第29話 小学生の好き・中学生の恋愛 [番外編]

 あと1日でバレンタインデーだ。世の中のスパーやデパートはチョコ一色。悠依も優希も手作りのチョコを作るそうだ。女子からチョコをもらえた男子は良い思いをできるが反対もありえる。男子校だった俺はバレンタインには無縁で友達と「チョコ欲しい」など騒いだ記憶がある。悠依と優希はスマホで調べながら作り始めた。チョコを溶かして固める(テンパリング)は味が変わってしまうため少し大変だ。美音が味を見ながら悠依達を見守る2時間後出来たーという声が聞こえた。悠依と優希はチョコレートの仕分けをした。「これは本命用、これは友チョコ、これは義理チョコ」と言いながら2人で盛り上がっている。包装したチョコを学校のカバンに入れて明日の準備を悠依と優希はした。夜ご飯を食べ終わると悠依と優希が俺に「このチョコあげる」と言った。俺は「これさっき本命用にしたやつじゃないの?」と聞くと悠依が「いいから食べて」と言った。俺はチョコを食べ「美味しいよ。悠依も優希も上手いな」と言った。それを聞いた悠依が「やった〜これで好きな男の子に自信を持ってあげられるよ。」と言った。俺はなんとも言えない気持ちになった。(俺が味見させられたチョコが彼氏になるかもしれない男にあげるもの)と思ってしまった。悠依達が寝て夫婦2人の空間になった。美音が「今日は残念だったね〜。悠依達から貰えなくて。」と言ってきた。俺は「自分の娘に期待してないよ」と言い返した。それを聞いた美音が「はいはい。強がるな。強がるな。そんな悲しいパパに私から1日早いバレンタインデー。」と言いチョコをくれた。俺は袋の中を見て美音を呼び止めた。「なんで2つ入ってるんだ?」と俺が言うと「さあ。なんででしょう。トイレ行ってくる」と美音は言い謎にしたままトイレに行った。袋の中身を出すと1つのチョコの裏側に紙が貼ってあった。紙を剥がすと紙には「パパへ」と書かれていた。悠依と優希からのチョコだった。俺は手紙を読みチョコを食べた。「おいしな」と1人言を言った。美音と一緒に寝床に行き電気を消した。「ありがとうな。美音。」と俺が言うと美音が「よかったね。チョコあって。」と言った。

 次の日、悠依達は張り切って学校に行った。どの学校も一緒だなと思いながら授業をした。仕事を終え家に帰ると優希は「好きな子に渡せた」と言っていた。美音が「悠依は?」と聞くと悠依は顔を赤くしながら「今日ね。好きな子にチョコ渡そうとして、その子にこれバレンタインですって渡したんだ。その時手が震えて落としちゃって。そしたらその子がチョコを拾ってくれてこのチョコもらっていいのか。って言って貰ってくれたの。だけど落としたやつだから私がやめた方がいいよって言ったんだ。そしたら好きな女子にバレンタイン貰ったらどんなチョコでも貰うよ。って言われたんだ。両想いだったんだ。」と言った。俺は心で(なんというイケメンだよ)と思ってしまった。また悠依に新しい彼氏ができて今年のバレンタインが終わった。

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