肆(特)

-君がため惜しからざりし命さへ

長くもがなと思ひけるかな-

藤原義孝


『貴方に逢う為ならば惜しくないと思っていたこの命までもが、お逢いできた今となっては長くあってほしいとおもうようになりました・・・か・・・』


1人の美しい女性が月夜に照らされ物思いにふける。

物思いにふけた後、女性は上を見上げ、自身を照らす月を眺めながら考える。


『恋は自由じゃ。自由でなければいけない。私で終わらせなければならぬ。苦しい想いを繰り返してはならぬ。』


美しく優しげな表情をキリッと凛々しい表情に変え、自身の後ろで優しく見守る者に決意表明する。


『決めたぞ。私は自由に生きる。何があろうと。この身が朽ち果てようとも。だからそなたも自由に生きろ・・・・・・ 恋もせず歳も下の私なんぞにただひたすらに尽くす人生など、あってはならなぬ。』




女性が決意した次の日の夜は、とても騒がしく、血生臭く、荒々しい夜となった。

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