第21話 次の階段

 美音・悠依・優希と俺はある日ショッピング施設に向かった。スーパーで買い物をしていると悠依と優希が「これ買って」とお菓子を持ち走ってきた。「1人1個ずつな」と言いカゴに入れると美音が「もー、甘いなパパは」と言った。買い物が終わり、車に向かう途中悠依が立ち止まった。「ママ、ランドセルがあるよ。悠依も赤いランドセルがいいなー」と言った。美音が「欲しいの」と聞くと悠依は「うん」と言った。美音はしゃがみ悠依と目線を合わせ「悠依。ランドセルは少なくても3年は使うと約束できるなら買ってあげる。」と言った。悠依は「約束する」と言い美音の目を見た。「これ背負って小学校頑張れよ」と俺は言い悠依にランドセルを買った。悠依は「やったー」とランドセルを持った。それを見た優希が「ねぇーね、私も持たせて。」と悠依に言った。悠依は「これは悠依のだからダメ」と言った。「優希もあと少ししたら買ってやるからな」と俺が言うと優希は「うん」と少し落ち込みながら言った。ランドセルを家で背負ってみた悠依はニコニコだ。美音が悠依の写真を撮っている。それからというもの毎日悠依はランドセルを背負ってルンルンでいる。

 そして保育園の卒園式の日が来た。スーツを着て悠依の保育園に向かう。家族全員で卒園式と書かれている看板の前で写真を撮り、席に付きカメラの準備をする。卒業式が始まり出席番号順に証書が渡される。園長が「樫木悠依ちゃん」と言い悠依は「はい」と言った。「貴方は保育園での生活を無事終了した事をここに示します」と園長が言い悠依に証書を渡した。司会が「卒園児言葉 代表 樫木悠依」と言った。悠依が前に出て紙を読み始める。「お父さん、お母さん、いつもお迎えしてくれてありがとう。いつも美味しいご飯を食べさせてくれてありがとう。私を元気に育てくれてありがとう。これからも美味しいご飯を食べたいです。」と悠依が読み終わると大きな拍手がした。美音はそれを聞き終わるなり泣き出した。卒園式が終わり悠依が戻って来た。「悠依よく頑張ったな」と俺が言うと美音が「今日の夕ご飯は悠依が好きなものにしようね」と言い帰路についた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る