第9話 披露宴
式を終えてルンルンのまま羽田に2人で帰ってきた。車の中でも結婚式の話をずっとしていた。首都高速を降りた辺りで美音が「あとは披露宴か〜なんか緊張してきた。」と言った。「俺もだよ。緊張で固まりそうだよ」なんて言っていたら家に着いた。家について披露宴に向けてのプランを2人で考えた。
披露宴当日押し潰れそうなくらい緊張した。結婚式と同じドレスを着た美音の横に立つ。司会から「それでは新郎新婦の入場です」とアナウンスが流れた。ガチガチの状態で入場すると会場から笑いが起きた。高校時代の同級生達から「ちゃんとやれ〜」などのヤジが飛んできた。席に着くと司会が俺達の自己紹介と共に開宴の挨拶をした。「それでは新郎新婦の主賓に一言頂きましょう。」と司会がアナウンスをかける。俺の主賓は高校の同級生、美音は大学の同級生だ。俺が主賓に選んだ優吾が話し始める。「こいつは高校時代にナンパしてよく断られていました。」最初の文を読まれてた瞬間人選ミスったと思った。ここからは恥ずかしいことを洗いざらい吐き始めた。会場から笑いが起きた。「最後にこれだけは私が保証できます。光輝は変なこともしてましたが、とても面白く、とても優しいです。美音さんがどんな状態でも何も言わずに側にいてくれると思います。」と締めくくった。「次は美音さんの主賓の紗羅さんです。」と司会がアナウンスをかける。優吾と違ってしとやかな始まりだった。「初めましてこの場を借りて少しお話しをさせて頂きます。まず美音結婚おめでとう。大学時代はコロナの影響でオンライン授業になって友達もできなかった。コロナが終わり学校に行くようになった。でも彼氏どころか友達も出来なかった。そんな時にたまたま講義で隣になった美音が初めての大学で出来た友達だった。一緒に恋バナをしたし愚痴も言い合ったね。彼氏できない〜なんて言い合ってたのにね。美音に先越された。結婚するって聞いた時相手の人はどんな人かなって気になってたんだ。でもさっきの優吾さんの祝辞を聞いて納得した。美音はこの人と幸せになれるなって。長くなってしまって申し訳ありません。最後に美音結婚おめでとう。そして光輝さん美音の事をよろしくお願いします。」と言い深く頭を下げた。美音の目から雫が一つ溢れた。会場から大きな拍手が起こった。「それでは新郎乾杯の御発声をお願い致します。」とアナウンスがかかる。グラスを持ち「みなさん遠い所から私達の為にお集まり頂きありがとうございました。ではみなさまグラスをお持ちください。では、乾杯〜」と俺が言った。会場で乾杯という声が響く。料理を食べながら2人の友達などと写真を撮る。美音の笑いが絶えない。嬉しそうでよかった。食事が終わるとケーキが運ばれて来た。「では、新郎新婦での共同作業ケーキ入刀を行います。是非みな様近くでご覧ください。」みんながカメラを向けて写真を撮る「「せーの」」と2人でケーキ入刀をすると会場から(お〜)と歓声が響く。ファーストバイトで美音がとてつもないスプーンを持って来た。俺の顔は生クリームでベトベトになった。美音には一口サイズのスプーンでケーキを食べさせた。会場から優しい〜と声が響いた。お色直しのために一旦2人とも退出した。その間に優吾に余興を任せた。優吾はマジックがとてもうまいからだ。会場に戻ると各机を回って一緒に写真撮影をする。写真撮影が終わると「では花嫁からご両親にお手紙があります。花嫁のお父様、お母様前においでください。」と司会が言った。
“お父さん・お母さん私をここまで育ててくれてありがとうございました。まずお父さん私はお父さんがとても厳しいと中学生まで思っていました。しかしある時を境にお父さんの言っている事が正しく私の考えが甘かったと感じました。お母さんからお父さんが見えないところであなたを支えているんだよと言われた時に思い当たる事も多かった。高校受験、大学受験の時に車で送ってくれたよね。あの時私は緊張で何も覚えてないけどお父さんが道に迷わずに知らない道を走っていた事だけは頭に残ってたんだ。あとでお母さんに聞き始めて知りました。お父さんが私のために計画を練って渋滞を回避してくれていたと言うことを。影で支えてくれて感謝の気持ちしかありません。ありがとうございました。
そしてお母さん私を産んでくれてありがとうございます。私がここまで成長できたのはお母さんの美味しい料理のおかげです。私が悲しい時、嬉しい時横にいてくれてありがとうございました。彼と幸せな家庭を築いて行くので見ていてください。2人に負けない夫婦になります。”美音は読みながら泣いた。会場のそこかしこで涙を拭う人がいる。美音は両親と抱き合い席に戻った。
「それでは終了の時間が近づいて参りました。最後に新郎の両親から一言と新郎から一言。」と司会が言う。俺の親父が話し始めた。「私達からはこれだけ。光輝、美音さんと幸せに生きろ」と本当に一言だけだった。俺はマイクを持ち「これまでありがとうございました。美音を絶対に幸せにします。」と言った。司会が「では以上を持ちまして披露宴を終了いたします。みな様今一度大きな拍手をお願いいたします。」と司会が言った。会場で大きな拍手が起きた。こうして俺達の結婚に必要な事は全部終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます