第27話 6年の短さ

 時は進み悠依の卒業が近くなった。悠依が最近卒業文集の文を作っている。そして卒業式がやって来た。優希は卒業式の手伝いの為登校した。卒業式が始まった。司会が「第64期生の卒業証書授与式を始めます。」と言った。「国歌斉唱。保護者の方もご起立ください」とアナウンスがかかった。国歌を歌い終わると校歌を生徒が歌い上げた。「卒業証書授与。代表 1組 新井樹」と司会が言った。

(あれが樹君か)と心で思った。校長が「卒業証書 あなたはこの学校での課程を修了したことをここに表す2040年 3月 1日 校長 堺 照臣」と言った。樹君は「ありがとうございます」と言い壇を降りた。次から次に卒業証書が渡されて行く。そして「1組 樫木悠依」とアナウンスが入った。悠依は校長から証書を受け取り元気に「ありがとうございます」と言った。授与が終わり「送る言葉」と司会が言った。「代表 樫木優希」とアナウンスがかかる。俺も美音もビックリした。優希からそんな話一言もなかったからだ。優希が登壇し読み始めた。「桜が満開に咲く時、先輩達は中学生になりこの学校からいなくなります。しかし安心してください私たちが来年この学校の最高学年となりこの学校を引っ張っていきます。そして私事ですが、私の姉も今年この学校から卒業します。私は姉と喧嘩した事がありません。なぜなら私にとって姉はいつも味方でいてくれるからです。

最後にお姉ちゃん卒業おめでとう。そして卒業生の皆様おめでとう御座います。

以上 代表 樫木 優希」と読み上げた。会場から拍手が起きた。「以上で卒業証書授与式を終わります。」とアナウンスが入った。悠依・優希・美音と4人で帰路に着いた。「4人で帰るのは小学校入学以来だな」と俺が言った。「そうだね」と美音が言った。悠依が「今日はありがとうね。優希のスピーチ超感動した。」

家に帰り悠依の卒アルを見た。文章には3年前の2分の1成人式での夢と同じものが載っていた。題名は“夢”(私は将来父や母のような教師になりたいと思っています。なぜなら父と母の後ろ姿を見て生きてきたからです。生徒からの信頼も厚く私は2人の様な生徒に慕われる教師になりたいです。)と書いてあった。思わず涙が溢れてきた。リビングに戻り悠依に「卒業おめでとう」と言った。

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