なんてこと

 水族館では、イルカショーもやるのだけれど、まだ時間があるためしばし小腹も減ったので休憩することにした。

 

 

 レストランでたわいもない会話をして食べていた。

 

 すると、

「最後の一口ちょうだい?」

 と優花から言われた。

 

 ?

 

「それいうなら普通最初の一口だろ」

 とオレがこたえると優花は、ふふって笑った。

 

 …

 

 優花…

 

 それは変態なオレが言うセリフじゃない⁉︎

 最後の一口ペロペロってさ…。

 

 

 どうしよう…優花に変態を教えてしまったんだ…と、オロオロしていると、

「あっ、間違えて真樹弥の飲んじゃった!」

 と言ってきたよー…

 

 変態の狙う手口…間違えたフリしてペロペロ…

 

 優花がオレで実践している…

 それもオレが以前教えてしまったやつ…

 

 

 もしかして、好きな人にもリベンジするのかな…ってか、どんなアタックしたのだろう…

 

 もう聞いてしまおう‼︎

 

「優花、この前好きな人にどんなアタックしたの?」

 オレの目をじっとみて優花は、

「布団に連れ込もうとしました」

 というじゃないかーー‼︎

 

「えっ⁉︎この前実践したじゃん…布団の上で告白して…危ないよってやったじゃん」

 と呆れると優花は、

「だって…我慢できなくて…」

 というじゃありませんかっ‼︎

 

 てか、どこの布団だよっ‼︎

 

 我慢できないって…オレかよ‼︎変態かよ‼︎

 

 …まぁ、でもよっぽどその人が好きなんだね…。

 

 

「で、布団なんかに連れ込むなら絶対…あの…そうなる…よね?」

 

 …

 

 しばらく俯いて優花は、

「ごめんって言われた」

 と暗い顔をした。

 

 

 …

 

 なんて男だ‼︎

 

「その人って…そんなことされてもナビかないとか…すげーな」

 と感心した。

 

 むしろ尊敬する‼︎

 

「もう、その時点で終わったよね…」

 

「あー…、でもそういう人のほうが慎重派でオレはいいと思うけどな」

 

 そいつに会ってみたい‼︎

 ガツガツしてなくて余裕のある大人って感じがする。

 ぜひ恋の講演会をしていただきたい。

 行きます‼︎

 最前列座ります‼︎

 

 あと、優花のこと実際どう思っているのか聞きたい。

 

 ほんとに優花をいいなとか思っているなら…そんな素敵な人…ならオレも応援させて頂きたい。

 

 

「その人にオレも会ってみたい」

 と優花に申し出てみた。

 

 そしたら、即答で

「無理」

 と言われてしまった。

 

 めっちゃ即答ー…。

 

 無理かー…

 

 まぁ、合わせたくないなら仕方ないか…。

 

 

「あ、そろそろ時間だよっ、行こっ」

 優花が、から元気になった。

 

「う、うん」

 

 優花に連れられながらも変なこと聞いてごめん。と、心で謝った。

 

 伝わらないけどさ…。

 

 

 イルカショーでは、めっちゃ目をキラキラさせていた優花。

 

 …ほんとは、心の中グレーか黒なくせに無理しやがって…

 

 優花…

 

 

 オレはそんな優花をみていられなかった…

 

 続く。

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