第19話 危機

 美音が定期健診の後暗い顔をして帰ってきた。「どうした暗い顔してと」俺が聞くと「今のところ害がある訳ではないんだけど逆さ子でへその緒が絡んでる気がする」て言われたんだと美音が言った。「そっか。でも大丈夫。優希も美音も強いから。大丈夫。大丈夫。」と俺が言った。「悠依の時は、順調そのものだったから今回怖くなっちゃて。」と美音が涙ぐみながら言った。「美音。泣かない。可愛い顔が台無しだよ。」と俺が言った。美音は俺に抱きついて「もう少しこのままでいさせて。」と美音が小さな声で言った。俺は何も言わずに美音の背中に手を回した。しばらくして美音が「落ち着いた。ありがとう」と俺に言った。予定日まであと1ヶ月になた。美音のお腹はかなり大きい。胎動はあるが悠依の時と一緒で俺が触ると止まる。その度に美音は笑いながら「パパですよ」とお腹に言う。悠依も「もうすぐで優希ちゃんに会える」と喜んでいる。

 3週間後事は起きた。最後の健診に行った美音から電話があった。「すぐにきて」急いで病院に向かうと医者が待つ部屋に美音と呼ばれた。医者が「落ち着いて聞いてください。今お腹の子はへその緒の絡まりが解けていませんこのままだと危険です。今美音さんは38週目。赤ちゃんは少し低体重にになると思いますが問題はありません。帝王切開をすることになると思います。これは旦那様のサインも必要です。」と言った。「少し2人で話す時間をください。」と美音が言った。医者が席を離れた。「帝王切開をすると子供を産む回数が限られちゃうんだよ。」と美音が言った。「美音はさ、何人子供欲しいの。俺はさ今の美音の年齢も考えると優希が最後だと思う。確かに家族が多いって楽しいかもしれないよ。だけど俺が思い描く楽しい家族って、俺の横に美音がいなきゃダメなんだ。だから帝王切開も選択肢としてありだと思うよ。お母さんは美音だから最後は優希と美音が決めないとね。俺は美音の選択を尊重するし、全力でフォローするよ。」と俺が言うと美音が医者を呼んだ。「帝王切開をお願いします」と美音が言った。俺も書類にサインをし美音はそのまま入院した。次の日オペが始まる前に病院に行き美音にあった。「美音。頑張れ。」と俺が言うと一緒にいた悠依が「ママ頑張って」と美音の手を握った。看護師と美音がオペ室に入って行った。1時間後看護師がベッドに優希を乗せてオペ室から出てきた。「元気な女の子ですよ」と看護師が言った。「ありがとうございます。あの、妻は」と聞くと看護師が「お母さん頑張りましたよ。」と言った。病室で美音と優希が運ばれてきた。「美音お疲れ様。そしてありがとう。」と言った。美音が「元気で生まれてくれてよかった」と泣きそうな声で言った。「ほーら悠依妹だよ」と俺はいいながら悠依を抱き上げた。

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