告白大会

 花火がドーンと上がると優花のテンションも上がった。

 

「わぁ〜、キレイ〜」

 と。

 

 確かに花火は、きれいです。

 

 でもさ、浴衣着て空を見上げる優花の方がきれいなんですよね〜。

 

 オレは花火より優花をみていたい派です。

 

 

 この瞬間をビデオカメラにおさめたいっ‼︎

 

 あぁ、運動会のビデオとかめっちゃとりまくるお父さんの気持ちですっ‼︎

 

 かわいいんです‼︎

 

 ビデオにおさめて何度も夜中一人でみたいのです‼︎

 

 

 

 そしてさ…数年後、あんまり口きいてもらえなくなってさ…

 洗濯物別々にされたりしてさ…

 

 …切ないよ。

 

「優花‼︎切ないって‼︎」

「えっ?花火が切ないの?」

 

「あぁ、こっちのはなし」

「なにそれー…、意味わからないよ?」

「あー、ごめん。」

「んー。まぁ線香花火は切ないよね。」

「そう、それな」

 

 

 …あぁ、うっかり独り言が…二人ごとになったよ?

 

 いや、二人ごとってなんだよ…?

 

 

「好きな人とみる花火は…やっぱりいいわ」

 

 ⁉︎

 

 いきなり告白練習モード突入かよ⁉︎

 

 しかも小声って…

 相手聞き逃すよ⁈

 

 

 優花…それじゃあ、告白の練習始めるね!とか言ってくれよー…。

 

「あー、うん。」

 

「あっ…、聞こえてた⁉︎」

「小声だけどね。」

 

「そ、そっか…。あ、そうそう。花火みながら告白しなきゃだ」

 

 さっきの…ほぼ告白なんじゃないかな?

 声小さかったけどさ。

 

 

 …

 

「それじゃあ、告白…します!」

「うん。」

「好きです‼︎じゃストレートすぎるよね?」

「あー…でもさ意外とストレートの方が伝わりやすいかもよ?」

 

「そっか…なら、いっかい真樹弥お手本みせてー」

 なんて軽く言われたじゃん。

 

 …お手本か。

 

「優花、好きだよ。誰よりも大好き。」

「あっ…、うん」

 

 ‼︎

 

 ちょっと真面目に告りすぎたーー…

 

「ほら、足が二本はえてるところとか…目が二つついてるところが…イケてる‼︎」

 と慌てて誤魔化した。

 

「あはは、それは…告白案却下ー」

 と笑いながら却下された。

 

 それでは、次の案を出そう。

「だよねー。あ、じゃあさ、つぎのね。」

「うん。」

 

「…優花、愛してるかもしれないし…しれない」

 

 …

 

「なにそれ〜」

 

 …ほんとなにそれだ。

 

「わたし、真面目なやついきます‼︎」

「オッス‼︎」

 

「好きぃ〜♡」

 とオレに抱きつく優花。

 

 びっくりしたけど、オレも食い気味に

「オレも好きぃ〜♡」

 と返した。

 

 バカップルですね…

 

 

「でもさ、いきなり抱きつくと相手びっくりかもよ?」

「あー、そうだよねー。」

「うん。だからさ、少しずつボディタッチから始めてみたら?」

「それがいいね!じゃあ、まず…」

 と言ったかと思えばいきなり二の腕あたりをペシペシされた。

 しかもそこそこ強め…

 

「いたっ」

「えっ、そ、そうだった?」

「うん。お笑いの突っ込みの人?」

「違うよー。ならこれは?」

 

 スリスリスーリスリ

 

 オレの腕あたりをスリスリする優花。

 

「えっ…、なんか手についた汚れをオレに擦り付けた感…半端ないよ?」

「あはは、ダメじゃん」

「うん、不合格だわ」

 

 …

 

 こうして花火をみながらの告白は、永遠と続くのです。

 

 

 そして結局ストレートに告白するのがいいのかもねってことになりつつあった。

 

 

 存分に楽しい時間を過ごしてそろそろ帰りましょうという時に、オレは魔法のアイテムを取り出した。

 

 優花が立ち上がる前に、下駄を脱いでもらった。

 

「えっ?何?下駄盗まれたらわたし帰れないよ?」

 とくだらない心配。

 

「だれが下駄なんか盗むかよ」

「じゃあなに?真樹弥と靴の交換?」

「それもない。」

 

 あー、やっぱりだ。

 

 優花は、下駄を履くと靴擦れをよく起こすのだ。

 

「絆創膏、貼っといたよ」

「え〜、ありがとう。足痛かったの〜」

「知ってる。」

 

「好き!」

 ギュ〜♡

 

 優花に好きと言われハグされました。

 

 でも、これは挨拶みたいなものなのです。

 

「オレも好きだよ。じゃ帰ろっか」

「うん。」

 

 挨拶みたいにお互い交わして家へと帰るのでありました。

 

 続く。

 

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