただきますよ。どんな質問でも高校の時みたく軽く受けて差し上げます。でも宮島投手もそろそろ年季が入ってきたので、変化球も覚えられた方が良いですよ」
会場はドッと沸いた。
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