かわいい

 いつもは休みの日必ず来る優花。

 

 

 でも、今日は来なかった。

 

 あぁ、友達と用事があるって言ってたっけ。

 

 もちろん日曜日は、来るだろうと思っていた。

 

 …

 

 来ない。

 

 あれ?

 チーズたっぷりパンともずく入りスープ用意したんだけどなー…。

 

 どうしたんだろ?

 

 メールで連絡してみよう。

 

(今日こないの?)

 と送ってみた。

 

 すると、

(来ないよ)

 との返事だった。

 

 だから、たっぷりチーズともずくスープはオレが飲んでおくよ、と送ったら速攻でやってきた優花。

 

「あれ?なんか用事があったんじゃなかったの⁉︎」

 とチーズパンにかぶりつく優花に聞くと、

「あー、やっぱり食べ物は大事ですから」

 と、またもガブリとパンにかぶりついていた。

 

「朝ごはんまだだったんだね。」

「ううん。さっき食べたけど、別腹だから」

 と数年後おデブ確定発言をしていた。

 

「ハハッ、まぁでも食欲あってよかったよ」

「うん…実はね…わたしね…」

「どうした?」

「わたし…わたし…思い出に真樹弥とデートがしたいです。」

 と言われた。

 

 …

 

 これは…どういう意味なのだろうか⁇

 

「練習?」

「ううん。お試し」

 

 ⁉︎

 

 お試し…

 

 ‼︎

 

 これはチャンス‼︎

 

 お試しってことは、もしかして好きな人諦めてオレを好きになってくれるかもってやつじゃん⁉︎

 

 だからお試しか!

 

 

「いいよ!しよう、デート‼︎」

「いいの?ありがとう‼︎」

 

 喜ぶ優花。

 

 イヤイヤ、こっちこそありがとうだ。

 

 ただ…思い出ってなんだろう?

 

 記念にとか思い出って…

 

 オレたちずっと幼馴染なんだからそばにいると思うんだけどな…。

 

 

 まぁ、でも優花とデートできるわけだしオレといたら楽しいって思ってもらえるように最高のデートにしなきゃだな。

 

 

 てなわけで、次の土曜日にデートをすることとなった。

 

 

 平日は、よく学校終わりに優花がうちに遊びにきていたけど、今週は忙しいからいけないって言っていた。

 

 最近の優花は、忙しいらしい。

 

 まぁ、やることないよりはいいと思う。

 だからそれは、そっと見守ることにした。

 

 

 そして、ついにやってきた土曜日‼︎

 

 家が隣だから一緒に家を出ればいいのに、優花は駅に集合ね!と待ち合わせ場所を指定してきた。

 

 まぁ、優花のやりたいようにやらせてあげようと、大人しく駅へと向かった。

 

 

 すると…

 

 ‼︎

 

 めっちゃかわいい服装の優花が待ち合わせ場所にたっていた。

 

 もう天使じゃん。

 オーラがそこだけ違くね⁉︎

 

 なんだよ、あのかわいい髪型…それにスカートにイヤリングって…

 

 かわいいの集まりかよ?

 

 優花にギュッと詰まったかわいいがさらにオレをみたことでマシマシになった。

 

「あ、おはよ!」

 と笑顔でかわいいが大盛りどころか溢れ返っていらっしゃるよ?

 

 さらに、マシマシのおかわりが追加された。

 

 何って…

 

「それじゃあ行こっか」

 と、手を差し出されました‼︎

 

 オレは優花のかわいいでとろけそうだった。

 

 待ち合わせからこんなんで、一日もつのでしょうか?

 

 

 しばしオレの心臓よ、落ち着いてください。

 慌てないでください。

 あんまりパクパクしないでください。

 と、心臓に呼びかけるオレ。

 

 ですが心臓は、とまりません。

 

 パクパクパクパクしております。

 

 心臓にブレーキは、ありませんか?

 どなたか、停止ボタン知りませんか?と脳内に呼びかけてみた。

 

 …

 

 ないっぽい。

 

 てか、停止ボタン押したら心臓とまるよ‼︎

 

 でもさ、とにかくおてて繋いでたら心臓がもたないかもよ?

 ってなわけで、オレは優花の手をニギニギキュウキュウした。

 

 そしたら、離すよね。

 って思ったわけよ。

 

 ですが、優花はそれに応えるようにオレの手をニギニギきゅうきゅう返ししてきたーー‼︎

 

 優花ーー⁉︎

 

 振り返った優花が、オレの顔をパッとみてふふっと笑った。

 

 か、かわいい。

 

 

 もうかわいいの特急列車は、とまりません。

 

 

 続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る