第25話 親の教える事
話は少し進み悠依が4年生になった時の話である。
ある日の食卓で優希が「私、男の子に好きって言われたんだけど、どうすればいいのかな」と言った。それを聞いた悠依が「優希が好きな男の子なら、優希の気持ちをその子に伝えればいいと思うし、もしその子が好きじゃないなら“ごめんなさい”って伝えるだけでいいと思うよ」と言った。優希は「私はその男の子が好きなんだ」と言った。それを聞くなり悠依が「じゃあ両想いだね」と言った。しばらくして美音が「去年、悠依にも言ったけど一線を超えないようにね。」と優しく言った。次の日の夜、優希の感じが少し変わった気がした。優希は悠依に「いわゆる彼氏できた」とマウントをとっている。悠依も対抗する「私だって両想いの男の子いるもん。」と言った。「ママも言ってたけど一線は越えるなよ。一線を越えずに恋を続けなさい」と俺が言った。(恋を続けなさい)とか言ってるけど最近悠依達の事で頭がいっぱいだ。結婚するわけでもないのに変な葛藤がある。親とはそんなものなのかとよく思う。
次の週、悠依が家で顔を真っ赤にしている。「どうした悠依。樹君と何かあったか」と俺が聞くと悠依が「樹君とぎゅーってしちゃった。」と言った。優希が「お姉ちゃん照れてるの。」と言った。悠依は「ち、ちがう」とおどおどしながら答えた。それについて俺は悠依達の会話に入ることをしなかった。悠依達が寝た後俺は今日のことを美音に相談した。「ここから先一歩でも対処を間違えると、一線を間違った知識で超えるかもしれない。」と俺が言うと美音も「うん」と真剣に答えた。(こういうのは、世間の親はいつ子供に教えているのかと思う。)
と心で思った。「美音はいつ親からこういう事は教えてもらったの?」と俺が聞くと「やっぱり、恋愛の話になった時と月に1回来るようになってからかな。」と美音は答えた。「そうか」と俺が言うと美音が「この事は私が教師と親の責務として受け負うよ。」と言った。「俺に出来ることがあれば言ってくれ」と俺が言った。この話から2週間ぐらい経ったであろうか。ある日の食卓で美音が話し始めた。優希と悠依に聞いて欲しい事があるんだ。俺は黙っていた。なぜなら心のどこかで少し楽しみなところもあったからだ。このセンシティブな内容を美音が子供たちにどう教えるのかを。
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