堪える変態

 優花がかわいいです。

 

 とにかくかわいいです。

 

 

 そんなかわいい優花とデートなのですが、うっかりどこに行くのか聞いておりませんでした。

 

 

「ところで優花、これからどこに行くの?」

「うんとね、どこいく?」

 

 …

 

 とくにどこに行くというわけでもなかった。

 

「なら、ショッピングしようか?」

 オレの提案に、

「うんっ」

 と、いい返事と嬉しそうな笑顔をトッピングしてくれた優花。

 

 

 二人で雑貨屋さんに入ると磁石でくっつくかわいいものが売っていた。

 

「これかわいい〜」

「ほんとだ。しかも磁石でくっつくじゃん」

「ねー」

 

 ジーッと物欲しそうに見つめる優花。

 

 

 そして、次は洋服をみた。

 

 これ真樹弥に似合いそうとか、優花がこれ着たらお姫様だとか言いながら着せ替えして楽しんだ。

 

 

 ほんとに普通のデートだ。

 

 そしてカフェでお茶してたら、なぜか水族館に行く流れになった。

 

 

 なぜっ⁉︎ってなるでしょう。

 

 でも、優花はとにかく水族館のお土産コーナーが大好きなのです。

 

 もう、お土産目当てで行くようなものです。

 

 ま、でもペンギンもクラゲも大好きだから大丈夫です。

 

 

 でさ、意外とイワシの大群もキラキラしていて綺麗だ。

 

「みてみてー、みんなぶつからないで踊ってるー」

 と優花がそこそこ大きな声でいいました…

 

「踊ってないよ…泳いでるね」

「あはは…間違えた」

 

 優花は、はしゃいでいるけど…たまに元気がないような…気がするんだよね。

 

 どうしたんだろう…。

 

 で、クラゲコーナーにくると大はしゃぎの優花。

 

「みてー、幻想的〜」

 と見惚れていた。

 

 そんな幻想的なひかりに照らされている優花にオレは見惚れていた。

 

 あぁ、この少し暗いお部屋でイチャイチャムードのカップルたち…。

 

 くっ…、オレもイチャイチャしたい‼︎

 

 おてて絡めてイチャイチャしたいよ‼︎

 

 ですが、優花が変態に慣れてしまったらかわいそうだからぐっと堪えました。

 

 

 クラゲをみているようでまったくみていないオレ。

 

 もうイチャイチャしたい‼︎と心の葛藤が半端ないっす‼︎

 

 オレたちは、友達…ではなくて恋人…なわけなくて…幼馴染…。

 

 優花という一人の女性の横に変態というオレが並んでおります。

 

 クラゲコーナーで女性と変態は、クラゲをみています、

 

 

 しかし、心ここにあらず。

 

 

 クラゲも思っているでしょう。

 

 人間ってこんなアホずらするんだなってね。

 

 あぁ、そうですとも。 

 

 オレはクラゲよりも優花一択です‼︎

 

 

 そんな優花は、クラゲにみいっております。

 

 で、オレがいなくならないようにってさ…オレの袖の洋服を少し掴んでるんだよね。

 

 それ見た時、ヤベッ‼︎かわいっ‼︎ってなりましたよね。

 

 水族館に来ておきながら、一番みいるのは…魚でもイルカでもなくお土産コーナーでもなくて優花でした。

 

 

 ぶっちぎりの優花でした。

 

 優花を抱きしめたいです。

 

 今ここで、恋人になったらどうする?っていうもしも恋人編講座をひらいたら優花は、きちんと講座を受けるでしょう。

 

 そしたら、ハグも楽勝っす。

 

 でも…それじゃあ、優花が変態の餌食になるだけでかわいそうです。

 

 

 だからグッと堪えましたぁーー‼︎

 

 水族館で変態は、何回堪えたことやら…

 

 

 続く。

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