第16話 お話し そして次の命

 悠依がだいぶ話ができるようになってきた。保育園で読んだのであろう本のキャラクターなど単語をならべて話せるようになった。悠依がパパと言ってくれると嬉しい。そんなある日、俺が仕事でお迎えに行けずに美音に頼んだ。仕事が終わり携帯を開くと昼頃に早く帰ってきて。と美音からメッセージが入っていた。俺は急いで家に帰りリビングに行くとおでこに絆創膏を貼った悠依がいた。「どうしたんだ」と美音に聞くと「お友達とぶつかって倒れて擦りむいたらしいんだ」と美音が言った。「それで保育園の先生が病院に連れてってくれたんだって。それで検査の結果異常はなかったんだって。それを電話で聞いて仕事早退して悠依を迎えに行ったんだ。」と美音が言った。「ごめん携帯カバンの中で気付かなかった本当にごめんな。心細かったよな。」と俺が言うと、美音は「うん」と答えた。「最近、悠依歩けるようになったからちょっと危ないよね。」と俺が言うと「本人も歩きたがるからね」と美音が言った。次の日、保育園に悠依を送り届け仕事に向かった。いつも通り授業をし、テストの採点を終わらせ悠依を迎えに行く。保育園で悠依の部屋に向かい部屋のドアを開けると保育士が出てきて「悠依ちゃんのお父さん。今日ですね悠依ちゃんの絆創膏に触った男の子に噛みついてしまって。相手の子は歯型が付いてしまったんですが出血もありませんでした。男の子も悠依ちゃんが嫌がるのに触ってしまったようなので一概に悠依ちゃんが悪い訳ではないのですが。相手の親御さんもうちの子が悪かったとのことでした。」と言われてた。「娘がご迷惑おかけしてすみません。相手の親御さんに謝罪したいのですが…」と俺が言うと保育士が「相手の親御さんも気になさらずにとのことでしたので」と言いた。「では、すみませんでした。とお伝えください。失礼致します。」と俺は言い悠依を連れて保育園を出た。家で美音に今日の保育園での出来事を話した。「そっか」と美音が言った。「悠依。お話し聞けますか。」と俺が言うと悠依は手を挙げた。「悠依、今日お友達に痛い痛いしたよね。悠依もされたら痛い痛いだからもうだめよ」と俺が言うと悠依が頷く。初めて悠依を叱った。これもまた子育ての一歩なのだろう。悠依も1歳になろうとしている。理解してくれたのだろうかと思った。

 2日後悠依は1歳になった。「悠依お誕生日おめでとう悠依もお姉さんになったね」と美音が言うと悠依は「うん」と言った。「悠依は何が欲しい」と俺が聞くと「ちっちゃい子」と言った。そんな時だった。美音にまたつわりの症状が出た。病院で「妊娠5週目ですね」と言われた。

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