第10話 夜のタウンミーティング

 金曜日の夜七時、予定通りタウンミーティングが始まった。

 場所は子供のサッカー練習に使われる人工芝のグラウンドである。

 お立ち台が設置され、扇状に住民が囲んでいる。


 最初、プロジェクションマッピングと音楽でオープニングが演出された後、四基の高輝度の照明が明々あかあかとグラウンド全体を照らし出した。


 司会の女性アナウンサー、鹿島かしまがミーティングの趣旨や凛の来歴をきれいな声で説明した。そしてメインスピーカーのりんを紹介した。


「はい。それでは宮島凛議員です。どうぞ」


 すたすたと裾から歩いてきた凛は壇上で話し始めた。


「鹿島さん、ありがとうございます。皆さん、本日はお忙しいところ私、宮島みやじまのタウンミーティングにお越しいただき大変ありがとうございます。軽い食べ物や飲み物も用意しておりますので、気軽に飲食されながらリラックスしてお話を聞いていただければ幸いです」


 凛は流ちょうに、聴衆の一人一人に語り掛けるように話を続ける。

  

「それから脇の方には、協賛いただいたT&Yさんのブースがあります。ミーティングの最中でも終わってからでも立ち寄っていただければと思います」


 そのブースの傍であおが手を振っている。


「お子様もゲームで楽しめるようになっております。スタッフが複数おりますので気楽にお預けください。最新の二酸化炭素吸収装置、DACに触れる事ができますのでぜひご覧になって下さい」


 鹿島が一旦マイクを引き取った。


「はい、みなさん。凛さんを見ていかがでしょうか? やっぱり若くて美人ですね。服もビシッと決まってらっしゃいます。今宵は皆さまもご一緒に盛り上がって行きましょう。ではミーティングを開始いたします」


 グラウンドの外からは虫やカエルの合唱が聞こえる。

 

 中では司会と凛と住民の、時に真面目な、時に笑い声が飛び交う楽しいミーティングが始まった。

 

 途中でコーヒーブレイクがあり、その後、司会の鹿島が再開を告げた。

 次はゲストの登場である。

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