第18話 教師の道と夫の道

 日曜日俺は悩んでいた。今日はうちの学校の女子生徒が美音に会いに来る。これは教師としてまずいのではないか。美音に会いに来るとは言っても俺の家に来ることになる。事情を知らない側から見たら完全にアウトだ。ただ俺がいないと妊娠中の美音に悠依のことをやってもらうことになる。悩んだ末に俺は電話をした。「今から行っていい?」と聞くと「いいよ。」と言われたので生徒が帰るまで悠依と出かけることにした。美音に悠依を連れて出かけてくる事を伝え車を出す。目的地に着いた。悠依と手を繋ぎインターホンまで行くと悠依が「悠依が押す悠依が押す」と言ったので悠依を抱き上げインターホンを押させた。「は〜い」という声が聞こえ扉が開くと「悠依ちゃんよくきたね〜」とお袋が飛び出してきた。悠依が「ばあば」と言って飛び着いた。実家に来た理由を話し夕方までいることにした。しばらくするとお袋が「悠依ちゃん、ばあばとお散歩行こうか。」と言った。悠依は「行く」と言って準備を始めた。2人がいない間テレビを親父と見ていると午後のニュースが始まった。ニュースキャスターがニュースを読み上げ始めた。「今日、岐阜県の中学教諭の権田幸太郎容疑者が県警に逮捕されました。権田容疑者は7月自分の家に教え子を入れたとして、教え子の母親から警察に相談があり事情聴取のうえ、逮捕しました。調べに対し悪意があって呼んだわけではないと供述しています。続いてのニュースです…」と言った。危なかったと心の中で思った。もし今日俺が家にいてそれを通報などされたら大変だった。教師の道を踏み外すことになっていたかもしれない。それで警察にでも呼ばれたら夫としての道も踏み外したかもしれないと少し焦った。家に帰ると美音が疲れて寝ていた。「違う高校に行った生徒にも相談事をされるなんていい先生だね美音は」と俺は言い机に突っ伏してる美音に毛布をかけた。俺の今日の判断は正しかったのだろうかと少しもやが気持ちにかかった。

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