ピクニック
ピクニック開始。
あ、あつい!
きっと家で、おせっかいおばさんに上着を着せられたせいだろう。
腕まくりをすると優花がじっとみてきて
「男らしーぃ」
なんて言っていた。
…腕まくっただけ。
優花は、もしかしたら褒め上手なのかもしれない。
そして優花お手製のサンドイッチをいただいた。
「うめー‼︎」
「ほんと?」
「うん!タマゴもハムチーズもやさいサンドも最高‼︎お店出せるよ!」
「そりゃよかった。なら、真樹弥常連さんね!」
と満足げに優花もサンドイッチを頬張った。
優花の彼氏になる人は、幸せだろうなぁ。
そう思いながらむしゃむしゃ食べていると優花がいきなり、
「サンドイッチ屋さんでーす!」
とおままごとを始めだした。
懐かしいー。
「そういえばさ、優花って昔からよく急におままごと始めだしてたよね」
「覚えてるんだ」
「あたりまえ」
「ふふ、それでお客様、どのサンドイッチを?」
「おすすめをください」
「じゃあ、わたしを」
?
わたし⁉︎
ん?たわし?
「えっ?たわし?サンドイッチ屋さんでたわし?」
…
「いいえ、わ・た・し」
…
「ふーん。わたしねぇ。じゃあいただきまーす‼︎」
と優花の手を丸かじりしようとしたら、
「ウソウソ…やめて〜」
と手を引っ込めた。
あー、残念。
まぁ、でもほんとにはかじらないよ?
だって…だってさ…このままじゃ優花が変態慣れしてしまうから。
そんなのかわいそうだし。
…
あ。
オレと優花は、ふと地面をみつめた。
そこには、緑色のカマキリがいた。
「えー、かわいい。なにこの子、よう!って手あげてるってか、ハイタッチしたいのかな?」
優花がハイタッチにこたえようとすると両手をあげるカマキリ。
「バンザイした!いや違う。だっこ〜ってわたしにおねだりしてるんだ」
…いや、威嚇してるに決まってる。
手を差し伸べようとする優花。オレは咄嗟に、
「優花、危ないから」
と、優花の手を引っ込めた。
するとカマキリがかまを空振りした。
「あー、カマキリっていがいと素早いね。」
「うん。ケガするくらいだぞ?」
「あ、ありがとう。」
…
「どういたしまして。」
…
ってさ、優花‼︎
なんでオレの手離さない?
なんなら恋人繋ぎしてきたよ?
なんか離したくないし、そのまま手を繋いでサンドイッチを食べた。
そしたら、さっきのお礼ね!とオレの手にチュってしてきた。
どうしよう…。
オレは嬉しいけど、優花がほんとうにオレよりの変態になってしまったかもしれません。
これは、どうにかせねばなりません。
オレが常日頃変態しすぎた罰です。
…
それともこれは、彼氏ができた時の練習なのでしょうか?
続く。
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